法人・会社が破産解散すると滞納している税金や社会保険料の支払いも消滅する?
法人・会社が破産するとき、債務・負債が消滅します。このとき、延滞している税金や社会保険料の支払い義務も消滅するのか、気になる方は多いのではないでしょうか。ネット上には、消滅しないという情報もあれば、消滅するという情報もあります。
破産手続き後に税金や社会保険料の請求権が消滅するかどうかは、経営者にとって大きな問題です。そこで今回は、法人・会社が破産したとき、滞納している税金や社会保険料がどうなるのか、詳しくご紹介します。
法人・会社が破産すると滞納している税金や社会保険料は消滅する
法人・会社が破産したとき、債務・負債は消滅します。これは、破産手続きによって法人・会社が消滅することで、債権の存在意義が失われるためです。
これは、滞納している税金や社会保険料の支払い義務についても同様です。
法人・会社が破産したときは、債務・負債・税金・社会保険料などは、すべて消滅することを覚えておきましょう。
個人の自己破産では滞納している税金や社会保険料は消滅しない
ネット上には、法人・会社が破産しても滞納している税金や社会保険料の支払い義務は消滅しないという情報があります。これは、個人の自己破産のケースと混同していると推測されます。
個人の自己破産の場合は、破産したところで人そのものが消滅するわけではありません。そのため、滞納している税金や社会保険料の債権は消滅しないのです。つまり、自己破産をして借金がなくなっても、税金や社会保険料の納付については国から請求され続けることになります。
法人・会社が破産するときは、滞納している税金や社会保険料の支払い義務は消滅します。そのため、国から請求されることはありません。
このように、個人と法人・会社で破産時の扱いが異なるため注意しましょう。
例外的に税金や社会保険料を支払う必要があるケース
法人・会社が破産した際に、例外的に税金や社会保険料の支払いが必要なケースがあります。例えば、合同会社・合名会社の無限責任社員は、破産しても滞納している税金や社会保険料の支払いが必要です。
また、破産した法人・会社の事業や財産を無償か廉価で第三者に譲渡している場合、譲受した人が破産した法人・会社の代わりに滞納した税金や社会保険料を支払う必要があります。
ただし、譲渡した財産が破産財団に組み入れられた場合は、この限りではありません。
また、納税において第三者が保証している場合は、その保証人が破産した法人・会社の代わりに税金を支払うことになります。納税に保証人を立てることは、過去に脱税や悪質な申告漏れなどが起きたときに、強く求められる可能性があります。
破産手続きの換価処分における税金や社会保険料の優先度
破産手続きの際には、破産管財人が会社の財産をお金に換えて債権者に配当します。このとき、滞納している税金や社会保険料にも配当されますが、これには優先順位があります。税金や社会保険料の請求権は他の債権よりも優先度が高いため、滞納分を完済しても残った額が他の債権に配当されます。
ただし、対象となる税金や社会保険料は、「破産手続きを開始する前に、破産手続きに至った原因によって発生したもの」に限ります。また、「納期限が到来していない」、または「納期限から1年以上経過していない」ことが条件です。
ただし、破産手続き開始後に発生した滞納においても、財産管理費用に該当するようなものは財団債権として優先的に弁済されます。
それでも弁済しきれなかった税金や社会保険料の請求権は、法人・会社の破産によって消滅します。
破産手続きは再スタートを切るための前向きな手段
法人・会社が破産すると、滞納している税金や社会保険料の請求権が消滅し、他の債権とあわせて一切の支払い催告を受けなくなります。その結果、再スタートを切るための準備を整えやすくなるでしょう。
破産手続きにネガティブなイメージを持つ方は少なくありません。これまで盛り立ててきた企業が消滅するのは、誰もが避けたいことではないでしょうか。
法人・会社の破産手続きは、再スタートを切るための準備と考えて、然るべきタイミングで行うことが大切です。
まとめ
法人・会社が消滅すると、滞納している税金や社会保険料の請求権も消滅します。そのため、破産手続き後に税金や社会保険料の支払いを請求される心配はありません。法人・会社の破産手続きや、消滅する債権について不明点がある場合は、弁護士に相談することをおすすめします。梅田パートナーズ法律事務所は、経営者様のお気持ちに寄り添い、わかりやすく適切なアドバイスや各種サポートをしておりますので、お気軽にご相談ください。
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