中小企業再生支援協議会とは?利用するメリット・デメリット・手続きの流れを解説
中小企業再生支援協議会とは、平成15年4月に経済産業省が公表した「中小企業再生支援指針」沿って設置された組織です。事業再生は可能であるものの、財務体質や経営の改善が必須な中小企業に対し、さまざまなアドバイスや支援、債権者との調整などを行います。本記事では、中小企業再生支援協議会の役割や利用するメリット・デメリット、手続きの流れについて解説します。
中小企業再生支援協議会とは
中小企業再生支援協議会とは、事業再生の専門家からアドバイスや各種支援、債権者との調整などを受けることができる公的機関です。資金繰りや再生計画の作成に悩んでいたり財務上の問題を抱えていたりする中小企業が相談できます。
中小企業再生支援協議会を利用するメリット
中小企業再生支援協議会を利用することには、次のメリットがあります。
事業計画や再建計画の信頼性が増す
中小企業の事業計画や再建計画を策定する際は、税理士や公認会計士、金融機関関係者などの専門家からアドバイスを受けることで、その計画の信頼性が高まります。経営者のみで策定すると、主観が入ることで客観的な内容にならないケースがあります。
中小企業再生支援協議会で専門家からアドバイスを受けることで、第三者視点で適切な計画を策定でき、金融機関から融資を受ける際の審査で有利になる可能性があるのです。
取引先に知られる心配がない
中小企業再生支援協議会への相談内容は、守秘義務により関係者へ口外されることはありません。経営不振が取引先に知られると契約を打ち切られ、状況がますます悪くなる恐れがあります。取引先に知られることなく相談できる点は、中小企業再生支援協議会を利用するメリットと言えるでしょう。
複数の方法で効率的な改善を目指せる
中小企業再生支援協議会では、さまざまな専門家からアドバイスを得られます。財務面や事業面など、あらゆる角度からアドバイスを得て複数の方法を利用すれば、効率的な改善が可能になります。
信用保証協会からの債務免除を受けやすい
信用保証協会を利用した融資の債務免除を受けられない場合、事業継続が困難になる可能性があります。中小企業再生支援協議会は信用保証協会各所と連携しているため理解を得やすく、さらには信用保証協会のガイドラインに沿った手続きにより、信用保証協会による代位弁済が期待できます。
中小企業再生支援協議会を利用するデメリット
中小企業再生支援協議会の利用にはデメリットがあります。
全ての債権者から同意を得る必要がある
中小企業再生支援協議会を利用したスキームにより事業再生する場合は、全ての債権者から同意を得る必要があります。どうしても同意を得られない債権者がいる場合は、その債権者を除いた再生計画を改めて策定しなければなりません。
事業面へのサポートが十分とは言えない
税理士や公認会計士、金融機関関係者など財務面に精通した専門家に相談できます。事業面の相談も可能ではありますが、専門領域ではないためサポートが十分とは言えません。財務面が改善しても、事業面が改善しなければ再び経営不振に陥る恐れがあります。
中小企業再生支援協議会に相談する流れ
中小企業再生支援協議会へ相談する流れについて詳しくみていきましょう。
1.窓口相談
財務状況や経営状況がわかる資料を提出し、専門家と面談します。経営上の問題や課題を抽出し、解決につながるアドバイスを受けます。状況に応じて関係支援機関や支援施策の紹介を受けることも可能です。
相談前に準備しておく資料は、直近3期分の決算書など財務状況がわかる資料、会社概要がわかる資料です。また、会社別に他にも資料を求められる場合があるため、事前に中小企業再生支援協議会へ問い合わせましょう。
2.再生計画の策定支援
再生計画を作成し、金融機関との調整が必要と中小企業再生支援協議会が判断した場合は、再生計画の策定支援に移行します。中小企業診断士や弁護士、公認会計士、税理士などで構成される個別支援チームから、再生計画の策定の支援を受けることができます。
必要に応じて関係金融機関との調整もしてくれるため、単独で再生計画を策定するケースと比べて成功率が上がるでしょう。また、再生計画の策定後も定期的なフォローアップや各種アドバイスを受けることもできます。
まとめ
中小企業再生支援協議会では、専門家チームによる再生計画の策定や財務状況・経営状況の改善に向けた支援を受けることができます。単独で企業の再建を目指す場合、主観が入ってしまうことで適切な再生計画を策定できない場合があります。中小企業再生支援協議会をうまく活用し、経営の立て直しを目指しましょう。
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