解約返戻金の緊急資金としての活用方法 | 税金面の注意点も解説
保険を解約した際に受け取れる解約返戻金は、緊急資金としても活用できます。その際は、差し引かれる税金も計算に入れて、実際に受け取れる解約返戻金の額を算出することが大切です。ここでは、解約返戻金の基礎知識から緊急資金としての活用方法まで詳しくご紹介します。
解約返戻金とは
解約返戻金とは、生命保険を解約する際に受け取れるお金のことです。主に、終身保険や養老保険、学資保険のような貯蓄性のある保険に設けられています。保険料の中でも貯蓄部分から解約返戻金の額を算出します。
解約返戻金の緊急資金としての活用
生命保険を解約した際に受け取れる解約返戻金を緊急資金として活用できれば、資金面のトラブルに対処できる可能性があります。金融機関や取引先への支払や返済に遅れると、信用が失われて取引が停止されることで事業継続が困難になる事態を招きかねません。生命保険を解約して解約返戻金を受け取り、緊急資金として活用できれば事業の停止を防げる可能性があります。
役員退職金の財源にも利用できる
解約返戻金は、役員退職金の財源としても利用できます。役員退職金は損金に計上できるため、解約返戻金を役員退職金に充てることで、税金が増える事態を防げます。例えば、役員退職金が2,000万円の場合、2,000万円の解約返戻金を受け取れる時期に生命保険を解約すれば、解約返戻金をそのまま役員退職金として支払えます。
そして、役員退職金は損金に計上できるため、解約返戻金の益金と打ち消し合うことで税金の増額を防げるのです。
解約返戻金に課税される税金
解約返戻金は、全額受け取れるわけではありません。法律によって定められた税額が差し引かれた額を受け取ることができます。法人契約の場合は、解約返戻金を受け取った場合に法人所得として扱われるので、法人税や地方法人税、住民税、事業税が課税されます。法人所得は、解約返戻金から保険料を差し引いた額です。
例えば、保健機関の満了時の被保険者の年齢が70歳で、解約返戻金が1,000万円、掛け金の総額が1,200万円で、満期が95歳の場合は、次のように算出します。
法人所得=(解約返戻金1,000万円-保険積立金600万円※)×実効税率約30%
=120万円
個人と比べて法人は税額が高くなる傾向があるため、緊急資金として活用する際は事前に計算し、実際に手元に残る額を算出することが大切です。
解約返戻金の手取り金額を増やす方法
法人の解約返戻金を緊急資金として活用するのであれば、手取り金額を可能な限り増やしたいところでしょう。解約返戻金を手取り金額は、次の方法で増やすことができます。
損金を可能な限り計上する
解約返戻金は益金扱いのため、受取額に応じて所得額が増えます。そのため、納めるべき税額が増えて解約返戻金の手取り額が少なくなります。そこで、損金を可能な限り計上して所得金額を抑えることで、解約返戻金の手取り金額を増やすことができるのです。
例えば、1,000万円の解約返戻金を受け取る場合、事業にかかる投資を1,000万円分行うことで、解約返戻金による益金と打ち消せるため、税金の増額を防げます。
繰越欠損金を活用する
繰越欠損金とは、前年以前に蓄積された赤字を繰り越して、所得金額から控除できるものです。赤字が多い年度に解約返戻金を受け取ることで、税金の増額を抑えられます。ただし、繰越欠損金は2018年度以降は10年前までの累積赤字のみが対象です。
解約返戻金を受け取れる法人保険
解約返戻金がある保険は限られています。解約返戻金を将来的に事業に役立てたい場合は、次の保険に加入しましょう。
長期平準定期保険
長期平準定期保険は、解約時期によっては解約返戻金を受け取れるタイプの保険です。中には100歳で満了となる保険もあり、タイミング次第ではより多くの解約返戻金を受け取れます。
逓増定期保険
逓増定期保険は、時間経過によって保険金額が増えるタイプの保険です。解約の時期によっては多額の解約返戻金を受け取れます。
全額損金定期保険
全額損金定期保険は、保険料を全額損金に算入できるうえに、解約返戻率も高い定期保険のことです。
養老保険
養老保険は、死亡保険金と満期保険金があるタイプの保険です。必ず保険金を受け取れるため、貯蓄性に優れた保険と言えます。
一部のがん保険
がん保険の中には、解約返戻金付きの保険もあります。がん保険はその種類によって契約内容が大きく異なるため、慎重に選ぶことが大切です。
まとめ
解約返戻金を活用すれば、売掛金の支払や借金の返済が滞る事態を防げる可能性があります。いざというときのために、解約返戻金がある保険を契約しておくのがおすすめです。ただし、事業継続に支障をきたしている場合は、解約返戻金の活用は一時しのぎにしかなりません。債務を少しでも減らしたい、会社を立て直したい場合は、梅田パートナーズ法律事務所までご相談ください。
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