自己破産の免責不許可事由とは?種類と該当する行為を紹介!
自己破産を申請すれば、債務を簡単に免責にできると思っている方は多いのではないでしょうか。実は、自己破産は裁判所の判断で免責が許可されないケースがあるのです。これを免責不許可事由といい、自己破産を希望している方は確認しておく必要があります。ここでは、自己破産を免責不許可事由の種類と該当する行為などをご紹介します。
自己破産するために満たすべき前提条件
自己破産するには、自己破産を行うための前提条件を満たす必要があります。支払い能力があるにもかかわらず自己破産の申し立てを行っても、免責許可決定は下りません。また、免責許可が下りるまでは、警備員や士業、保険業、証券会社の外交員などの職業に就業できなくなります。そのため、これらの職業に就いており、退職や転職が難しい場合には、自己破産を諦めることになる可能性があります。
免責不許可事由とは
自己破産における免責とは、債務の返済義務が免除されることです。免責不許可事由は、免責を許可できない事由を指します。自己破産を免責されないのであれば、手続きを行う意味がなくなります。そのため、自己破産を希望している場合は、免責不許可事由に該当する行為がないか確認が必要です。
非免責債権は全くの別物
免責不許可事由と混同されやすい言葉に「非免責債権」があります。非免責債権とは、免責の効力を受けない債権のことです。免責が許可されても、非免責債権だけは返済義務が残ります。ただし、後述する「裁量免責」が認められることで、非免責債権も免責されます。
免責不許可事由一覧
自己破産における免責不許可事由は次のとおりです。
- 債権者に配当すべき財産を隠匿した
- 債権者に配当すべき財産を損壊した
- 債権者に配当すべき財産を他人に贈与するなど不利益を与えた
- 債権者に配当すべき財産の管理を怠り、破産財団の価値を不当に減少させた
- 破産手続開始を遅らせるために著しく不利益な条件で債務を負った
- 破産手続開始を遅らせるために、信用取引で商品を購入し、これを著しく不利益な条件で換金した
- 特定の債権者に利益を与える、あるいは他の債権者に害を与えるために、特定の債権者の債務を返済したり担保を設定したりする
- 浪費による財産の著しい減少や過大な債務の負担をした
- 賭博で財産の著しい減少や過大な債務の負担をした
- 株取引や先物取引などの投資行為で株取引・FX取引・先物取引・仮想通貨取引などで財産の著しい減少や過大な債務の負担をした
- 破産手続開始の申立て日の1年前から破産手続き開始が決定した日までに、借金返済の停止を隠し、嘘をついて借金をしたりクレジットカードで商品を購入した
- 帳簿や決算書など財産状況を知るための資料や書類を隠蔽・偽造・内容を改変した
- 債権者名簿や債権者一覧の内容に虚偽があった
- 破産審尋などで説明を拒む、虚偽の説明をした
- 破産管財人や保全管理人、破産管財人代理または保全管理人代理などの職務を脅迫や暴行で妨害した
- 過去に自己破産で免責許可決定を受けたことがあり、その免責許可決定が確定した日から今回の申し立てまでの期間が7年未満であること
- 個人再生の給与所得者等再生で再生計画認可決定を受けた日から今回の申し立ての日までの期間が7年未満であること
- 個人再生のハードシップ免責の許可を受け、再生計画認可決定の日から今回の申し立てまでの期間が7年未満
- 債権者集会などで破産に関する説明が不十分
上記、いずれか1つでも当てはまる場合は、免責許可決定が下りない可能性があります。
免責不許可事由があっても免責されるケース
免責不許可事由に該当する行為があっても、裁判所が諸般の事情を考慮して免責が許可される場合があります。これを裁量免責といいます。免責不許可事由に該当する行為があるため、自己破産はできないと思い込み、借金の苦しみから解放されずにいる方もいるかもしれません。
免責不許可事由がある時点で自己破産を諦めるのではなく、まずは弁護士に相談することが大切です。
まとめ
自己破産における免責不許可事由は非常に多く、1つずつ当てはまっているかどうか確認することは困難です。また、裁量免責もあることから、自己破産できる可能性があるかどうかは弁護士に相談しなければわかりません。自己破産手続きの実績が豊富な弁護士であれば、自己破産ができる可能性について、より深い話が聞けるでしょう。
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