有限会社の廃業手続きの流れは?必要書類もプロセス別に紹介!
有限会社が廃業手続きをする際は、法律で定められた手順に沿って進める必要があります。また、各プロセスで必要書類を確実に提出し、円滑に進めることが求められます。事前に流れを把握しておくことで、有限会社の廃業手続きをスムーズに進められるでしょう。ここでは、有限会社の廃業手続きの流れと各プロセスにおける必要書類について詳しくご紹介します。
有限会社の廃業とは
有限会社とは、設立時の資本金が300万円以下で、従業員数が50人以下の比較的小規模な会社です。なお、現在は有限会社の代わりに合同会社が新たに加わり、有限会社は設立できなくなっています。
有限会社の廃業手続きの流れと必要書類
有限会社を廃業する場合は、次の流れで手続きを進めます。各プロセスにおける必要書類とあわせて詳しく見ていきましょう。
1.株主総会で会社解散と清算人選任を決議する
会社の廃業手続きにはいくつかの種類がありますが、一般的には株主総会で解散を手続きする方法を選びます。普通決議と比べて要件が厳しい特別決議をし、さらに会社の精算手続きを進める清算人を選任します。
2.解散と清算人を登記する
会社の解散と清算人の選任を行った決議に基づき、法務局で登記します。登記には次の書類が必要です。
- 臨時株主総会議事録
- 清算人の就任承諾書
- 清算人の印鑑証明書
- 改印届出書
- 株主のリスト
- 登記申請書
登記申請の期限は、有限会社の解散を決議後、2週間以内です。
3.官報公告
官報とは、政府が発行する機関誌です。会社を解散した旨を官報で広く知らせることを「公告」といいます。官報公告が必要な理由は、会社の解散によって債権者に一方的な不利益が及ぶ事態を防ぐためです。
ただし、官報を日常的に閲覧しているのは金融機関や政府関係者のため、官報公告をすれば必ず債権者にその情報が届くとは限りません。
4.債権者に個別で催告する
官報公告だけでは債権者に会社を解散する旨が伝わらない可能性があります。そのため、債権者には個別に解散の事実を伝えなければなりません。会社の解散を知った債権者は、2ヶ月以内を期限に会社の解散に対して異議を申し立てることができます。
5.解散時の資産と負債を洗い出す
会社を解散した時点における資産と負債を洗い出し、財産目録を作成します。さらに、解散日までを1つの事業年度として、賃借対照表や損益計算書などさまざまな計算書類の作成も必要です。これらの書類は、株主総会で承認を得る必要があります。
6.税金を計算する
賃借対照表や損益計算書など、作成した各種書類の内容に基づいて税金を算出します。税金関連の申告書は、計算に使用した書類と一緒に税務署に提出する必要があります。提出期限は解散した日から2ヶ月以内です。
また、税金が発生した場合は、解散日から2ヶ月以内に納税が必要です。
7.清算関連の事務
会社の精算とは、換価した資産を負債の返済に充て、残額を株主に分配することです。対象となる資産は、会社が保有する有価証券や不動産、社用車など、全ての資産です。
最終的には銀行口座も残額を0円にする必要がありますが、全ての手続きが完了するまでは手をつける必要はありません。また、リースや生命保険なども解約が必要です。
8.残余財産の分配
残余財産とは、資産を換価して負債の返済に充て、最終的に残った財産のことです。残余財産は出資割合に応じて株主に分配します。出資金額を上回る分の分配については、配当所得として課税されます。また、配当分の金額は会社が所得税の源泉徴収をする必要がある点に注意が必要です。
9.残余財産確定申告書の提出
残余財産を確定した事業年度の申告書を税務署に提出します。精算手続きにおいて株主や不動産を売却して利益が発生した場合は、その利益に法人税が課税されます。
残余財産の確定から1ヶ月以内に申告し、同時に納税も行います。ただし、残余財産を間もなく最終分配する場合は、その日の前日までに申告します。
10.株主総会で清算報告書の承認
清算事務の完了後は、清算事務決算報告書を作成し、株主総会で承認を得る必要があります。
11.清算結了の登記
株主総会で承認を受けた後は、2週間以内に法務局で清算結了の登記を行います。その際は、次の書類が必要です。
- 株主総会議事録
- 株主のリスト
- 登記申請書
まとめ
有限会社の廃業手続きは、各プロセスに期限が設けられています。必要書類の提出が必要なプロセスもあるため、早めに行動を始めた方がよいでしょう。また、必要書類や手続きに不備があると、有限会社の廃業に時間がかかりすぎる恐れがあります。そのため、廃業手続きの際は信頼できる弁護士のサポートを受けた方がよいでしょう。有限会社の廃業手続きを検討する際は、梅田パートナーズ法律事務所までご相談ください。
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