仮想通貨を含む暗号資産があると自己破産できない?
仮想通貨を含む暗号資産を持っている場合、自己破産できないと聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。近年、仮想通貨は多くの人が投資しているため、破産手続において障害となるケースも増えてきました。今回は、暗号資産と自己破産の関係について解説します。
暗号資産があると自己破産できない場合がある
自己破産を検討する際、暗号資産(仮想通貨)の所有が破産手続を複雑にする可能性があります。以下は、暗号資産を保有する際の検討ポイントです。
暗号資産の評価額と債務超過の検討
暗号資産は価格変動が大きく、正確な評価が難しい特徴があります。破産手続開始前に、借金などの債務と暗号資産の評価額を比較し、「債務超過」の可能性を検討しなければなりません。
暗号資産の取引による借金と免責不許可事由
暗号資産を購入するために借金をしている場合、破産手続において借金免除が難しい可能性があります。暗号資産の取引は「ギャンブル」に該当するため、免責不許可事由となる可能性が高いでしょう。
免責不許可事由は、仮想通貨取引によって著しく財産を減少させたり、多額の借金を抱えたりして、支払不能に至った場合に限定されます。仮想通貨取引が原因であっても、他の理由により支払不能に陥った場合は、免責不許可事由には当てはまりません。免責不許可事由は特定の状況や行動に基づいており、個々のケースにおいてそれが該当するかどうかを正確に評価する必要があります。
暗号資産の処分の検討
破産手続き後、暗号資産をどのように処分するかが重要です。暗号資産の処分が難しい場合、手続きが複雑化する可能性があります。
仮想通貨による免責不許可事由については裁量免責が期待できる
免責不許可事由に該当する場合であっても、裁判所は特定の状況や事情を鑑みて、裁量免責を認めることがあります。これは、破産者の状況や行動を個別に判断し、柔軟に対応するための仕組みです。裁量免責が期待できるケースについて以下にまとめました。
考慮要因 | 具体例や詳細 |
---|---|
借金の経緯への同情の余地 | 市場変動や予測不可能な状況に影響を受けた場合 |
免責不許可事由の軽微さ | 合理的な投資意図があった場合 |
真摯な反省の有無 | 誤った判断からくる損失に対する真摯な反省 |
裁判所への協力態度 | 裁判所の調査や管財業務に積極的に協力 |
生活改善の取り組み | 将来的に同様の状況を回避するための努力 |
あくまでも裁量免責になる可能性があるということのため、過度な期待はせず、まずは弁護士に相談することが大切です。
自己破産における暗号資産の扱い
自己破産においては、暗号資産は次のように取り扱われます。
暗号資産の差し押さえは認められていない
自己破産手続きにおいて、仮想通貨(暗号資産)が強制的に処分されるかどうかは重要な問題です。現行の法律では、仮想通貨は差し押さえの対象となり得るものの、実際にはほとんど差し押さえられるケースはありません。借金を滞納した場合、債権者は債務者の財産を差し押さえることがありますが、仮想通貨は特に厳格な取り決めが難しく、債務者が秘密鍵を管理している限り、差し押さえが難しいのです。
現行法では、債務者や取引所に秘密鍵を開示させる方法が確立されておらず、仮想通貨の差し押さえは実効性を欠いています。
暗号資産の残高相当額が破産財団に入る
自己破産手続きにおいて、仮想通貨の時価が20万円を超える場合、通常は換価処分の対象となります。これは、破産管財人が取引所を通じて仮想通貨を売却し、得られた現金を債権者に配当するという手続きを指します。破産管財人は破産者の財産を管理・処分する権限を有しており、債務者は秘密鍵を開示する必要があります。
破産手続開始時点での仮想通貨の時価相当額を管財人に支払うことで、仮想通貨そのものを売却することなく手続きが進行することもあります。破産者はその後、他の財産についても配当を行いますが、この過程で仮想通貨がどのように取り扱われるかは手続きの進行具合や法的な規定に依存します。
破産手続きにおいては、仮想通貨の取り扱いが法的な不確実性を伴う部分があるため、関係者は弁護士や専門家のアドバイスを受けることが重要です。
暗号資産が原因で自己破産できなかった場合の対応方法
自己破産で免責が得られない場合、仮想通貨でできた借金の返済に対する対応策として、任意整理を検討することが1つの選択肢です。任意整理は、裁判所を介さずに債権者との交渉を通じて、借金の減額や返済条件の変更を行う手続きです。この方法では、借金の返済期間を延長することや利息のカットを交渉し、借金を減額することが可能です。
また、金額次第では個人再生も行える可能性があります。個人再生は裁判所を介して行う手続きで、借金を概ね5分の1に減額することができる制度です。自己破産で免責が得られなかった場合や、任意整理の減額幅では借金の完済が難しい場合に、個人再生を検討できます。借金の原因に関わらず減額が可能であり、裁判所が再生計画を認めれば、減額後の借金を3年から最長5年かけて返済することで、残りの借金が免除されます。
まとめ
暗号資産の自己破産の取り扱いについては法律の整備が進んでおらず、不明確な部分が多々あります。残高相当額が破産財団に組み入れられることを理解し、適切に対応することが重要です。梅田パートナーズ法律事務所では、暗号資産があるケースの自己破産もサポートしております。まずはお気軽にご相談ください。
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