会社が買収されると何が起きる?知っておきたいポイントを解説
経営不振や後継者問題など、会社が買収される原因はさまざまです。会社の買収後はどのようなことが起きるのかがわからず、不安が強くなっている方も多いでしょう。ここでは、会社が買収されると起きることについて詳しく解説します。これから会社の売却を検討している方は参考にしてみてください。
会社の買収とは
会社の買収とは、会社の経営権を譲受することです。会社そのものを買い取る場合もあれば、事業単位で買い取る場合もあります。買収した会社の議決権の過半数に相当する株式を取得すれば、取締役の選任や解任などの普通決議を行えます。さらに、議決権の3分の2以上を取得すれば、定款の変更や新株発行などに必要な特別決議の成立も可能です。
買収された会社に起きること
買収された会社に起きることはケースバイケースです。主に、次のような変化が起きるでしょう。
会社は存続することが多い
買収された会社は、存続することが多いでしょう。資産や負債、事業に使用していた設備、商品、サービス、顧客、取引先との関係なども引き継がれることが一般的です。ただし、買収した企業の方針や判断によって、やむを得ず会社を清算する場合もあります。
従業員の異動・退職
買収された会社は、従業員の異動や退職が起きる可能性があります。買収された時点で退職する人もいれば、会社の方針が変わったことで退職する人もいるでしょう。また、待遇面や異動による業務内容の変化も退職要因の1つです。
従業員の条件は買収交渉の段階で慎重に協議し、合意のもとで進める必要があります。しかし、買収する側とされる側の関係性によっては、不利な条件を承諾せざるを得ない場合もあるでしょう。
株式譲渡では、従業員の雇用契約がそのまま引き継がれるため、労働条件が変わらないケースがほとんどです。ただし、買収語に給与や退職金の規程が変更されることで、生涯賃金に影響が出る可能性があります。
経営方針や社風が変わる
経営方針や社風が変わり、業務の進め方や顧客対応などを変えることになる可能性があります。社風が変わると従業員の働きやすさも変わるため、従業員満足度に影響が出るでしょう。
役員の待遇が変わる
買収後、非常勤役員は多くの場合は退任します。これは、実態がなく形だけの存在であるケースが多いためです。一方、常勤役員は力量や企業の状況によって対応が変動します。また、役員報酬や退職慰労金を決定する権限を持っているため、待遇が変化したことをきっかけに自主退職する場合もあるでしょう。
役員の力量や企業の状況によって変化の方向が大きく異なり、予想することは困難です。
評価基準の変化
買収された後は、買収側の人事制度との統合が必要です。そのため、評価基準が変化して、これまでに評価されていなかった従業員が高評価を得られる可能性があります。その反対のパターンも考えられるでしょう。人事制度のすりあわせには1~2年ほどの期間が必要で、少しずつ買収側の人事制度へと移行していくことが一般的です。
福利厚生の変化
福利厚生は買収側が自由に決定できます。給与は低いが福利厚生が充実していることが従業員に評価されていた場合は、福利厚生の充実性が低下すると退職率が上がる可能性があります。ただし、買収は比較的規模が大きい企業が小さい企業を買収するケースが多く、買収側の福利厚生に合わせることで結果的に充実する場合も少なくありません。
取引先との関係
取引先との関係は、利害が一致してこそ継続するものですが、代表者同士の間柄が関連しているケースがあります。前の代表者だからこそ取引していたというケースでは、買収された後に取引関係が解消されるかもしれません。
また、こちらが有利な条件で取引できていたところ、不利な条件に変わる恐れもあります。このように、代表者が取引先との関係に影響を及ぼしているケースでは、買収後に悪い結果になる可能性があることを覚えておきましょう。
事前の交渉が重要
買収側との交渉によって、従業員の扱いや待遇、経営方針などが決まります。そのため、社長の立場から退くとしても、今後の会社のことを思うのであれば交渉を慎重に進めることが大切です。譲れない条件を出して、双方の妥協点を見つけましょう。
まとめ
会社が買収されると、代表者が変わることで経営方針や社風が変わったり、人事評価や業務内容まで変化したりする場合があります。ただし、買収後も代表者が続投したり、待遇が改善したりするケースも少なくありません。買収は必ずしもネガティブな意味を持つわけではなく、会社を存続させるために買収を選択する人もいます。買収を検討するタイミングや進め方などについては、M&Aに詳しい専門家に相談するとよいでしょう。
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