連年贈与と定期贈与の違いとは?贈与税がかかるケースに注意
連年贈与と定期贈与は、相続税対策として生前贈与を検討している方が必ず確認しておくべき方法です。生前贈与とは、亡くなる前に資産を無償で渡すことです。相続する財産が少なくなることで相続税を軽減したり、非課税にしたりできます。ただし、生前贈与の方法によっては相続と同じ扱いとなり、税金が発生することがあるため注意が必要です。
そこで本記事では、連年贈与と定期贈与の違いについて解説します。
連年贈与とは
連年贈与とは、毎年贈与を行うことです。年間110万円以上の贈与には、資産を渡した相手に贈与税が発生します。そのため、年間110万円以下の範囲で贈与することが大切です。例えば、1,000万円の贈与の場合、贈与税の税率は30%で控除額が90万円です。そのため、贈与税額は(1,000万円-110万円)×30%-90万円=117万円となります。
定期贈与とは
定期贈与とは、毎年一定の金額を贈与する方法です。例えば、2,000万円を200万円ずつ10年にわたり贈与することを取り決めたうえで実行すると、定期贈与の扱いとなります。定期贈与は、毎年の贈与額が110万円以下でも、贈与額の合計額に対して贈与税が発生します。
定期贈与と見なされない方法
定期贈与と見なされないように、次のように贈与しましょう。
贈与契約書を作成する
定期贈与とみなされないように、贈与するたびに贈与契約書を作成しましょう。本当に贈与したのかどうかや金額、時期の証明になります。
【関連コラム:贈与契約書の書き方は?作成の流れから記載例まで詳しく解説】
銀行振込で贈与する
相続が発生してから現金手渡しで生前贈与していたことが発覚した場合も、毎回の金額や時期の証明ができないため、相続税が課税される可能性があります。生前贈与を行った証拠を残すために、金融機関の個人口座に振り込む形で贈与しましょう。
振り込む時期・金額にばらつきを持たせる
贈与額や贈与の時期にばらつきを持たせて、単発の贈与とみなされるようにしてください。ただし、定期贈与と絶対にみなされない振り込み頻度、金額の決め方などは存在しません。1年目は110万円、2年目は109万円にしたところで、実質的には定期贈与とみなされる可能性もあります。
そのため、贈与しない年を作ったり、入学のような自然なタイミングで贈与したりといった工夫も必要です。
贈与はなるべく早く開始する
相続が開始する3年前までに行われた贈与は、相続財産に加算されます。つまり、亡くなる3年前までに300万円を贈与しても、相続財産に300万円が加算されて相続税が計算されるのです。いつ亡くなるかわからないため、なるべく早く贈与を始めて、長期的に少しずつ贈与していくとよいでしょう。
ただし、相続開始の3年前までの贈与でも、相続人とならない人への贈与であり、なおかつ相続時に財産を相続させることがない場合は、相続財産には加算されません。
【関連コラム:子どもへの生前贈与を非課税にする方法|節税のポイントを解説】
贈与を受ける人が口座を管理する
贈与する人が贈与を受ける人の口座の通帳や印鑑を管理していると、名義を借りただけの預金とみなされ、贈与の扱いにはなりません。贈与は、渡した側と受け取った側による契約であり、受け取った側が自由に使用できない状態では贈与が行われたことにならないのです。例えば、贈与したお金を子どもが無駄づかいするからといって親が管理すると、子どもは自由にお金を引き出せないため、贈与した扱いにはなりません。
贈与税を少額でも納める
少額の贈与税が発生するように贈与し、申告するのも有効といわれています。例えば、111万円の贈与では、基礎控除額110万円を差し引いた1万円が贈与税の対象です。この場合、10%に相当する1,000円を納税します。
贈与税を申告して1,000円を納税すれば贈与した証拠になるため、「名義を借りただけで実際には贈与になっていない」とみなされるリスクを軽減できます。ただし、贈与税を申告したものの、実質的には親が管理しているような状況では、暦年贈与は認められません。
【関連コラム:暦年贈与とは?定期贈与とみなされないためのポイントや注意点を解説】
相続時精算課税制度についても確認が必要
1月1日~12月31日までに贈与した金額から基礎控除額の110万円を差し引き、贈与税を課税することが基本ですが、60歳以上の親や祖父母が20歳以上の子どもや孫に贈与する場合は、基礎控除額2,500万円の相続時精算課税制度を利用できます。
基礎控除額が2,500万円と多額ですが、相続発生時に贈与額に対して相続税が課税されるため、相続税対策にはなりません。しかしながら、贈与した年に贈与税が課税されないため、自分が亡くなるまで子どもや孫の生活を金銭面でサポートしたいようなケースには活用できるでしょう。
【関連コラム:小規模宅地等の特例とは?適用を受けるための条件や注意点を解説】
まとめ
定期贈与とみなされると贈与税が発生したり、相続発生から3年前までの贈与は相続財産に含まれたりと、さまざまな注意点があります。梅田パートナーズ法律事務所では、生前贈与、相続税対策などについてトータルサポート・アドバイスしておりますので、どうぞお気軽にご相談ください。
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2014 | 梅田法律事務所 設立 |
2015 | 経営革新等支援機関 認定 |
2016 | 梅田パートナーズ法律事務所 改称 |
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