仮想通貨を含む暗号資産があると自己破産できない?

2026.1.12

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仮想通貨を含む暗号資産を持っている場合、自己破産できないと聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。近年、仮想通貨は多くの人が投資しているため、破産手続において障害となるケースも増えてきました。今回は、暗号資産と自己破産の関係について解説します。

この記事の監修者

弁護士法人 梅田パートナーズ法律事務所
代表弁護士 西村 雄大

資格・登録機関
所属団体

暗号資産があると自己破産できない場合がある

自己破産を検討する際、暗号資産(仮想通貨)の所有が破産手続を複雑にする可能性があります。以下は、暗号資産を保有する際の検討ポイントです。

暗号資産の評価額と債務超過の検討

暗号資産は価格変動が大きく、正確な評価が難しい特徴があります。破産手続開始前に、借金などの債務と暗号資産の評価額を比較し、「債務超過」の可能性を検討しなければなりません。

暗号資産の取引による借金と免責不許可事由

暗号資産を購入するために借金をしている場合、破産手続において借金免除が難しい可能性があります。暗号資産の取引は「ギャンブル」に該当するため、免責不許可事由となる可能性が高いでしょう。

免責不許可事由は、仮想通貨取引によって著しく財産を減少させたり、多額の借金を抱えたりして、支払不能に至った場合に限定されます。仮想通貨取引が原因であっても、他の理由により支払不能に陥った場合は、免責不許可事由には当てはまりません。免責不許可事由は特定の状況や行動に基づいており、個々のケースにおいてそれが該当するかどうかを正確に評価する必要があります。

暗号資産の処分の検討

破産手続き後、暗号資産をどのように処分するかが重要です。暗号資産の処分が難しい場合、手続きが複雑化する可能性があります。

仮想通貨による免責不許可事由については裁量免責が期待できる

免責不許可事由に該当する場合であっても、裁判所は特定の状況や事情を鑑みて、裁量免責を認めることがあります。これは、破産者の状況や行動を個別に判断し、柔軟に対応するための仕組みです。裁量免責が期待できるケースについて以下にまとめました。

考慮要因 具体例や詳細
借金の経緯への同情の余地 市場変動や予測不可能な状況に影響を受けた場合
免責不許可事由の軽微さ 合理的な投資意図があった場合
真摯な反省の有無 誤った判断からくる損失に対する真摯な反省
裁判所への協力態度 裁判所の調査や管財業務に積極的に協力
生活改善の取り組み 将来的に同様の状況を回避するための努力

あくまでも裁量免責になる可能性があるということのため、過度な期待はせず、まずは弁護士に相談することが大切です。

自己破産における暗号資産の扱い

自己破産においては、暗号資産は次のように取り扱われます。

暗号資産の差し押さえは認められていない

自己破産手続きにおいて、仮想通貨(暗号資産)が強制的に処分されるかどうかは重要な問題です。現行の法律では、仮想通貨は差し押さえの対象となり得るものの、実際にはほとんど差し押さえられるケースはありません。借金を滞納した場合、債権者は債務者の財産を差し押さえることがありますが、仮想通貨は特に厳格な取り決めが難しく、債務者が秘密鍵を管理している限り、差し押さえが難しいのです。

現行法では、債務者や取引所に秘密鍵を開示させる方法が確立されておらず、仮想通貨の差し押さえは実効性を欠いています。

暗号資産の残高相当額が破産財団に入る

自己破産手続きにおいて、仮想通貨の時価が20万円を超える場合、通常は換価処分の対象となります。これは、破産管財人が取引所を通じて仮想通貨を売却し、得られた現金を債権者に配当するという手続きを指します。破産管財人は破産者の財産を管理・処分する権限を有しており、債務者は秘密鍵を開示する必要があります。

破産手続開始時点での仮想通貨の時価相当額を管財人に支払うことで、仮想通貨そのものを売却することなく手続きが進行することもあります。破産者はその後、他の財産についても配当を行いますが、この過程で仮想通貨がどのように取り扱われるかは手続きの進行具合や法的な規定に依存します。

破産手続きにおいては、仮想通貨の取り扱いが法的な不確実性を伴う部分があるため、関係者は弁護士や専門家のアドバイスを受けることが重要です。

暗号資産が原因で自己破産できなかった場合の対応方法

自己破産で免責が得られない場合、仮想通貨でできた借金の返済に対する対応策として、任意整理を検討することが1つの選択肢です。任意整理は、裁判所を介さずに債権者との交渉を通じて、借金の減額や返済条件の変更を行う手続きです。この方法では、借金の返済期間を延長することや利息のカットを交渉し、借金を減額することが可能です。

また、金額次第では個人再生も行える可能性があります。個人再生は裁判所を介して行う手続きで、借金を概ね5分の1に減額することができる制度です。自己破産で免責が得られなかった場合や、任意整理の減額幅では借金の完済が難しい場合に、個人再生を検討できます。借金の原因に関わらず減額が可能であり、裁判所が再生計画を認めれば、減額後の借金を3年から最長5年かけて返済することで、残りの借金が免除されます。

まとめ

暗号資産の自己破産の取り扱いについては法律の整備が進んでおらず、不明確な部分が多々あります。残高相当額が破産財団に組み入れられることを理解し、適切に対応することが重要です。梅田パートナーズ法律事務所では、暗号資産があるケースの自己破産もサポートしております。まずはお気軽にご相談ください。

仮想通貨(暗号資産)と自己破産に関するFAQ

Q仮想通貨を持っていますが、自己破産できますか?
はい、可能です。ただし、全ての保有状況を報告する必要があります。 「仮想通貨を持っている=破産できない」という法律はありません。 ただし、仮想通貨は「資産(財産)」とみなされるため、銀行預金や株と同じように、裁判所にその存在と残高を隠さず申告する必要があります。正直に申告すれば、手続き自体は問題なく進められます。
Q持っている仮想通貨は全て没収されてしまいますか?
価値(評価額)によります。一般的に20万円を超える場合は没収(換価)対象です。 裁判所の運用基準によりますが、破産手続開始決定時における日本円換算の価値が「20万円以下」であれば、自由財産として手元に残せる可能性が高いです。 逆に、20万円を超える価値がある場合は、破産管財人によって売却され、債権者への配当に回されます。
Q「ウォレット」に入れて隠しておけば、裁判所にバレませんか?
バレますし、バレた時のペナルティが致命的です。 「コールドウォレット」や「海外の取引所」ならバレないだろうと考える人がいますが、破産管財人は銀行口座の履歴(入出金記録)を徹底的に調査します。 取引所への送金履歴があれば、「この送金した金はどうなった?」と追及されます。そこで隠蔽が発覚すると、「詐欺破産罪」に問われたり、「免責不許可(借金が消えない)」という最悪の結果を招きます。絶対に隠してはいけません。
Q仮想通貨やFXの暴落で借金を作りました。ギャンブルと同じで破産できないと聞きましたが?
原則は「免責不許可事由」ですが、「裁量免責」で許されるケースが大半です。 破産法252条において、射幸行為(ギャンブルや過度な投機取引)による借金は、免責を許可しない事由とされています。 しかし、裁判所は反省の態度や生活再建の意欲、協力姿勢などを総合的に判断し、裁判官の裁量で免責を許可する「裁量免責(さいりょうめんせき)」を広く認めています。嘘をつかず、誠実に手続きすれば、借金がなくなる可能性は十分にあります。
Q破産手続きにおいて、仮想通貨を持っていることのデメリットはありますか?
「管財事件」になりやすく、費用と手間がかかることです。 資産がほとんどない場合は安価な「同時廃止」という手続きになりますが、仮想通貨取引がある場合、資産隠しがないか調査する必要があるため、裁判所が管財人を選任する「管財事件」に指定される可能性が高まります。 そうなると、予納金(最低20万円〜)が別途必要になり、手続き期間も長くなります。
Q価値が乱高下しています。いつの時点の価格で判断されますか?
原則として「破産手続開始決定の時」の時価で評価されます。 申立て準備中に暴落して価値がなくなった場合でも、直近の残高証明書(スクリーンショット等)を提出します。 逆に、申立て直前に暴騰して20万円を超えてしまった場合、処分の対象になることがあります。価格変動が激しいため、申立てのタイミングについては弁護士と慎重に相談する必要があります。
Q利益が出ていた年に、税金を払わずに破産します。税金も消えますか?
いいえ、税金は消えません(非免責債権)。 仮想通貨取引で過去に利益が出ており、それに対する確定申告の所得税や住民税が未払いの場合、破産してもその支払い義務は残ります。 「借金はゼロになったが、多額の税金だけが残った」という状態になりかねないため、税金がいくら残るかは事前に計算しておく必要があります。
Q誰も知らないような「草コイン」や、売却できないコインはどうすればいいですか?
それでも申告は必須です。管財人が「放棄」するのを待ちます。 価値がほぼゼロで、取引所で売却すらできないコインであっても、財産目録には記載しなければなりません。 実質価値がないと管財人が判断すれば、管財人はその資産を「放棄」します。放棄されれば、手元に残ります(持っていても価値はないかもしれませんが)。勝手に「無価値だから書かなくていい」と判断するのは危険です。
Q秘密鍵(パスワード)を忘れて引き出せません。これも資産ですか?
「アクセス不能」であることを証明できれば、資産から除外される可能性があります。 本当に引き出せないのであれば資産価値はゼロですが、裁判所は「隠しているのではないか?」と疑います。 ログイン試行エラーの画面や、回復不能である経緯を詳細に説明し、客観的にアクセス不可能であると認めさせる必要があります。
Q家族名義の口座で仮想通貨取引をしていました。どうなりますか?
あなたの資産とみなされ、没収対象になる上に、名義貸しの問題も生じます。 借金を隠すために家族名義の口座を使っていた場合、それは実質的にあなたの財産(実質的資産)とみなされます。 さらに、家族を巻き込んだ資産隠しと判断されると、あなたの免責が危うくなるだけでなく、家族が共犯を疑われるリスクもあります。正直に全てを弁護士に話してください。

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弁護士ご紹介

代表弁護士

西村 雄大

弁護士の西村 雄大と申します。これまで「弁護士」という職業は、一般的にどこか取っ付き難い職業として認知されていたのではないかと思います。
今はインターネットなどを通じて、ある程度の知識は誰でも取得できるようになりました。法律に関しても同じです。
このような時代だからこそ、弁護士に頼んでよかったと思っていただけるよう、プラスアルファの情報・一つ上のサービスを心掛けて対応します。

法人破産申立て実践マニュアル〔第2版〕

弊所代表弁護士の西村雄大が「法人破産」に関する書籍に著書(共著)として参加し出版しております。

経 歴

2010
京都大学 卒業
2012
神戸大学法科大学院 卒業
2012
司法研修所
2013
弁護士 登録
2014
中小企業診断士 登録
2014
梅田法律事務所 設立
2015
経営革新等支援機関 認定
2017
梅田パートナーズ法律事務所 改称

資格・登録等

所属団体

著書および論文名

  • ・著書(共著):法人破産申立て実践マニュアル(野村剛司 編著/青林書院)
  • ・法学セミナー平成26年10月号「倒産法の魅力と倒産法の学修」
  • ・物流業界の未来を創る雑誌「物流新時代」にて「西村弁護士の法律相談室」を連載

テレビ出演

・2025年 日本テレビ様のnews zeroにて脱毛サロン“ミュゼ”「解散を決定」」についてリモート出演しました。

・2025年 日本テレビ様のnews zeroにて脱毛サロン“ミュゼ”休業「給料未払い」」についてリモート出演しました。

提供元:日テレNEWS NNN

・2025年 関西テレビ様の「newsランナー」にて、ミュゼプラチナム従業員が破産申し立て」についてコメント出演しました。

・2024年 関西テレビ様の「ドっとコネクト」にて、「アリシアクリニックの破産」についてリモート出演しました。

・2024年 日本テレビ様の「news zero」にて、「アリシアクリニックの破産 利用者への返金」についてコメント出演しました。

・2024年 MBS 毎日放送様の「よんチャンTV」にて、「船井電機 突然の破産」についてコメント出演しました。

・2022年 MBS 毎日放送様の「よんチャンTV」にて、「スーパーマーケット ツジトミの倒産」についてコメント出演しました。

事務所概要

事務所

事務所

住所
〒530-0047 大阪府大阪市北区西天満4-6-4 R-Ⅱビル2階
最寄駅
・京阪電鉄「北浜駅」「なにわ橋駅」より徒歩5分
・大阪メトロ「淀屋橋駅」より徒歩10分
電話番号
0120-074-013
(電話受付時間:土日祝日問わず 9:00~22:00)
営業時間
平日:9:30~18:30
※土日祝日は事前にお電話いただくことで対応可能
備考
・全国どこでも対応可能
・問合せから24時間以内に弁護士が対応
・初回相談は無料でご相談可能

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