増加運転資金とは?原因や計算方法・対応方法について解説
経営にはさまざまな場面で資金が必要になりますが、成長途中の企業が悩みがちなのが増加運転資金です。どうしても生じるものであるため、あらかじめ確認したうえで対応方法を決めておくとよいでしょう。本記事では、増加運転資金の意味や原因、計算方法、対応方法などについて詳しく解説します。
増加運転資金とは
増加運転資金は、企業が業績拡大する際に生じる資金のことです。業績が拡大すると、在庫や売掛金が増加し、損益計算書上では利益が出ているように見えますが、実際には企業の資金繰りを圧迫する要因となります。
既存取引先との取引の拡大や新規取引先の獲得など、様々な要因が考えられます。売上増加は通常喜ばしいことですが、これによって運転資金が不足することがあり、その増加分を考慮した資金調達が必要となります。
増加運転資金の計算方法
増加運転資金の計算方法は、「経常運転資金=売上債権+棚卸資産-買入債務」です。利益が増加した現状の中で、事業活動を継続するために必要な運転資金を算出できます。
例を挙げて説明します。通常の時点で、売上債権が200万円、棚卸資産が150万円、買入債務が100万円となっていると仮定します。この場合、経常運転資金は、200万円(売上債権)+150万円(棚卸資産)-100万円(買入債務)=250万円です。
次に、事業が好調に推移し、売上債権が400万円、棚卸資産が300万円、買入債務が200万円に増加した場合を考えます。この時の経常運転資金は、400万円(売上債権)+300万円(棚卸資産)-200万円(買入債務)=500万円になります。
この例から分かるように、売上が増加すると仕入れや在庫の増加に伴い、運転資金も増加します。増加運転資金の計算を通じて、事業が成長する際に必要な資金を適切に見積もることが重要です。
増加運転資金の原因
増加運転資金の原因について詳しく見ていきましょう。
仕入れの増加
業績が上向くと、需要に応じて商品や原材料を大量に仕入れる必要が生じます。たとえば、製造業であれば原材料や部品、小売業であれば商品の仕入れが増加します。これにより、仕入債務が増え、増加運転資金が発生します。
在庫の増加
売上が伸びると、需要に迅速に対応するために在庫を増やすことが求められます。在庫の増加には保管や管理にかかるコストも含まれ、これが運転資金の増加につながります。
売掛金の増加
販売が拡大すると、商品やサービスの代金回収までの期間が長くなることがあります。これにより、売上げに対する収益の回収が遅れ、資金が売掛金で拘束されるため、増加運転資金が必要です。
固定費の増加
企業が成長すると、人員の増加や施設の拡充が必要になることがあります。これに伴い、給与や賃料、光熱費などの固定費が増加し、これをまかなうためには追加の資金が必要です。
新規プロジェクトの投資
成長企業は新規プロジェクトや事業拡大に資金を投じることがあります。これには開発費用やマーケティング費用がかかり、これが増加運転資金の一因となります。
増加運転資金が増えたときの対応方法
売上が拡大する場合、新たな資金が必要となり、この資金を自己資金で賄うか、金融機関から融資を受けるかが選択肢となります。対応方法について詳しく見ていきましょう。
自己資金で対応する
増加運転資金に対応する一つの手段は、自己資金を活用することです。企業が保有する内部留保や利益を積み立てていた資金を投入することで、新たな運転資金を確保できます。この方法は、借り入れに伴う返済リスクがないため、安定感があります。
金融機関から借りる
もう一つの対応策は、金融機関から融資を受けることです。売上の増加により追加の資金が必要な場合、融資を受けることで資金調達を行います。この際、適切な融資条件や金利を確認し、計画的な返済プランを策定することが重要です。
金融機関は売上が増加することを前向きな要因と見なし、融資の検討を比較的前向きに進める傾向があります。これは、売掛金の回収や棚卸資産の売却などが見込まれ、融資返済が可能であると判断されるからです。しかし、過去の財務状況や取引履歴により結果は異なるため、確実性は保証されません。
融資を得るためには、増加運転資金の計算方法を活用することが重要です。具体的な融資額の根拠を示すことで、信頼性を高め、金融機関との円滑なコミュニケーションが図れます。
まとめ
増加運転資金は企業が業績拡大に伴い必要とされる資金であり、売上の増加により在庫や債権の増加が生じるため、通常の運転資金が不足する状況が発生します。この資金不足に対処するためには、自己資金を活用するか、金融機関から融資を受けるかの選択があります。また、運転資金の増加によって金融機関への返済に悩んだ場合は任意整理を検討しましょう。任意整理は梅田パートナーズ法律事務所までお気軽にご相談ください。
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