売掛金の回収方法は?対応の流れから手段別の特徴・ポイントまで解説
期日までに売掛金が支払われない場合は、速やかに取引先へ連絡を取る必要があります。それで回収できれば解決ですが、売掛金が支払われないケースでは交渉や調停、訴訟などが必要になることが多いでしょう。そこで今回は、売掛金の回収方法について、対応の流れから手段別の特徴、ポイントまで詳しく解説します。
売掛金が支払われない場合の対応の流れ
売掛金が支払われない場合、いきなり訴訟を起こすことは通常ありません。大きなトラブルに発展する恐れもあるため、なるべく円満に解決させるためにも次の手順で対応しましょう。
1.支払えない理由の明確化
まずは、売掛金を期日までに支払わなかった理由を取引先に確認しましょう。単なる入金漏れの場合はすぐに支払われると考えられます。しかし、金銭的に苦しいのであれば支払を請求しても支払われないケースが多いでしょう。また、悪意がある場合は支払われる可能性はほぼゼロと言えます。
支払いがない理由によって対応方法が異なるため、まずは取引先に確認を取ることが大切です。
2.支払催告
支払いがない場合、その理由に関係なく支払催告を行いましょう。売掛金の請求額や支払義務がある旨、遅延損害金の内容、このまま支払われない場合は法的手続きに進む旨などを記載します。
催告状は、日本郵便が差出人と宛先、書類の内容を証明してくれる「内容証明郵便」で送りましょう。書類が届いていない、催告状ではない書類が届いたなどと言われた際に、確実に郵送したことを証明できます。
3.取引の停止
売掛金の支払催告をしても入金がない場合は、相手方との取引を停止しましょう。そのまま取引を継続すると、商品を納入しても代金が支払われない状況が続き、被害額が大きくなってしまいます。
なお、取引基本契約書などで「売掛金の未払いがある場合は取引を停止する」と定めていなくとも、同時履行の抗弁権(民法533条)によって納品の拒否が可能です。
「第五百三十三条 双務契約の当事者の一方は、相手方がその債務の履行(債務の履行に代わる損害賠償の債務の履行を含む。)を提供するまでは、自己の債務の履行を拒むことができる。ただし、相手方の債務が弁済期にないときは、この限りでない。」
引用:e-gov「民法第五百三十三条」
4.弁護士に相談
売掛金の未払いが発生した時点で弁護士に相談しましょう。相手方の出方に応じた対応方法、各対応のポイントなどについて詳しい話を聞き、全面的にサポートを受けると安心です。
場合によっては調停や訴訟などを行うことになりますが、その際に必要な申立書類の準備や証拠集めは難易度が高いため、時間とコストが余計にかかる恐れがあります。弁護士は、このような準備はもちろん、相手方との交渉も任せることができます。
売掛金の回収方法
売掛金が支払われない場合の対応方法はいくつかあります。それぞれのポイントや注意店などについて詳しくみていきましょう。
買掛金との相殺
相手方への買掛金がある場合は、売掛金と相殺することで解決できる可能性があります。買掛金よりも売掛金の方が高額な場合は、不足分を引き続き請求することになります。
債権譲渡
相手方が他社に対して持っている売掛債権を譲受し、代わりに取り立てて売掛金を回収する方法です。ただし、売掛債権の譲渡を契約で禁止している場合は利用できません。
代理受領
売掛債権の譲渡を契約で禁止している場合は、代理受領という方法で債権を回収することもできます。代理受領とは、取引先が別の企業に対して持っている売掛債権を自社が変わりに取り立てる方法です。
あくまでも代理で受け取る形のため、回収した売掛債権は取引先に返還しなければなりませんが、未払いの売掛金との相殺が認められています。
調停
相手方が売掛金を支払う意思がない場合は、調停や訴訟などの法的手続きに移行しましょう。調停は、調停員や裁判官の仲介によって相手方と話し合い、問題の解決を図る方法です。調停で合意が成立した場合は調停調書を作成し、その内容に基づいて売掛金問題を解決することになります。調停調書を作成したにもかかわらず支払わない場合は強制執行が可能です。
強制執行となれば、相手方の財産を裁判所が差し押さえ、お金に換えて売掛金の支払いに充てます。このとき、相手方が財産隠しや処分をしないように、事前に仮差押えの手続きが必要です。
訴訟
訴訟は、提出した証拠をもとに裁判所が判決を下します。その判決内容に従って売掛金問題を解決することになりますが、判決内容に従って売掛金を支払わない場合は強制執行を行うことができます。
売掛金が回収不能になった場合の対応方法
売掛債権が回収不能になった場合は、第三者へ売掛債権を売却することを検討しましょう。債権額の100%ではなく、手数料が差し引かれた金額で譲渡することになりますが、このまま1円も回収されないよりは被害を抑えることができます。ただし、相手方が支払えない状況にある場合、債権を買い取ってくれる業者はなかなか見つからないでしょう。
相手方が破産しているために売掛金の支払いが期待できない場合などでは、回収を諦めるしかありません。この場合は損金処理によって経費に計上し、課税額を下げることができます。
まとめ
売掛金は、支払催告によって支払われる場合もあれば、調停を行っても合意に至らない場合もあります。最終的には訴訟によって裁判所に判断をゆだねるしかありません。売掛金が支払われない場合は速やかに弁護士に相談し、対応策についてアドバイスを受けることが大切です。
梅田パートナーズ法律事務所では、売掛金の回収方法に関するアドバイスから各種手続き、交渉までサポートしております。まずはお気軽にご相談ください。
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