個人事業主は自己破産すると事業継続が難しくなる!対処法は?

2024.3.5

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個人事業主が自己破産すると、事業継続にどのような影響が出るのか気になる方は多いのではないでしょうか。

結論から言えば、個人事業主が自己破産すると事業継続が難しくなります。ただし、事業の種類によっては自己破産の影響をそれほど受けず、事業継続できる可能性があります。

今回は、個人事業主の自己破産後の事業継続について詳しく解説します。

この記事をわかりやすく解説
  • 個人事業主は自己破産ではなく個人再生なら財産を没収されず借金を大幅に減額可能
  • 自己破産すると自由財産を除く全ての財産が処分の対象になる
  • 自己破産すると事業の運転資金の追加融資を受けられなくなる
  • 自己破産と個人再生のどちらが適しているかは弁護士に相談

個人事業主が自己破産すると事業継続が難しくなる理由

自己破産に追い込まれている状態では、十分な利益を得られていないと考えられます。たとえ自己破産で借金が免除されても、再び多額の借金をせざるを得なくなる可能性があります。

さらに、次の要因も重なることで、ますます事業継続が難しくなるでしょう。

事業用設備や財産も処分の対象になる

自己破産すると、自由財産を除く全ての財産が処分の対象となります。自由財産に該当する財産は以下のとおりです。

  • 自己破産手続き開始後に取得した財産
  • 99万円以下の現金
  • 義手や義足、生活必需品など法律で定められた差押禁止財産
  • 自由財産の拡張が認められた財産
  • 破産財団(処分対象となる財産)から破産管財人が放棄した財産

上記以外の財産は、事業用設備や在庫など事業継続に必要な資産であっても処分対象となります。必要な設備や在庫を失えば、事業継続が難しくなるでしょう。新たに取得するにしても、自己破産せざるを得ないほどに困窮している状況では、短期間で取得することは難しいと考えられます。

融資を受けられなくなる

自己破産すると信用情報機関に金融事故が記録されて、ローン審査に通らなくなります。つまり、事業の運転資金の追加融資を受けられなくなるのです。業績が悪化したときや、売掛金の回収が固定費の支払いの後になるときなどに使える資金が不足し、事業継続が難しくなります。

事務所の賃貸契約やリース契約から雇用契約まで解除される

事務所の賃貸契約やリース契約、雇用契約など事業継続に必要な契約が解除されます。設備のみならず人的資産まで失えば、これまでどおりに事業を行うことは難しくなります。

事業そのものを売却される場合もある

事業そのものに価値がある場合、事業も換価処分される可能性があります。売却するかどうかは破産管財人が判断します。事業売却すれば事業そのものは残りますが、自身の権限をすべて失うことになるため、会社で言うところの経営ができなくなるのです。

自己破産後も事業継続する方法

自己破産によってさまざまな制約を受けますが、それでも行える事業であれば継続できる可能性があります。例えば、事務所が不要、従業員や外注を使用しない、高価な設備が不要といった場合が該当します。

また、同じ事業でも、事務所や従業員なしで行える可能性を模索するのもよいでしょう。どれだけ工夫しても事業継続が難しいと判断できる場合は、次のように退所しましょう。

事業継続に必要な設備の差し押さえを免除してもらう

事業継続に必要な設備を差押禁止財産としてもらうことで、事業継続できる可能性が高まります。業務に必須な設備については差押禁止財産にできるものの、法律では具体例が示されていません。そのため、事業に必須かどうか裁判所が判断することになります。

事業継続に必須と認められる可能性については、弁護士に相談することをおすすめします。

自由財産拡張を認めてもらう

自由財産の拡張とは、裁判所の判断で自由財産の範囲を広げることです。事業継続に必要なものが自由財産として認められると、事業継続できる可能性が高まります。自由財産の拡張における判断は裁判所で異なりますが、東京地方裁判所では以下の基準を示しています。

  • 残高20万円以下(合計)の預貯金
  • 見込額20万円以下(合計)の生命保険の解約返戻金
  • 処分見込額20万円以下(査定額)の自動車
  • 居住用家屋の敷金債権
  • 電話加入権
  • 支払見込額の8分の1相当が20万円以下の退職金
  • 支払見込額の8分の1相当が20万円を超えている退職金のうち8分の7
  • 家財道具

自由財産の拡張は、生活や財産、事業などの状況、破産手続開始時点で所有している財産の種類や評価額、今後の収入見込みなどさまざまな事情を勘案し、裁判所が決定します。

まとめ

個人事業主は自己破産すると事業継続が難しくなるものの、自由財産の拡張や事業設備を差押禁止財産に含めることを認めてもらえれば、事業継続できる可能性が高まります。また、自己破産ではなく個人再生であれば財産を没収されずに借金を大幅に減額できるため、まずはこちらを検討することも大切です。

自己破産と個人再生のどちらが適しているか、どの財産が没収されるのかなどについては弁護士に相談しましょう。梅田パートナーズ法律事務所では、個人事業主の自己破産について全面的にサポートしており、事業継続を視野に入れたアドバイスも可能ですので、まずはお気軽にご相談ください。

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この記事を監修した弁護士

弁護士 西村 雄大
梅田パートナーズ法律事務所

大阪弁護士会【登録番号 49195】

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弁護士ご紹介

代表弁護士

西村 雄大

弁護士の西村 雄大と申します。これまで「弁護士」という職業は、一般的にどこか取っ付き難い職業として認知されていたのではないかと思います。
今はインターネットなどを通じて、ある程度の知識は誰でも取得できるようになりました。法律に関しても同じです。
このような時代だからこそ、弁護士に頼んでよかったと思っていただけるよう、プラスアルファの情報・一つ上のサービスを心掛けて対応します。

法人破産申立て実践マニュアル〔第2版〕

弊所代表弁護士の西村雄大が「法人破産」に関する書籍に著書(共著)として参加し出版しております。

経 歴

2010
京都大学 卒業
2012
神戸大学法科大学院 卒業
2012
司法研修所
2013
弁護士 登録
2014
中小企業診断士 登録
2014
梅田法律事務所 設立
2015
経営革新等支援機関 認定
2017
梅田パートナーズ法律事務所 改称

資格・登録等

所属団体

テレビ出演

・2024年 MBS 毎日放送様の「よんチャンTV」にて、「船井電機 突然の破産」についてコメント出演しました。

・2022年 MBS 毎日放送様の「よんチャンTV」にて、「スーパーマーケット ツジトミの倒産」についてコメント出演しました。

著書および論文名

  • ・著書(共著):法人破産申立て実践マニュアル(野村剛司 編著/青林書院)
  • ・法学セミナー平成26年10月号「倒産法の魅力と倒産法の学修」
  • ・物流業界の未来を創る雑誌「物流新時代」にて「西村弁護士の法律相談室」を連載

事務所概要

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