余剰人員を削減するには?整理解雇を行うための条件や注意点を解説
コロナの影響や景気低迷などの要因により、余剰人員の削減を検討している企業は増加傾向にあります。余剰人員を削減する方法と言えば整理解雇をイメージするかもしれませんが、実施するにはいくつかの条件をクリアしなければなりません。
本記事では、余剰人員を削減する方法として整理解雇を行うための条件や注意点などについて詳しく解説します。
余剰人員を放置する問題点
余剰人員を放置すると、給与や福利厚生費などによって経営が圧迫される恐れがあります。また、他の人員に十分な業務量を割り振ることができず、業務に対するモチベーションが下がることも考えられます。さらに、情報の共有や意思決定プロセスが困難になる可能性があります。
余剰人員の整理解雇は簡単ではない
余剰人員の削減と言えば整理解雇をイメージする方が多いのではないでしょうか。一見、無条件で行えるように思えるかもしれませんが、以下4つの条件を満たした場合にのみ認められます。
- 人員削減の必要性がある
- 合理的観点から整理対象者を選んだ
- 解雇を回避する努力をした
- 本人と十分に協議を行う
余剰人員の整理解雇の前に行うべきこと
余剰人員の整理解雇を行うための4つの条件のうち「解雇を回避する努力」については、次のようにさまざまな方法があります。
経費削減
経営上、優先度の低い経費を見直し、削減の余地があるかどうか検討します。例えば交際費や広告費などは事業継続に必須なコストとは限りません。余剰人員の削減が必要な事態では事業の縮小も検討せざるを得ない場合があるため、必要に応じて仕入れ費のような事業継続に関わるコストの削減も視野に入れましょう。
ただし、解雇を検討している段階では、経費削減だけで経営を立て直すことは難しい場合があるため、他の手段との併用も検討することが大切です。
役員報酬の減額
役員報酬は一般社員よりも多額なことが多いため、高い効果が期待できます。ただし、役員報酬の減額には本人の同意が必要なため、「会社の経営に携わっているのだから文句を言わないのが当たり前」といった考えで一方的に減額しないよう注意が必要です。
減額を検討する際は、株主総会や取締役会決議など、会社法に則って対応する必要があります。
有期労働契約の更新を拒否する
正社員の解雇を回避するために、非正規社員の契約解消を検討することも1つの方法です。ただし、有期労働契約を理由に差別的な扱いをすることは認められません。そのため、有期労働契約であることだけを理由に、更新を拒否することは不可能です。
法的な制約を遵守しつつ、合理的に人員整理の対象者を選ぶ必要があります。
人員の配置転換
従業員の配置転換や関連会社への出向なども、解雇回避の方法の1つです。しかし、状況によっては配置転換が一切できない場合もあるでしょう。配置転換が困難な事情がある場合は、実施しなくとも解雇回避の努力を怠ったとは判断されない可能性があります。
希望退職者の募集
一定の条件のもとで希望退職者を募集し、コストを削減するのも1つの方法です。希望退職者が現れ、退職に合意すれば労働契約は終了します。募集する際は、応募資格や募集期間、申し込み方法、退職日などの他、割増退職金や再就職支援といった優遇措置についても伝えましょう。
退職勧奨
退職勧奨とは、退職の意思表示をするように働きかけることです。回数や方法、拒否した場合の対応などによっては違法行為である退職強要と見なされます。そのため、弁護士のアドバイス・サポートのもとで行うことが大切です。
整理解雇を実施する際の注意点
整理解雇を実施する際は、次の注意点を押さえましょう。
30日前までに解雇の告知をする
解雇日の30日前までに解雇の告知をしなかった場合、解雇予告手当の支払義務が発生します。「30日-解雇予告から解雇日までの日数」分の平均賃金の支払が必要です。
平均賃金は過去3ヶ月の総支給額を総日数で割って算出します。時間外手当や休日手当なども含まれますが、賞与を含める必要はありません。
退職金制度がある場合は支払う必要がある
退職金制度がある場合は、解雇した人物に対して規定に基づいた退職金を支払う必要があります。整理解雇は従業員に大きな負担がかかるため、なるべく優遇措置として加算した方がよいでしょう。
まとめ
整理解雇は複数の条件を満たす必要があるほか、退職勧奨や配置転換などについても細心の注意を払って実施しなければなりません。そのため、整理解雇に詳しい弁護士のアドバイスのもとで慎重に進めることが大切です。梅田パートナーズ法律事務所では、整理解雇におけるサポートはもちろん、経営難に陥っている際の再建のアドバイス、サポートも行っております。
余剰人員の削減が必要な状況にある、法的リスクを抑えたいといった場合はお気軽にご相談ください。
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