バス会社の倒産の方法は?原因・手続き・注意点を解説

2024.7.22

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倒産といっても、清算型と再建型があり、場合によってはM&Aも選択肢に入ります。バス会社の経営不振、人手不足などを理由に倒産を検討している方は、自身に適した選択肢を選ぶことが大切です。本記事では、バス会社が倒産に至る主な原因から、手続きの種類、注意点について詳しく解説します。

バス会社の倒産の種類

バス会社の倒産には、清算型と再建型があります。それぞれ詳しく見ていきましょう。

通常清算

通常清算は、バス会社が解散した際に、その財産を売却し、債務を支払い、会社を消滅させるための手続きです。会社が資産を保有し、債務をすべて支払うことができる場合に用いられます。通常清算は裁判所の関与がなく、清算人(通常は代表取締役)が手続きを進めます。

特別精算

特別清算は、通常清算では債務を完済できない場合に行う手続きです。裁判所が関与し、清算人が裁判所の監督の下で資産を処分し、債権者と協定または和解を行って債務を減額して清算を進めます。

破産

破産手続きは、バス会社が債務超過や支払不能の状態に陥った場合に行われます。裁判所に破産申立を行い、破産管財人が選任され、会社の資産を換価処分し、債権者に配当します。破産手続きが終了すると、会社は法的に消滅し、残った債務は免除されます​。

民事再生

民事再生は、バス会社が債務整理を行いながら事業を継続するための再建型の倒産手続きです。裁判所に申立を行い、再生計画を策定して債権者の多数の同意を得る必要があります。再生計画が認可されれば、債務の減額や弁済猶予が可能となり、会社の再建が進められます。

会社更生

会社更生は、主に大規模な株式会社を対象とした再建型の倒産手続きです。裁判所が選任する更生管財人が経営を引き継ぎ、債務整理と経営再建を図ります。会社更生手続きでは、担保権の実行が停止され、経営陣の刷新が求められるため、大規模な構造改革を伴います​。

バス会社はM&Aも方法の1つ

バス会社が経営困難に直面した際、M&A(合併・買収)も選択肢の1つです。バス会社のM&Aでは、株式譲渡と事業譲渡が主要なスキームとして用いられます。株式譲渡では、買い手が売り手のバス会社の株式を取得することで経営権を得ます。手続きが比較的簡便で、売り手が個人の場合、低い税率で譲渡所得を納税できるメリットがあります​。

一方、事業譲渡では、売り手側バス会社の事業や関連資産を選別して売買します。買い手は負債を引き継がずに済むため、買い手が見つかりやすいことがメリットです。

バス会社が倒産する原因

バス会社が倒産する原因は多岐にわたります。主な原因について詳しく見ていきましょう。

運転手不足

バス業界では運転手不足が深刻な問題となっています。規制緩和により中小のバス会社が増えた結果、運転手の労働環境が悪化し、若者がこの職業を敬遠するようになりました。そのため、60歳を超えても運転を続ける高齢ドライバーが多くなっている状況です。これにより、労働力の確保が困難になり、運行本数や路線の維持が難しくなるケースが増えています​。

維持が難しい

バスの購入や維持には多額の費用がかかります。路線バスの購入代金は1台あたり2,000万円近くかかるうえに、高速バスともなれば3,000~4,500万円程度は必要です。また、メンテナンス費用も相当かかります。特に中小バス会社はこれらの費用をまかなうのが難しく、経営を圧迫する要因となっています。

利用者の減少

地方では人口減少や自家用車の普及により、バス利用者が減少しています。主要な利用者層である高齢者や学生の数が減少することで、乗客数が減少し、収益が落ち込むことになります。これにより、採算が取れない路線の廃止や運行本数の削減が進み、さらに利用者が減少するという悪循環に陥ることがあります​。

バス会社が倒産する際の注意点

バス会社が倒産を選択する際は、次の注意点を押さえましょう。

運転士の労働問題

バス会社の運転士は、長時間かつ不規則な労働に従事していることが多く、適正な労働管理が行われていない場合、多額の未払い残業代が発生するリスクがあります。倒産手続きにおいては、運転士の未払い残業代の存否やその額を正確に調査することが不可欠です。労働基準法に基づき、未払い賃金は優先的に支払う義務があります。

旅行業者との旅客運送契約

バス会社は旅行業者との間で旅客運送契約を結んでいる場合が多く、旅行客が旅行業者を通じてバスチケットを購入することがあります。廃業時には、旅行業者からの未払い代金の有無を調査し、未払いがある場合は速やかに回収しなければなりません。

自動車税等の税金

バス会社には、自動車取得税、自動車税、自動車重量税などの税金が課されます。廃業にあたっては、これらの税金の発生時期および支払時期を確認し、必要な支払費用を計上することが重要です。

まとめ

バス会社の倒産は、経営不振や運転手不足など複数の原因が考えられます。倒産手続きには清算型と再建型があり、選択肢によってはM&Aも考えられます。それぞれの手続きには特有の手順と注意点があり、適切な選択をするためには状況に応じた慎重な判断が求められます。

梅田パートナーズ法律事務所では、倒産とM&Aのいずれもサポートできますので、まずはお気軽にご相談ください。

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この記事を監修した弁護士

弁護士 西村 雄大
梅田パートナーズ法律事務所

大阪弁護士会【登録番号 49195】

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代表弁護士

西村 雄大

弁護士の西村 雄大と申します。これまで「弁護士」という職業は、一般的にどこか取っ付き難い職業として認知されていたのではないかと思います。
今はインターネットなどを通じて、ある程度の知識は誰でも取得できるようになりました。法律に関しても同じです。
このような時代だからこそ、弁護士に頼んでよかったと思っていただけるよう、プラスアルファの情報・一つ上のサービスを心掛けて対応します。

法人破産申立て実践マニュアル〔第2版〕

弊所代表弁護士の西村雄大が「法人破産」に関する書籍に著書(共著)として参加し出版しております。

経 歴

2010
京都大学 卒業
2012
神戸大学法科大学院 卒業
2012
司法研修所
2013
弁護士 登録
2014
中小企業診断士 登録
2014
梅田法律事務所 設立
2015
経営革新等支援機関 認定
2017
梅田パートナーズ法律事務所 改称

資格・登録等

所属団体

テレビ出演

・2024年 MBS 毎日放送様の「よんチャンTV」にて、「船井電機 突然の破産」についてコメント出演しました。

・2022年 MBS 毎日放送様の「よんチャンTV」にて、「スーパーマーケット ツジトミの倒産」についてコメント出演しました。

著書および論文名

  • ・著書(共著):法人破産申立て実践マニュアル(野村剛司 編著/青林書院)
  • ・法学セミナー平成26年10月号「倒産法の魅力と倒産法の学修」
  • ・物流業界の未来を創る雑誌「物流新時代」にて「西村弁護士の法律相談室」を連載

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