自己破産後に会社を設立できる?制約や再び起業する方法について解説
「起業したものの、個人保障の借金を返済できず自己破産した」、「会社員をしており生活苦に陥って自己破産をした」
このような場合、会社を設立できるのか気になる方は多いのではないでしょうか。また、何らかの制約を受けるのではないか、不利な条件で起業することになるのではないかと不安な方もいるでしょう。
そこで本記事では、自己破産後に会社を設立できるのか詳しく解説します。
自己破産後でも新たに会社を設立することは可能
自己破産後に会社を設立できるかどうかについては、自身が取締役になれるかどうかがポイントです。取締役には欠格事由が定められており、それに当てはまる場合は会社を設立できません。
自己破産は取締役の欠格事由ではないため、自己破産後でも会社を立ち上げることが可能です。なお、2006年5月の会社法が施行されるまでは、自己破産をした人が会社を設立することはできませんでした。
中小企業では、法人の代表者が会社の借金の個人保障をしているケースが多いため、自己破産後の会社設立を認めない場合、経済に影響を与えてしまいます。そこで、会社法では自己破産中や自己破産後であっても会社を再び設立できるよう定められているのです。
自己破産した場合の会社設立における制約
自己破産後に会社設立は可能ですが、いくつかの制約を受けます。自己破産後の会社設立における制約について詳しく見ていきましょう。
一時的に取締役の退任が必要
すでに会社を再び立ち上げて取締役に就任している場合、自己破産すると一時的に取締役を退任する必要があります。これは、自己破産が役員における委任終了事由に該当するためです。ただし、株主総会で再び取締役に選任されることで復帰できます。
個人資産を起業資金に充てることが難しい
自己破産すると、自身の財産の多くが破産財団に属し、換価処分されて債権者への返済に充てられます。そのため、次の会社の立ち上げ資金を十分に用意することができません。再び資金を用意するまでに時間がかかるため、自己破産後すぐに起業することは難しいでしょう。
職業や資格に制限を受ける
自己破産の手続き開始から免責許可が下りるまでは、司法書士や弁護士、公認会計士といった士業、後見人、遺言執行者、警備員、探偵業などになることができません。このような職業や資格の制限によって、会社を立ち上げても事業運営ができない恐れがあります。
居住地の制限がある
自己破産の手続き開始から免責許可が下りるまでは、資産隠しを防ぐ観点から裁判所の許可を得なければ居住地を変更できません。また、郵便物も事前に破産管財人のチェックを受けます。なお、管財事件でなければ破産管財人は選任されませんが、法人の場合はほぼ無条件で管財事件となります。
新規借り入れが難しくなる
自己破産すると、事故情報が信用情報機関に記録されます。信用情報機関は新規借り入れやクレジットカード発行時の審査で参照されるため、過去に自己破産していることが知られてしまい、審査に通過できなくなります。記録は5~10年は残るため、それまでは借金が必要になるような会社の立ち上げはできません。
取引先との信頼関係が損なわれる
倒産や自己破産によって取引先への債務を残したり、従業員を抱えたまま倒産したりした場合、その業界で噂が広まることで再び取引ができなくなる恐れがあります。別業界であっても、何らかのタイミングで取引が必要になることもあるかもしれません。
そのような場合に、他の取引先を探さざるを得なくなるでしょう。
自己破産後に再び起業する方法
自己破産後に再び起業することは可能であるものの、資金に関する問題を解消しなければなりません。資金をコツコツと貯めるか、初期費用がほぼかからない業種で起業するとよいでしょう。どうしても借金が必要な場合は、日本政策金融公庫の再挑戦支援資金を活用することをおすすめします。
審査に通過できる可能性があるのは、次のすべての条件を満たした人です。
- 開業予定が7年以内、または開業から7年以内
- 過去に廃業歴のある
- 廃業の理由がやむをえないもの
- 廃業時の負債が新事業に影響が与えないように整理されている、または整理する予定がある
個人は最大7,200万円(うち運転資金4,800万円)、中小企業は最大7億2,000万円(うち運転資金2億5,000万円)までの融資を受けられる可能性があります。
まとめ
自己破産後に会社を設立するためには、さまざまな制約をクリアする必要があります。梅田パートナーズ法律事務所では、会社の精算、債務整理、新規立ち上げまでトータル的なサポートが可能です。現在の会社を清算したい方、新規立ち上げを予定している方はお気軽にご相談ください。
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