法的整理のメリット・デメリットは?行うときのポイントも解説
企業が債務超過に陥った際は、私的整理か法的整理を検討する必要があります。私的整理で立て直しが困難な場合は、法的整理を検討する流れが一般的ですが、企業の状況でどの方法が適しているかが異なります。今回は、法的整理のメリット・デメリットや行うときのポイントなどについて詳しく解説します。
法的整理とは
法的整理は「清算型」と「再生型」の2つに分類され、合計4つの方法があります。清算型は、会社の資産と負債を清算し、最終的に法人格を消滅させる手続きです。一方、再生型は債務の圧縮などで再建しやすい状況に整えつつ債務を弁済し、会社の建て直しを目指す際に行います。
法的整理の種類と特徴について詳しくみていきましょう。
清算型①「破産」
破産は、裁判所が選任した破産管財人が会社の資産を売却し、債権者への返済に充てて最終的に法人格を消滅させる手続きです。債権者の債権額に応じて配分・配当されます。
清算型②「特別精算」
特別精算は、会社関係者(清算人)が資産を売却して債権者に配分・配当し、法人格を消滅させる手続きです。破産は株主や債権者の同意は不要ですが、特別生産は株主総会を招集して解散と清算人の選任の決議を行い、株主議決権の3分の2以上の賛成が必要です。
また、債権者からも同意を得なければなりません。そのほか、否認権の有無も破産と特別清算の違いの1つです。否認権は、特定の債権者への優先的な弁済や会社資産を不当に減少させる行為などがあった際に、流出した資産を取り戻す権利です。
破産では否認権がありますが、特別生産にはないため、任意整理などの私的整理と組み合わせることもできます。
再生型①「民事再生」
民事再生は、債務を圧縮して事業を継続しながら債務を返済していく方法です。事業継続が可能で、経営陣の交代は必要ありません。
再生型②「会社更生」
会社更生は、債務の圧縮などで負担を減らし、事業を続けながら完済を目指す方法です。民事再生は債権者の担保権の実行を制限できませんが、会社更生は制限できます。
原則的に経営陣が交代するため、経営を根本から立て直せる効果が期待できますが、会社更生を選択できるのは株式会社に限ります。
法的整理のメリット
法的整理のメリットは選択する方法によって異なります。主なメリットは次のとおりです。
- 裁判所より財産の保全処分が出され、債務の弁済が禁止されることにより、資金ショートの状況に対応できる
- 事業再生計画に反対する債権者がいても賛成多数であれば実行できる
- 手法によっては否認のリスクを解消できる
法的整理のデメリット
続いて、法的整理のデメリットについてみていきましょう。
- イメージダウンによる取引条件の悪化など
- 不安を感じた従業員の退職
- 私的整理よりも費用がかかる
法的整理を選び方のポイント
法的整理の中でもどの方法を選ぶべきか迷うときは、次のポイントを確認しましょう。
事業継続を希望するかどうか
法的整理のうち、清算型は法人格が消滅します。一方、再生型は事業継続を前提として再建を目指すため、事業を続けたいのであれば再生型を選ぶ必要があります。ただし、再生型を選択したからといって、必ずしも事業再建を実現できるとは限りません。
債権者の同意を得られるかどうか
再生型の手続きを実行するには、再生計画案または更生計画案を確認した債権者の一定割合以上の同意を得る必要があります。現実的ではない計画案を策定した場合は、債権者の同意を十分に得られない可能性が高まります。
債権者の同意を得られない場合は、清算型手続きを選択することになるでしょう。なお、特別生産も債権額の3分の2以上を有する債権者の同意が必要です。債権者の同意が必要ないのは破産のみとなります。
債務超過に陥った際は弁護士に相談しよう
債務超過に陥った場合は、私的整理と法的整理のどちらを行うのかを選び、またその中でもどの手法を行うべきか検討する必要があります。それぞれの特徴やメリット・デメリットを理解したうえで、自社に最適な方法を選ばなければなりません。
そのため、債務超過に陥った際は速やかに弁護士に相談し、どの手続きを選択すべきかアドバイスを得ることが重要です。
まとめ
法的整理には、清算型と再生型があります。会社を廃業するのであれば清算型を選択し、再建したい場合は再生型を選択しましょう。ただし、会社の状況によっては清算型を選ばざるを得ない場合もあります。まずは、法的整理・私的整理に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。
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