破産管財人(はさんかんざいにん)とは?業務内容や選任されるケースなどについて解説
破産管財人は、破産法2条12項において、破産手続きにおける破産財団に属する財産の管理・処分を行う権利を持つ者と定められています。破産管財人はもとより、破産財団や財産の管理・処分が具体的にどのような行為を指すのかなど、疑問点は多いのではないでしょうか。そこで今回は、破産管財人の業務内容や選任されるケース、関連知識について詳しく解説します。
破産管財人とは
破産管財人とは、破産手続きにおいて裁判所が選任する者です。破産者が持つ財産を管理・処分し、債権者に弁済・配当する権利を持ちます。破産すると、債権者になるべく多くのお金を返すために、破産者が持つ財産が可能な範囲で換価されます。そして、法律に定められた優先順位で債権者へ弁済・配当するのです。
破産管財人は、公正中立な立場で職務を遂行する必要があります。そのため、財産隠しを手伝ったり、特定の債権者に優先的に弁済・配当したりすることは認められません。
破産管財人の業務内容
破産管財人は、破産者が所有している土地や建物を売却したり、他人に貸し付けていたお金を取り戻したりして、債権者に弁済・配当する原資を確保します。また、破産者が代表を務める会社の従業員に賃金が支払われていない場合は、立替払制度の利用をサポートすることもあります。それでは、破産管財人の業務内容について詳しくみていきましょう。
破産者の財産の管理・換価処分
財産の調査および財産目録の作成により、破産者の財産を管理します。また、財産を隠している可能性があると判断された場合は、その調査も行われます。その他、特定の債権者にだけ返済するような偏頗弁済(へんぱべんさい)を行っている場合、その財産を取り戻すことも破産管財人の業務です。
債権額の確定
どの債権者にどれだけの額を弁済・配当するのかを確定します。
弁済・配当
換価処分したうえで、債権者に弁済・配当します。
管理処分権の放棄
債権者の利益を損害しないことを前提として、財産を換価すると結果的に破産者の不利益が大きくなるような場合には、管理権を放棄することがあります。例えば、少額の保険解約返戻金は債権者の利益を損害しないことが多く、また保険契約の解除は破産者にとって大きな不利益となります。そのため、破産者が契約を継続できるように管理権を放棄できる可能性があるのです。
自由財産の拡張の申立における裁判所への意見陳述
自由財産の拡張とは、破産しても換価処分されない「自由財産」の範囲を広げることです。破産者の生活状況や心身の都合など個々の事情により、どうしても生活に必要な財産については、裁判所に申し立てて許可を得ることで、換価処分を免れられるのです。
このとき、破産管財人は裁判所に意見陳述をします。なお、法人破産では自由財産が認められないため、自由財産の拡張もできません。
免責不許可事由の調査
破産は、必ず行えるわけではありません。債権者を害することを目的に換価対象の財産を意図的に損壊したり隠したりする行為、破産の原因が浪費やギャンブルなどのケースでは、破産が認められない可能性があります。
このように、借金の免責ができなくなる理由のことを免責不許可事由といいます。免責不許可事由に関する報告や意見陳述を行うことも破産管財人の業務です。
破産管財人は裁判所が選任する
破産管財人は裁判所が弁護士の中から選任しますが、誰もがなれるわけではありません。債務の内容や負債額、債権者の人数、破産財団(換価処分の対象となる財産の集合体)の額、暴力団の介入の有無など、さまざまな事情を加味し、弁護士としての経験年数や破産管財人としての実績、事務所の規模などを踏まえて選任します。
破産管財人が関わるケース
破産管財人は、全ての破産手続きに関わるわけではありません。破産手続きには、「破産管財事件」と「同時廃止事件」があり、このうち破産管財人が関わるのは「破産管財事件」です。破産申立後、破産手続開始決定とともに破産管財人が選任されます。
20万円以上の資産を持たない場合は同時廃止事件になりますが、これは個人に限ります。法人破産では通常は管財事件となる点に注意が必要です。
破産管財人に破産手続きは依頼できない
破産管財人は弁護士の中から選定されるため、ついでに破産手続きをその弁護士に依頼したいと思う場合もあるでしょう。破産管財人に選任された弁護士に、破産手続きの依頼はできません。
破産手続きを依頼できる弁護士を別途探す必要があります。梅田パートナーズ法律事務所では、多くの法人破産・個人破産を扱ってきておりますので、どうぞ安心してご相談ください。
破産管財人が選任された場合の対応
破産管財人が選任された場合は、財産の調査を受けます。申立書類に財産について記載するものの、それだけでは詳細までは把握できません。不明点について破産管財人から問い合わせが来るので、適切に回答しましょう。
なお、破産者は破産管財人による調査に応じる必要があるため、破産手続きが完了するまでは住所の移転や短期の出張、旅行などができません。どうしても必要な場合は裁判所の許可を得る必要があります。
また、破産管財人は債権者集会に出席し、債権者に対して破産手続きの進捗を報告します。債権者集会に破産者が出席するケースはほとんどありません。なお、手続きが複雑な場合は複数回の債権者集会を開催しますが、順調に手続きが進んでいるのであれば1回で終了することが多いでしょう。
まとめ
破産管財人は、管財事件の場合に選任されます。法人破産の場合は財産額に関係なく管財事件となるため、破産管財人と必ず関わることになります。梅田パートナーズ法律事務所では、個人・法人の破産手続きのサポート・アドバイスをしておりますので、お困りの際はお気軽にご相談ください。
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