自己破産者でも再び会社を設立できる?知っておきたいポイントを解説
自己破産に対して、一度行うと再起できないイメージを持っているために、再び会社を設立できないと思っている方は多いのではないでしょうか。実は、自己破産をしていても再び会社を設立できる可能性があります。ここでは、自己破産者が再び会社を設立できることについて解説するとともに、設立する際のポイントを紹介します。
自己破産者でも会社を再び設立できる
中小企業者の多くは、経営者が会社の債務を個人保証しています。そのため、中小企業を破産させる際は、経営者も自己破産するケースが多くみられます。旧商法254条ノ2第2号では、自己破産をした人物は取締役に就任できないことが定められていました。自己破産者が再び会社を設立できないために、市場の活性化に悪影響が及ぶことが懸念されます。
国は、自己破産者であっても会社経営に再度チャレンジできるようにするべきとの考えを示し、平成18年5月施行の会社法には同事項が定められないことになりました。つまり、現在は自己破産者でも再び会社を設立できるようになっています。
取締役に就任できない人とは
次に該当する場合は取締役に就任できません。
- 成年被後見人や被保佐人など
- 会社法や中間法人法、破産法、民事再生法、会社更生法、証券取引法などに違反した者
- その会社、または親会社の監査役、会計監査人、会計参与
- 委員会設置会社である場合においては、その使用人
- 株式譲渡制限会社が定款で「株主から取締役を選任する旨」を定めた場合における非株主
自己破産が会社設立に与える影響
自己破産者でも再び会社を設立できますが、自己破産によって次のような問題が起きるため、実際には設立が難しいケースがあります。
融資を受けられない可能性がある
自己破産すると、信用情報に記録されるほか、金融機関のブラックリストに掲載され、融資を受けられなくなる場合があります。信用情報に記録が残る期間は5年~10年といわれています。また、金融機関のブラックリストについては、存在するかどうかも含めて非公開です。一定期間で削除される場合もあれば、一生記録が残り、その金融機関と取引できなくなる可能性もあります。
融資を受けられない場合、会社の事業に実質的に制限がかかり、結果として再起できなくなることもあるでしょう。
クレジットカードを作れなくなる可能性がある
自己破産すると、クレジットカードを作成できなくなる可能性があります。これは、信用情報やブラックリストに自己破産した旨が記録されるためです。クレジットカードは、翌月に料金を支払う形式のため、安定収入があり、信頼性に問題がない人物でなければ作成できません。
自己破産者は、踏み倒しや返済できなくなるリスクが高いとみなされるため、クレジットカードの審査に通過しにくくなります。
許認可を取得できない場合がある
会社の事業によっては許認可を取得する必要があります。会社を再び設立できても、許認可の取得が不可能であれば経営はできません。例えば建設業の場合、許可を取得できないとされています。許可を取得できるかどうか、どのような手続きが必要か、などについては、許認可や自己破産後の会社設立に詳しい弁護士に相談しましょう。
自己破産後に再び会社を設立する際のポイント
自己破産後に再び会社を設立したいときは、次のポイントを押さえましょう。
自己資金を十分に用意する
融資を受けられない場合、自己資金のみで起業することになります。事業にかかるお金を可能な限り正確に計算し、必要な自己資金を算出しましょう。自己資金のみで会社を設立すれば、返済に追われることもありません。
初期費用が少額で済む事業を選ぶ
自己資金を自分で用意する場合、初期費用が少額で済む事業を選ぶのも1つの方法です。例えば、店舗型の事業、大型の機器が必要な事業は多額の初期費用がかかるため、起業までに時間がかかりすぎてしまうでしょう。
実店舗が不要、インターネットで集客を自動化できるなど、初期費用を抑えられる事業・ビジネスモデルを選ぶことが大切です。
再挑戦支援資金を利用する
日本政策金融公庫の「再挑戦支援資金(再チャレンジ支援融資)」を利用できる場合があります。ただし、さまざまな条件を満たす必要があるため、すべての人が利用できるわけではありません。まずは、現在の状況を日本政策金融公庫に伝え、利用資格があるかどうか確認しましょう。
まとめ
自己破産者でも再び会社を設立できますが、資金面の問題に直面する方が多いのではないでしょうか。また、許認可を取得できず、事業が制限される場合もあります。梅田パートナーズ法律事務所では、これから自己破産をしようと考えている人や、再チャレンジを検討している人のサポートを行っておりますので、お気軽にご相談ください。
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