でんさいとは?特徴・メリット・利用の流れなどについて徹底解説
手形や指名債権は、手続きの手間やコスト、安全性などに問題があります。これらの問題を解決した新しい金銭債権が「でんさい」です。また、資金調達の円滑化にも繋がるため、中小企業や個人事業主はチェックしておくことをおすすめします。ここでは、でんさいの特徴やメリット、利用の流れ、利用方法などについて詳しくご紹介します。
でんさいとは
でんさいとは、株式会社全銀電子債権ネットワーク(でんさいネット)が取り扱う電子記録債権です。手形や指名債権の問題点を解消し、円滑な資金調達を促すことができる金銭債権として普及しています。でんさいの歴史や安全性などについて詳しくご紹介します。
でんさいの歴史
でんさいは、電子記録債権制度に基づいて運用されます。2005年12月から法務省や金融庁の法制審議会、金融審議会などで「電子債権に関する基本的な考え方」について検討が開始されました。そして、2008年6月に電子記録債権法が成立し、2008年12月から施行されました。
あわせて知っておきたい電子債権記録機関とは
電子債権記録機関は、電子記録や債券内容を記録し、利用者の請求に基づいて開示する登記所的な役割を果たします。
安全性
でんさい取引は、安全性を確立するために、権利内容・帰属の可視化や意思表示に関する第三者保護、善意取得・人的抗弁の切断など、さまざまな対策がされています。
でんさいの特徴
でんさいには、次の特徴があります。
手形的利用
現行と同様の利用方法のため、中小企業の資金調達を円滑に行う方法として利用できます。また、手形の取引停止処分制度と類似した制度を整え、電子記録債権としての価値を維持しています。
全銀行参加型
社会のインフラとして構築されるべく、全銀行参加型を採用しています。銀行間の決済システムを用いて資金を回収できます。
間接アクセス方式
金融機関を経由して「でんさいネット」にアクセスすることで、でんさいを利用できます。現在、利用している金融機関を経由して利用できるため、サービスを受ける際に安心感を得られます。
でんさいの取引の流れ
でんさいの取引の流れは次のとおりです。
1.でんさいの発生
でんさいが発生するのは、金融機関を経由してでんさいネットの記録原簿に発生記録を行ったときです。
2.でんさいの譲渡
金融機関を経由してでんさいネットの記録原簿に譲渡記録を行うと、でんさいを譲渡できます。また、分割した債権の譲渡も可能です。
3.でんさいの支払
支払期日に支払企業の口座から引き落とされ、納入企業の口座へ払い込まれます。このとき、でんさいネットに支払等記録が残るため、煩雑な手続きを行う必要はありません。また、納入企業は支払期日の当日から資金を利用できます。
でんさいのメリット
でんさいには、次のメリットがあります。
コストを削減できる
手形の場合、手形用紙代や手形印紙税、郵送料、人件費などがかかります。一方、でんさいにかかるコストは金融機関に支払う手数料のみです。手形とでんさいを併用することで、コストを大きく抑えられます。
業務時間を削減できる
手形は、金額を打ち込んだり印紙を貼り付けたりと、さまざまな作業が必要です。封筒に詰めたり郵便局に持ち込んだりも必要なため、他の業務を圧迫することもあるでしょう。でんさいは、インターネット経由で簡単に手続きができるため、業務時間を大きく削減できます。
紛失や盗難のリスクがない
手形は、紛失や盗難のリスクがあります。また、送り先を間違えたり郵送が遅れたりすることもあるでしょう。でんさいは電子記録債権で現物が存在しないため、このようなリスクがありません。また、インターネット環境が失われない限り、災害時の支払遅延の心配もないでしょう。
でんさいに関するよくある質問
でんさいの導入をはじめるにあたり、よくある疑問点について回答します。
Q.利用料金は?
でんさいは、でんさいネットを通じて手続きをします。でんさいネットの利用料金は窓口となる金融機関によって異なります。
Q.でんさいネットは誰でも使える?
でんさいネットは、個人事業主と法人が利用できます。日本の法人・個人であり、暴力団組員等ではない、行為能力に制限がないなどの条件を満たせば利用可能です。ただし、債務者として利用する場合は支払能力が求められます。
まとめ
でんさいは、手形のように煩雑な業務が不要です。短時間であらゆるリスクが低い債権を発行できるため、手形から完全移行するのも1つの方法でしょう。ただし、でんさいは相手方も利用している必要があるため、現実的には難しいかもしれません。でんさいのメリットを得るために、今回ご紹介した内容を参考にしてみてください。
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