納得できない遺言書は無効にできる?拒否・無効にできるケースを解説
遺言書の内容が優先されることは知っているものの、納得できない内容でも受け入れる必要があるのか気になっている方は多いのではないでしょうか。
結論から言うと、単に納得できるかできないかのみで拒否することはできませんが、内容や記載事項によっては拒否・無効にできます。
今回は、納得できない遺言書を拒否・無効にできるケースについて解説します。
- 相続分に納得できない場合「遺留分」を請求できる
- 相続人全員の合意があれば遺言書の内容と異なる形で遺産相続可能
- 法律上、無効な遺言書の内容に従う必要はない
- 遺言書が法律上無効かどうかポイントを解説
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相続分に納得できない場合は「遺留分」を請求できる
自分だけ相続分が極端に少ないような場合は、「遺留分」を請求できる可能性があります。遺留分とは、最低限保障されている相続する権利のことです。対象は配偶者と子ども、直系尊属である父母と祖父母のみであり、兄弟姉妹や甥姪には認められません。
遺留分の割合は次のとおりです。
- 相続人が配偶者のみ……2分の1
- 相続人が子のみ……2分の1
- 相続人が配偶者と子……配偶者4分の1、子4分の1
- 相続人が配偶者と父母…配偶者3分の1、父母6分の1
- 相続人が兄弟姉妹・甥姪のみ……なし
- 相続人が配偶者と兄弟姉妹・甥姪……配偶者2分の1、兄弟姉妹・甥姪はなし
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相続人全員の合意があれば拒否・無効にできる
正確に言えば、拒否・無効ではなく変更と言えますが、相続人全員の合意があれば遺言書の内容とは異なる形で遺産相続ができます。
例えば、相続人が3人の子どもであり、そのうち1人にだけ遺産を相続させない内容だったとします。このとき、3人の子ども全員で話し合い、遺産を3分割することで全員が合意したのであれば、そのように遺産分割ができるのです。
【関連コラム:納得できない遺言書は無効にできる?拒否・無効にできるケースを解説】
法律上の効力が認められない遺言書は無効になる場合がある
遺言書は、法律に従って作成する必要があります。法律に則っていない遺言書は、法律上の効力が認められないことで、無効になる場合があるのです。法律上、無効な遺言書の内容に従う必要はないため、相続人全員で遺産分割協議を行い、そこで取り決めた内容に沿って遺産を分割できます。
ただ、相続人が多い場合などは遺産分割協議がまとまらずに調停や裁判になる可能性が高いため、なるべく遺言書の内容に従った方がよいかもしれません。しかしながら、納得できない内容であるうえに法律上無効ならば、無理に従う必要はないでしょう。
【関連コラム:遺留分と遺言書はどちらが優先される?知っておきたい遺留分侵害額請求権も解説】
遺言書が無効かどうかの判断のポイント
遺言書が法律上無効かどうかは、次のポイントで判断しましょう。
本人の意思で作成されているか
認知機能の低下などで遺言書を作成する能力がない、第三者に強要されたといった場合は、遺言書が法律上無効になります。財産目録以外の項目が自筆で書かれているか、署名と押印があるか、訂正した箇所には変更の旨と署名、印鑑が押されているかを確認しましょう。
公序良俗に反していないか
遺言書の内容が公序良俗に反している場合も無効になります。「公序良俗に反する」とは、犯罪行為や違法行為などに関わる内容を指します。この判断については非常に難しいため、相続人だけで判断するのではなく、必ず弁護士に相談することが大切です。
適切な方法で作成されたか
遺言書には、「普通方式」と「特別方式」があります。特別方式や病気や怪我などで亡くなるような状況であったり、飛行機や船舶で緊急事態が起きていたりする場合における遺言であり、必要となるのは極めて稀なケースです。
そのため、ここでは普通方式にのみ言及します。普通方式には「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」、「秘密証書遺言」があり、それぞれ記載事項が厳格に定められています。
自筆証書遺言は、遺言を遺す人が自分で書いて作成する遺言書です。次の条件を満たす必要があります。
- 全文自筆(財産目録は自筆でなくとも可※平成30年の民法改正)
- 自筆による作成日の記載
- 署名・押印
- 変更箇所に訂正印と署名、訂正する旨の記載
公正証書遺言は、遺言者が2人以上の証人の立ち会いのもとで、公証人へ遺言の内容を伝え、その内容を公証人が正確にまとめて作成するものです。内容に問題がなければ、遺言者と証人、公証人が署名します。
秘密証書遺言は、遺言の内容を記載した書面(自筆かどうかは問われない)に署名押印し、遺言書に押印したものと同じもので封印したうえで、公証人と2人の証人に提出します。そして、遺言書が自分のものである旨と遺言者の氏名・住所を伝え、公証人が封紙上にそれを記載した後に、遺言者と証人2人とともに署名押印します。
なお、証人がいる公正証書遺言と秘密証書遺言においては、未成年や配偶者、父母、子、祖父母、孫などは、証人になることができません。また、公証人の配偶者や4親等内の親族など公証人に近い人物が証人になることも認められていないのです。
【関連コラム:遺言書の種類と8つの効力|無効になるケースも解説】
まとめ
遺言書の内容が法律に沿ったものではない場合は無効となります。ただ、無効かどうか相続人だけで判断することは難しいため、必ず弁護士に相談することが大切です。
梅田パートナーズ法律事務所では、遺言書の効力の確認や拒否できるかどうか、遺留分、遺産分割協議など、さまざまな面でサポートしておりますので、お気軽にご相談ください。
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