取引先が倒産したときの対応一覧!迅速かつ的確な対応が債権回収のコツ
未回収の債権がある取引先が倒産した場合、速やかに対処しなければ債権を回収できなくなる可能性があります。そのため、迅速かつ的確な対応をするとともに、各対応におけるポイントを押さえておくことが大切です。ここでは、取引先が倒産したときの対応を紹介するとともに、各対応におけるポイントを解説します。
債権のある取引先が倒産したときの対応
売掛金をはじめとした債権のある取引先が倒産した場合は、次のように対応しましょう。
取引先の状況の確認
まずは、取引先の状況を確認します。他所から仕入れた倒産情報は実情から剥離している場合があり、営業継続不可と聞いていても実際には継続できるケースがあります。「営業継続は可能なのか、代表者は連絡を取れる状況になるのか」などを確認しましょう。代表者の所在を聞く理由は、代表者が海外に失踪しており、債権回収が見込めないケースがあるためです。
債権債務の確認
取引先との契約書を確認し、債権の金額や種類などを把握しましょう。そのうえで、取引先への出荷予定や納品済み商品の状況・所在、取引先に対する債務の有無、手形の有無、他の債権者の状況などを確認します。
交渉
速やかに責任者と対面し、交渉を進めることが大切です。その際は、自社商品を引き上げることを伝え、許可を得たうえで回収しましょう。また、支払いの代わりに資産の譲渡を受ける「代物弁済」できないか交渉します。
例えば、取引先が持つ「入金前の受取手形」や「小切手」などをもらい受けたり、他社への納品物を引き取ったりします。ただし、後日に裁判所から否認される可能性もある点に注意が必要です。
担保権を実行する
担保を持っている場合は、担保権を実行します。担保権の実行とは、担保を売却して現金を手に入れることです。なお、担保を処分したときは取引先に通知を出す必要があります。内容証明郵便で通知することで、日本郵便が通知の内容や差し出した日、相手が受け取った事実などを証明してくれます。
また、担保権の1つである動産売買先取特権について確認しておきましょう。動産売買先取特権とは、動産を売却した者がその代金と利息について、他の債権者よりも優先して弁済を受けられる権利です。破産手続きにおける別除権として扱われるため、債務者が破産しても行使できます。
動産が取引先のもとにあるか、転売済みかによって法的手続きが異なります。いずれの場合も売買関係や納品の事実を示す証拠が必要なため、発注書や受注書、契約書、納品書などの書類は必ず保管しておきましょう。
督促状を送る
取引先に対して、督促状を送りましょう。債権者集会が開催される場合、忘れずに声をかけてもらうためにも、内容証明郵便を利用することが大切です。
相殺
担保を持っていなくても、取引先に支払う予定のお金があれば、売掛金と相殺できます。例えば、取引先に対する買掛金と未回収の売掛金を相殺することで、代金による支払いを受けた場合と同じ効果を得られます。その際は、相殺した旨を内容証明郵便で通知するか、取引先との間で合意書を作成しましょう。これらの書面の作成は難しいため、信頼できる弁護士に相談することをおすすめします。
保全措置や強制執行
取引先が交渉に応じない場合は、法的措置をとるのも選択肢の1つです。法的措置には、保全措置や強制執行があり、このうち保全措置には仮差押や仮処分があります。いずれも保証金がかかりますが、債務者の同意を得ずに売掛金を回収できます。仮処分は金銭債権のために用いることは通常ありませんが、販売・提供した商品などには適用可能です。
強制執行は、法律に基づいて権利行使が認められた「債務名義」が必要です。債務名義には、調停証書や民事訴訟、公正証書などがあり、このうち公正証書を債務名義とするには売掛金のうち一定額までの支払い請求であり、なおかつ債務者がただちに強制執行を認め、承諾する必要があります。
取引先の責任者と直接連絡を取れなくても、代理人の承諾があれば問題ありません。
まとめ
取引先が倒産した場合、すぐに行動しなければ売掛金を回収できなくなると思い、誤った行動を取ってしまうケースが少なくありません。このような場合は、信頼できる弁護士に相談することが先決です。債権の金額や種類、取引先の情報などを踏まえ、最適な対処法をアドバイス・代行できます。梅田パートナーズ法律事務所では、代理人として内容証明郵便で督促状を送付するのはもちろん、各手続きの代行・アドバイスなども行っておりますので、お困りの際はお気軽にご相談ください。
法人破産に悩んだら弁護士へ早めに相談を!
会社の資金繰りが悪い、苦しいことを一人で悩まないでください。専門の弁護士にお任せください。 初回無料でご相談いただけます。何を話せば良いか、誰に相談したら良いか分からない方もお電話を。