民事再生すると社員は解雇になる?労働条件の変更についても解説

2023.9.20

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民事再生は、会社を再建するための制度のため、社員の解雇や雇用条件の変更が必要になる場合があります。一切の変更なく再建を目指せる場合もあるなど対応方法は一律ではありません。そのため、社員への正しい対応方法について確認しておくことが大切です。今回は、民事再生の際の社員への対応について詳しく解説します。

民事再生とは

民事再生は、経営難に陥った会社が再建を目指すための法的な手続きです。会社の借金の債権者の同意を得たうえで再生計画を策定します。再生計画は裁判所に提出され、裁判所の管轄下で再建を進めます。債権者集会で再生計画が承認されれば、裁判所が再建計画を認可します。

民事再生には以下の3つの手法があります。

自立再建型……会社は収益を上げ、それを債務の弁済に充て、自力で再建を進めます。

  • 自立再建型……会社は収益を上げ、それを債務の弁済に充てることで自力で再建を進める
  • スポンサー型……他社やファンドから資金援助を受け、再建を目指す
  • 清算型……事業譲渡によって得た資金を債務の弁済にあて、会社は解体される。会社自体は消滅するが、事業そのものは他社で存続できる

民事再生をすると社員はどうなる?

民事再生をした場合の社員の扱いは、状況や選択した民事再生の方法によって異なります。民事再生の際の社員の対応について詳しく見ていきましょう。

基本的には継続雇用できる

民事再生手続きは、倒産を避けつつ企業を再建するための手続きです。そのため、基本的には社員はそのまま勤務を続けることができます。

スポンサー型では解雇が必要な場合がある

外部のスポンサーからの支援を受けるスポンサー型の民事再生では、社員のリストラが求められる場合があります。リストラは、社員との交渉によって双方が合意しなければ行えません。不当な理由でのリストラは認められておらず、訴訟を起こされるリスクもあることから弁護士のサポートのもとで慎重に進める必要があります。

営業譲渡の場合は一部社員の解雇が必要になることがある

民事再生手続きにおいて、一部の事業を切り離して営業譲渡する場合、譲渡対象とならない部門の社員は解雇されることがあります。この場合、解雇に際しては適切な法的手続きを行う必要があり、また退職金や給与についても優先的な債権として扱われます。

そのため、解雇の際は退職金やこれまでの給与は問題なく支払われることを伝え、安心感を与えることも重要なポイントです。

民事再生における解雇や労働条件の変更

民事再生において、解雇や労働条件の変更が必要になるケースについて詳しく見ていきましょう。

労働条件の変更

人件費の削減方法として、労働条件の変更は有効な手段です。給料の減額や賞与のカット、福利厚生や手当、退職金の廃止、昇給の停止などの方法があります。ただし、労働者との合意のもとで行う必要があり、経営者の一存では実施できません。

解雇

解雇は人件費を大幅に削減できる手法ですが、合理的な事情が必要です。以下4つを満たした場合にのみ解雇できます。

  • 人員整理の必要性
  • 解雇を回避するための努力
  • 解雇対象者の判断基準
  • 解雇手続きの妥当性

ただし、企業再建だけを目的とした解雇は認められません。希望退職者の募集や退職勧奨などを行うなど、解雇を回避するための行為が求められます。

また、解雇に至った場合でも、30日以上前に伝える必要があります。これを解雇予告期間といい、この期間を設けない場合は解雇予告手当を従業員に支払わなければなりません。

民事再生における社員への対応の注意点

民事再生手続きにおける社員への対応は、再建に成功するかどうかに大きく関係しています。社員は会社が利益を得るための人材のため、信頼関係を築いたうえで再建に向けて進めることが重要です。

社員に対して民事再生について詳細に説明し、手続きの透明性を保ちましょう。特に、給料や退職金は優先的に支払われることを伝え、従業員に安心感を与える必要があります。

個別の質問や懸念にも真摯に対応し、従業員の理解を促しましょう。従業員とのコミュニケーションを重視し、真摯な対応を心がけることが、民事再生手続きの円滑な進行や経営再建の成功につながります。

まとめ

社員は事業を支える人員であり、必ずしも労働条件の変更や解雇をすべきとは限りません。また、さまざまな条件をクリアした場合に限り法的に解雇が認められます。その場合でも社員と協議を重ね、納得したうえで退職できるように努力が必要です。梅田パートナーズ法律事務所では、民事再生をはじめとする再建や精算を目的とした手続についてサポートしております。まずはお気軽にご相談ください。

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この記事を監修した弁護士

弁護士 西村 雄大
梅田パートナーズ法律事務所

大阪弁護士会【登録番号 49195】

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代表弁護士

西村 雄大

弁護士の西村 雄大と申します。これまで「弁護士」という職業は、一般的にどこか取っ付き難い職業として認知されていたのではないかと思います。
今はインターネットなどを通じて、ある程度の知識は誰でも取得できるようになりました。法律に関しても同じです。
このような時代だからこそ、弁護士に頼んでよかったと思っていただけるよう、プラスアルファの情報・一つ上のサービスを心掛けて対応します。

法人破産申立て実践マニュアル〔第2版〕

弊所代表弁護士の西村雄大が「法人破産」に関する書籍に著書(共著)として参加し出版しております。

経 歴

2010
京都大学 卒業
2012
神戸大学法科大学院 卒業
2012
司法研修所
2013
弁護士 登録
2014
中小企業診断士 登録
2014
梅田法律事務所 設立
2015
経営革新等支援機関 認定
2017
梅田パートナーズ法律事務所 改称

資格・登録等

所属団体

テレビ出演

・2024年 MBS 毎日放送様の「よんチャンTV」にて、「船井電機 突然の破産」についてコメント出演しました。

・2022年 MBS 毎日放送様の「よんチャンTV」にて、「スーパーマーケット ツジトミの倒産」についてコメント出演しました。

著書および論文名

  • ・著書(共著):法人破産申立て実践マニュアル(野村剛司 編著/青林書院)
  • ・法学セミナー平成26年10月号「倒産法の魅力と倒産法の学修」
  • ・物流業界の未来を創る雑誌「物流新時代」にて「西村弁護士の法律相談室」を連載

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