建築業で破産した場合は宅建士の資格も失う?
建築業の企業が破産した場合、経営者が持つ宅建士の資格は失うのか気になる方は多いでしょう。ここでいう破産とは自己破産のことですが、経営が立ち行かなくなったときの手続きは自己破産だけではありません。ここでは、建築業の企業が破産した際に宅建士の資格は失うのかどうか、債務整理の種類ごとに解説します。
宅建士の資格を失うのは自己破産をした場合
任意整理や個人再生をした場合は、宅建士の資格は解除されません。
一方、自己破産をした場合は、宅建士の登録が解除されます。自己破産の手続き中は破産者の扱いとなり、資格制限を受けます。資格制限を受けている間は、宅建士として働くことができません。また、自己破産した際は、宅建士として登録している都道府県の役所に自己破産した旨を30日以内に報告することが義務づけられています。
建築業の事業継続もできなくなる
建築業の経営者が自己破産した場合は、建築業許可も取り消しになります。役員から外れることで事業継続が可能になりますが、現実的に難しいケースが多いのではないでしょうか。
復権によって宅建士を再び登録できる
宅建士として働けないのは、自己破産の手続き中のみです。裁判所から免責許可決定が降りた場合は復権できます。そのため、宅建士の資格を再び取得するために試験を受ける必要もないですし、再起も可能です。
復権までにかかる期間
自己破産の手続き開始から免責許可決定までの期間は3ヶ月~1年程度です。自己破産の手続きの内容によって復権にかかる期間が異なります。例えば、同時廃止事件は2ヶ月~4ヶ月程度、少額管財事件は3ヶ月~6ヶ月程度、特定管財事件は6ヶ月~1年以上です。
どの事件に該当するかは、企業や債務の状況などで決まります。どの事件に該当するかは弁護士に質問しましょう。
復権までの期間を短縮する方法
復権までの期間をできるだけ短縮したい場合は、弁護士に相談しましょう。弁護士は、復権までの期間が短い同時廃止事件として認められるように、有利な情報を収集し、適切な形で申請してくれます。もし、管財事件になっても、復権までの期間が比較的短い小額管財事件にできる可能性があります。
そして、自己破産の手続きを自分で行わずに済むので、手続きミスによる再申請などで時間をロスすることがありません。ただし、自己破産の手続きに強い弁護士でなければ申請に手間取る可能性があるため、弁護士を選ぶ際は得意分野をチェックしましょう。
例外的に復権に長い時間がかかるケース
自己破産は必ず行えるとは限りません。もし、免責不許可事由に該当した場合、破産者から復権できないため、最大10年は宅建士として働けなくなります。ただし、時間をかけて借金を完済したり個人再生で借金を大きく減額したりすれば、早期に復権が可能です。
また、弁護士に相談することで、裁量免責によって免責許可が降りる場合があります。
自己破産以外の方法を選ぶことで影響を抑えられる
自己破産は債務整理の方法の1つです。債務整理には、自己破産のほかに任意整理と個人再生があります。いずれも宅建士の登録が解除されることがないので、問題なく事業を継続できます。ただし、自己破産のように負債を全額免除にはできません。それぞれの特徴を詳しくご紹介します。
任意整理
任意整理は、裁判所を介さずに債権者と直接交渉をして借金の減額や返済期間の延長をする手続きです。
裁判所を介さないので、当事者同士の間でのみ情報が共有され、債権者ではない取引先や金融機関に知られる心配がありません。取引先に知られると、倒産の影響を受けることを恐れて今後の取引を断られる可能性があります。
任意整理を成功させるには、現実的な返済計画を立案し、債権者と交渉する必要があります。任意整理の交渉が得意な弁護士に依頼することで成功率が高まります。
個人再生
個人再生とは、借金を減額したうえで長期分割払いにすることで借金返済の負担を大きく減らす手続きです。事業・財産を維持しつつ再生を目指すことができます。個人再生は任意整理とは異なり、裁判所を介する手続きです。そのため、政府の新聞のようなものである官報に個人再生をした人物の情報が掲載されます。
取引先に個人再生をした旨が伝わることで取引を断られる恐れがありますが、取引先が官報を読んでいる可能性は極めて低いでしょう。
まとめ
建築業で自己破産した際は、宅建士の登録が解除されます。ただし、免責許可決定が降りることで復権できます。また、復権までの期間は建築業許可も失われるので事業継続ができません。少しでも早く復権したい、他の債務整理を含めて検討したい方は梅田パートナーズ法律事務所までご相談ください。企業の状況を踏まえ、最適と考えられる方法をご提案いたします。
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