未払賃金立替払制度の利用条件は?雇用・倒産それぞれの条件を詳しく解説
未払賃金立替払制度には、雇用と倒産それぞれに条件が定められています。両方の条件を満たした場合にのみ制度を利用できます。また、条件を満たしていることがわかったら、速やかに手続きすることが大切です。ここでは、未払賃金立替払制度の利用条件や申請の流れなどについて詳しく解説します。
未払賃金立替払制度とは
未払賃金立替払制度とは、会社の倒産や事業停止などが原因で給与や退職金などが未払いになった場合、その一部について独立行政法人労働者健康安全機構が事業主の代わりに立て替える制度です。未払い給与や退職金が多額の場合、生活に困窮する可能性もあります。同制度を利用することで、従業員は未払い賃金の一部を受け取ることができます。
未払賃金立替払制度を利用するための従業員側の条件
未払賃金立替払制度を利用するためには、従業員と会社の両方が条件を満たす必要があります。まずは、従業員が満たす必要がある条件について詳しく見ていきましょう。
労働者として倒産した会社に雇われていた
労働者とは、会社に雇われており、労働の対価として賃金が支払われていた人のことです。雇用形態に条件はないため、正社員や契約写真、パート・アルバイトも含まれます。ただし、事業主の同居親族は労働者として雇用されていても、原則的に制度を利用できません。
倒産した日の6ヶ月前から2年の間に退職した
倒産した日には「事実上の倒産日」と「法律上の倒産日」があります。事実上の倒産日は、労働基準監督署へ認定申請した日、法律上の倒産日は破産手続きなどの申立日です。なお、退職から6ヶ月以内に裁判所への申立や労基署への認定申請をしない場合、同制度を利用できなくなります。
未払賃金立替払制度が適用される会社側の条件
未払賃金立替払制度を利用できる会社側の前提条件は、労災保険の適用事業者かつ1年井所うの事業活動を行っていることです。そのうえで、「法律上の倒産」と「事実上の倒産」の諸条件を満たす必要があります。それぞれ詳しく見ていきましょう。
法律上の倒産
未払賃金立替払制度の対象となる法律上の倒産は以下のとおりです。
- 破産法に基づいた破産手続
- 会社法に基づいた特別清算手続
- 民事再生法に基づいた民事再生手続
- 会社更生法に基づいた更生手続
なお、未払賃金立替払制度は裁判所から指名される「証明者」が手続きを代行してくれる場合があります。破産の場合は破産管財人、特別生産では清算人、民事再生では再生債務者、会社更生では管財人という名称です。
事実上の倒産
会社の状況によっては、法的手続きをとらずに突如としてオフィスや工場が閉鎖されることがあります。このような事態でも未払賃金立替払制度を利用できるように、事実上の倒産をしたことを労働基準監督署へ認定申請します。認定申請を受けた労働基準監督署は、下記の条件を満たしている場合に「事実上の倒産をした」と認定します。
- 事業活動を停止していている
- 事業活動の再開の見込みがない
- 未払い賃金を支払う能力がない
未払賃金立替払制度の手続きの流れ
未払賃金立替払制度を利用する際は、次の流れで手続きを進めましょう。
1.未払い賃金額を確認する
未払いの給与や退職金を給与明細書で確認します。金額がわからない場合は、会社の労務担当者や証明者に確認しましょう。
2.証明書または認定通知書の交付を受ける
法律上の倒産をした場合は、認定者か裁判所に申請して「証明書」の交付を受けます。事実上の倒産の場合は、労働基準監督署へ認定申請書を提出し、認定通知書の交付を受けましょう。続いて、確認申請書を提出し、確認通知書の交付を受けます。
3.立替払請求書の提出
証明書または確認通知書に一体になっている「立替払請求書」に請求年月日、氏名、振込口座情報などを記入し、独立行政法人労働者健康安全機構に提出します。なお、立替払金は退職所得扱いとなるため、請求書の下部に設けられている「退職所得の受給に関する申告書・退職所得申告書」にも記入が必要です。
4.支払い
請求書の内容に基づいて審査を行います。審査に通過できれば、請求書に記載した振込先に立替払金が入金されます。
まとめ
未払賃金立替払制度は、賃金の未払いによる労働者の損害を抑えるための制度です。全額が支払われるわけではないため、引き続き未払い賃金の回収に向けて行動したいところでしょう。しかし、倒産状態にある会社から未払い賃金を回収することは難しいものです。まずは、今後の行動について弁護士に相談することをおすすめします。梅田パートナーズ法律事務所では、未払い賃金の請求をはじめ、各労働問題に対応しています。まずはお気軽にご相談ください。
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