法人破産と個人の自己破産は何が違う?一緒に行うことはあるの?

2024.9.29

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破産には、法人破産と個人の自己破産があります。会社を経営しており破産を検討しているものの、法人破産と個人の自己破産の違いがわからないという方は多いのではないでしょうか。
法人破産では経営者個人の自己破産も一緒に行うことが多いため、両方の知識を身につけておく必要があります。

そこで本記事では、会社破産と個人の自己破産の違いや一緒に行うケースについて詳しく解説します。

この記事をわかりやすく解説
  • 法人と個人の破産には免責手続きの有無や費用、破産後の生活の変化などに違い
  • 会社破産では破産手続き開始決定によって免責手続きの必要がない
  • 会社破産はほとんどの場合は管財事件として扱われます
  • 法人破産と個人の自己破産を同時に行うケースを紹介

法人破産と個人の自己破産の違い

会社破産は、会社が破産手続きを裁判所に申し立てる手続きです。

一方、個人の自己破産は個人が破産手続きを裁判所に申し立てます。どちらも同じ性質のものではありますが、さまざまな違いがあります。会社破産と個人の自己破産の違いについて詳しくみていきましょう。

緊急性

会社は個人と比べて利害関係者が多い点に注意が必要です。資金繰りが厳しくなったことを債権者に知られてしまうと、財産の差し押さえに入る恐れがあります。そのため、個人の自己破産よりも緊急かつ外部に漏れないように申し立てを行う必要があるのです。

弁護士に依頼してから債権者に受任通知を送付し、それから申し立てを行うことが一般的ですが、緊急性が高い会社破産では受任通知を送付する前に破産申立てをする場合もあります。

一方、個人の自己破産は受任通知を送付してから入念に準備し、裁判所に破産申立てをします。

免責手続きの有無

個人の自己破産では、破産と免責の両方の手続きを行います。一方、会社破産の場合は免責手続きがありません。免責手続きとは、債務を返済する義務を免除するものであり、会社破産では破産手続き開始決定によって会社が解散・精算されるため、免責手続きの必要がないのです。

財産の取り扱い

法人破産では、法人が消滅すると法人が所有する財産も消滅します。一方、個人の自己破産では生活必需品や99万円までの現金、生活保護を受ける権利などの財産は残ります。これは、すべての財産を失うと今後の生活に影響が出るためです。

税金

会社破産では、滞納している税金の納税も不要になります。これは、法人そのものが消滅するためです。一方、個人の自己破産の場合は滞納した税金は残るため、納税から逃れることはできません。

費用

破産手続きの際は、予納金と呼ばれる費用を裁判所に支払う必要があります。会社破産の予納金は20万~100万円程度、個人の自己破産では数万円~20万円以上となっており、同時廃止事件と少額管財事件で異なります。

なお、会社破産と個人の自己破産を両方行う場合は、同時に申し立てなければ2回分の予納金が必要になるため注意が必要です。

管財事件になるかどうか

自己破産には、同時廃止事件と管財事件があり、会社破産はほとんどの場合は管財事件として扱われます。管財事件は、裁判所が選任した破産管財人がもろもろの手続きや財産の処分などを行います。一方、同時廃止事件は破産管財人を選出せず、破産手続開始決定と同時に手続きが終了する方式です。

破産後の変化

会社破産をしても、経営者の生活に変化はありません。当然ながら、会社から得ていた収入だけで生活していた場合は、新たな仕事を探すことになります。すでに老後を迎えているのであれば、そのまま年金暮らしに入るのも1つの方法でしょう。

個人の自己破産の場合、一部を除き財産を失うため、生活に不便な面がみられるかもしれません。また、自己破産から5~10年はクレジットカードの作成や新たな借り入れができなくなります。これは、ローン審査の際に照会される信用情報機関に事故情報が記録されるためです。

過去に破産した人にお金を貸すのにはリスクがあるため、審査に通りにくくなります。

法人破産と個人の自己破産を同時に行うケース

法人と経営者は別人格であり、会社が破産したからといって経営者まで破産する必要はありません。ただし、経営者が会社の債務の連帯保証人になっている場合は、会社破産によって返済ができなくなるため、連帯保証人である経営者が肩代わりすることになります。

会社の借金は個人の借金よりも多額なケースが多いため、破産が必要になるものと考えましょう。もちろん、個人の資産で弁済できる程度であれば、弁済することで破産を避けるのも1つの方法です。

まとめ

法人破産と個人の自己破産には、免責手続きの有無や費用、破産後の生活の変化などに違いがあります。また、経営者が会社の借金の連帯保証人になっている場合、会社破産の際は個人の自己破産が必要になるケースがほとんどです。いずれの手続きも煩雑なため、まずは信頼できる弁護士に相談しましょう。

梅田パートナーズ法律事務所では、会社破産と個人の自己破産のいずれにも対応しております。まずはお気軽にご相談ください。

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この記事を監修した弁護士

弁護士 西村 雄大
梅田パートナーズ法律事務所

大阪弁護士会【登録番号 49195】

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弁護士ご紹介

代表弁護士

西村 雄大

弁護士の西村 雄大と申します。これまで「弁護士」という職業は、一般的にどこか取っ付き難い職業として認知されていたのではないかと思います。
今はインターネットなどを通じて、ある程度の知識は誰でも取得できるようになりました。法律に関しても同じです。
このような時代だからこそ、弁護士に頼んでよかったと思っていただけるよう、プラスアルファの情報・一つ上のサービスを心掛けて対応します。

法人破産申立て実践マニュアル〔第2版〕

弊所代表弁護士の西村雄大が「法人破産」に関する書籍に著書(共著)として参加し出版しております。

経 歴

2010
京都大学 卒業
2012
神戸大学法科大学院 卒業
2012
司法研修所
2013
弁護士 登録
2014
中小企業診断士 登録
2014
梅田法律事務所 設立
2015
経営革新等支援機関 認定
2017
梅田パートナーズ法律事務所 改称

資格・登録等

所属団体

テレビ出演

・2024年 MBS 毎日放送様の「よんチャンTV」にて、「船井電機 突然の破産」についてコメント出演しました。

・2022年 MBS 毎日放送様の「よんチャンTV」にて、「スーパーマーケット ツジトミの倒産」についてコメント出演しました。

著書および論文名

  • ・著書(共著):法人破産申立て実践マニュアル(野村剛司 編著/青林書院)
  • ・法学セミナー平成26年10月号「倒産法の魅力と倒産法の学修」
  • ・物流業界の未来を創る雑誌「物流新時代」にて「西村弁護士の法律相談室」を連載

事務所概要

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