法人・会社が破産したら不動産はどうなる?管理方法や注意点も解説
法人・会社が破産した場合、所有している不動産は失ってしまうのか、それとも経営者が自己の所有物として扱えるのかなど、さまざまな疑問や不安を感じる方は多いのではないでしょうか。結論から言えば、法人・会社が破産した場合、不動産は破産財団に組み込まれて換価処分されます。
この記事では、法人・会社が破産した場合の不動産の扱いについて詳しく解説します。
法人・会社の破産時に所有している不動産の扱い
法人・会社が破産する時点で所有している土地や建物といった不動産は、破産手続きが開始した際にすべて破産財団に組み込まれ、破産管財人が管理・処分します。自社ビルや駐車場、賃貸物件など、所有している不動産すべてが対象です。
破産管財人は、不動産を処分してお金に換えて債権者に弁済・配当します。
破産管財人に引き継ぐまでは自社で管理する
破産管財人に不動産の管理を引き継ぐまでは、法人・会社が管理します。ここでいう管理とは、これまで行ってきた維持管理に加え、不動産の登記名義が変更されないように管理することです。例えば、法人・会社が所有している不動産を経営者や取締役など、別の名義に変更することは許されません。
また、つながりが深い特定の取引先へ優先的に弁済するために、法人・会社が所有している不動産を譲渡したり換価したりすることも禁じられています。
これらの行為は破産が認められなくなるばかりか、刑罰を科せられる可能性もあるため注意が必要です。
ただし、所有不動産を売却して、破産手続きの裁判費用や弁護士費用に充てることは認められています。
破産管財人が不動産を管理・処分する
法人・会社の破産手続きの開始後は、破産管財人へ不動産の管理を引き継ぎます。関連する契約書類や図面、鍵、権利証などをすべて渡しましょう。
破産管財人は、不動産への不法侵入を防ぐための措置を講じる必要があり、場合によっては鍵の交換や警備システムの契約継続なども実施します。このような管理をしたうえで不動産を換価処分し、債権者へ弁済します。
抵当権が設定されていても破産財団に組み込まれる
法人・会社の不動産に抵当権が設定されている場合、抵当権者が抵当権を行使できます。抵当権者は別除権者であり、破産手続き中でも抵当権の行使が可能です。つまり、不動産を競売にかけて換価し、他の債権者よりも優先的に再建を回収できます。
ただし、抵当権が設定されていたり、破産手続き開始時にすでに競売にかけられていたりしても、この段階では法人・会社の所有物であるため、破産財団に組み込まれて破産管財人に管理・処分が引き継がれます。
そこで破産管財人は、抵当権者と交渉をしながら不動産の換価処分を進めることになります。
破産手続き開始前の任意売却はNG
法人・会社が所有する不動産を破産手続き開始前に売却しようと考える方もいるでしょう。しかし、破産手続き開始前に所有不動産を任意売却や譲渡すると、売却額や処分の方法などによっては不当な財産処分とみなされ、破産ができなくなる恐れがあります。
すでに不動産を売却してしまっている場合は、売却代金や売買契約書類などを破産管財人に渡し、どのように対応すればよいか指示を受けましょう。また、生活費のために不動産を売却したい場合は、事前に弁護士に相談し、売却しても良いかどうかアドバイスを受けることが大切です。
破産手続から不動産が処分されるまでの流れ
破産手続きの開始から不動産が処分されるまでの流れについて詳しくみていきましょう。
1.破産手続の開始
破産手続きを行う場合は、弁護士に相談・依頼する必要があります。破産手続きに強い弁護士を選ぶとスムーズに進むでしょう。
2.破産管財人へ不動産を引き継ぐ
裁判所により破産手続き開始決定となれば破産管財人が選任されます。所有不動産の権利証や図面、鍵などを破産管財人に引き渡します。
3.不動産の任意売却
破産管財人は不動産を任意売却します。任意売却とは、抵当権を持つ債権者と協議し、債権者の同意を得たうえで購入希望者を見つけて売却する方法のことです。
債権者は通常、不動産を差し押さえて競売にかけることで債権を回収できますが、任意売却は競売よりも高値で売却できる可能性があるため、同意を得られやすいでしょう。
任意売却は、破産手続き申立後に破産管財人を中心に進めます。破産手続き申立前に任意売却することも可能ですが、具体的な売却時期については弁護士に相談して決めることをおすすめします。
まとめ
法人・会社が破産した場合、所有不動産は破産管財人が管理・処分します。破産手続き開始前に独断で不動産を売却すると、破産が認められなくなる恐れもあるため、事前に弁護士に相談することが大切です。
梅田パートナーズ法律事務所では、法人・会社の破産手続きについて不動産の売却時期のアドバイスや各種サポートなどトータル的な対応が可能ですので、ぜひ一度ご相談ください。
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