製造・印刷業における倒産とは？事業再生の特徴や知っておきたいポイント【大阪の弁護士 西村 雄大監修：梅田パートナーズ法律事務所】

製造・印刷業における倒産とは？事業再生の特徴や知っておきたいポイント

業界によって、倒産や事業再生の特徴が異なります。本記事では、製造業・印刷業における倒産や事業再生の特徴、知っておきたいポイントなどについて詳しく解説します。苦境に立たされており、何らかの対処が必要と感じている製造業・印刷業の方は参考にしてみてください。

製造業における倒産・事業再生の特徴

製造業といっても幅広いため、ここでは食品製造業を取りあげます。

製造業における倒産や事業再生には、いくつかの特徴があります。

まず、この業界の特性として挙げられるのは、消費者の「安全・安心」を守るための取り組みが不可欠なことです。過去の食中毒問題から、消費者は食品の安全性に対する要求がますます高まっており、食品製造工程の監視や記録などによる取り組みが必要です。これに伴い、品質管理や衛生管理のためのコストが増加し、経営に圧力をかける要因となっています。

次に、食品製造業は日配品であり、また見込み生産で発注されることが一般的です。この業界では、受注から納品までのリードタイムが短く、製造にはそれに比べて時間がかかるため、見込み生産が必要です。しかし、見込み生産には廃棄ロスが発生するリスクがあり、コストの増加を招きます。したがって、正確な受注予測や生産管理が不可欠です。

最後に、販売価格の下落圧力が強いという特徴があります。特に、小売業者と提携する食品製造業者が増え、プライベートブランド（PB）商品の普及により、販売価格が引き下げられています。これにより、価格競争が激化し、価格を下げなければ売れない状況が生まれています。

以上のような特性から、食品製造業では収益性の低下やコスト増加、価格競争などの経営上の課題が顕在化しやすく、これらが倒産や事業再生につながる要因となっています。そのため、経営者は市場動向や消費者ニーズの変化を的確に把握し、適切な戦略を立てる必要があります。

印刷業における倒産・事業再生の特徴

印刷業は設備投資が重要であり、企業の保有する設備によって生産の効率や商品の種別が大きく変化します。この業界では他社との競争を生き残るために、印刷機や加工機などの機械の新規購入やメンテナンスが欠かせません。特に印刷機は数千万円から数億円と高額なため、慎重な計画が必要です。

また、印刷業は受注産業であり、受注内容によって商品の特性が大きく異なります。受注能力の向上とともに、顧客ニーズに柔軟に対応する必要があります。ただし、顧客の業況に依存しやすいため、特定の顧客からの注文が売上の大半を占めるケースが多く、業況の急激な悪化が業績に直結するリスクがあります。

さらに、材料費が高いことも印刷業の特徴の一つです。紙やインクなどの印刷対象媒体費や、原油価格の変動によるインク代などが含まれます。これらの費用は原油価格の相場に影響されるため、相場の変動によってコストが増加するリスクがあります。

印刷業の倒産における特徴としては、都市型産業であるため、明渡し費用が高額になることや、産業廃棄物の処分に伴う費用がかかることが挙げられます。また、事業再生においては、売上の改善やコストの削減、資金繰りの改善などが重要です。顧客との信頼関係の維持や、協力の取り付けも事業再生の鍵となります。

倒産しそうなときの対応策

倒産を防ぐためには、以下のような対策を講じることが重要です。

財務管理の徹底

毎月の収支を把握し、適切な財務管理を行うことが不可欠です。収入と支出のバランスを取り、経営資源を適切に活用するために、予算策定やキャッシュフロー管理を行いましょう。

リスク管理の強化

倒産リスクを最小限に抑えるために、リスク管理体制を強化しましょう。市場変動や競合他社の動向、外部環境の変化に敏感に対応し、リスクを予測し、適切な対策を講じることが重要です。

収益の多角化

事業のリスクを分散するために、収益の多角化を図ることが重要です。単一の顧客や市場に依存せず、複数の収益源を確保することで、リスクを分散し、安定した収益を確保できます。

効率化と生産性の向上

生産プロセスや業務フローの見直しを行い、効率化と生産性の向上を図ることで、コスト削減や収益の最大化を目指しましょう。効率的な運営が倒産を回避するための重要な要素となります。

まとめ

製造業・印刷業における倒産に追い込まれたときは、まず弁護士に対応策を相談することが大切です。事業再生の可能性、利用できる法的手続きなどのアドバイスを受けて、適切な対応を心がけましょう。梅田パートナーズ法律事務所は、倒産手続きと事業再生の両方に精通しています。まずはお気軽にご相談ください。

この記事を監修した弁護士

弁護士 西村 雄大
梅田パートナーズ法律事務所
大阪弁護士会【登録番号 49195】