事業売却とは?売却価格の算出方法や納めるべき税金・メリット・手続きまで解説
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会社の事業を売却したい際は、M&Aの中でも事業売却と呼ばれる手法を用いることになります。会社売却とは内容が異なる点に注意が必要です。ここでは、事業売却とは何か解説するとともに、売却相場の確認方法や売却時に発生する税金、事業売却を行うメリットや手続き方法まで解説します。
今回の記事で書かれている要点 (目次)
事業売却とは
事業売却とは、会社の全ての事業、または一部の事業を会社や個人に売却することです。資産と負債を取引行為として移転・承継します。なお、事業売却と事業譲渡は同じ意味です。赤字事業を売却して会社全体の利益を底上げする、成長事業を売却して多額の資金を得る、ノンコア事業を売却してリソースを確保するなど、さまざまな目的で行います。
事業売却での売却価格の算出方法
事業売却は、買い手に事業を譲渡する対価として現金を受け取ることができます。その金額は、事業の価値から算出します。事業売却における売却価格の算出方法について詳しく見ていきましょう。
DCF法
DCF法(Discounted Cash Flow法の略)は、将来得られる見込みのキャッシュフローの総額を割引現在価値に変換し、事業価値とする手法です。将来の計画の影響を受けるため、いかに将来得られる見込みのキャッシュフローの高さをアピールできるかがポイントとなります。
マルチプル法
マルチプル法は、売却事業と似た事業を行う上場企業の株価を参考に事業価値を算出する手法です。対象は、売上高や営業利益、純資産などです。
時価純資産法
時価純資産法とは、事業資産の時価から負債の時価を差し引いて事業価値を算出する方法です。赤字事業に使用される傾向があります。
年買法
年買法とは、「時価純資産+営業利益×○年分」の計算式で事業価値を算出する手法です。簡易的な算出方法のため、おおまかな事業価値を算出したい場合に使用します。
事業売却にかかる税金
事業売却で発生する譲渡損益について、利益が出ている法人が売り手の場合は法人税がかかります。法人税率は29.74%(外形標準適用法人の場合)ですが、見直される可能性もあるため売却年度の法人税率を確認しましょう。
事業売却のメリット
事業売却には、次のメリットがあります。
- 赤字事業の売却によって会社全体の利益を改善できる
- ノンコア事業を売却することでリソースを増やせる
- 成長企業を売却することで資金調達できる
赤字事業は売却が難しいとされていますが、買い手の目的やシナジー効果などによっては多額で売却できます。
事業売却の手続き
事業売却は次の流れで行います。
1.売却する事業を決める
まずは、売却する事業を決めます。赤字事業、ノンコア事業、成長事業など、企業の経営戦略に基づいて売却する事業を決めましょう。その後、売却事業の価値を算出するために、損益計算書や賃借対照表を準備します。
2.買い手を探す
会社・個人と直接やり取りする場合もありますが、多くは弁護士をはじめとした士業や仲介会社、FA、金融機関などによる仲介を利用します。なお、弁護士に依頼する場合は、事業売却における契約書関連の作成までそのまま依頼できます。その他、法律的な知識、注意点などについて気軽に相談できることもメリットです。
3.基本合意を締結する
買い手が見つかって交渉を進め、事業売却がほぼ決定した際は基本合意を締結します。事業売却のスキームや事業の売却価格、対象となる資産・負債、従業員の引き継ぎの条件、事業譲渡契約書の締結日の目安などを記載しましょう。
4.デューデリジェンス
デューデリジェンスとは、買い手が売り手に対して行う監査のことです。財務・税務・法務・システム・ビジネス・人事などに分類され、それぞれに問題点がないか洗い出します。
5.事業譲渡契約書の締結
事業譲渡契約書には、基本合意の内容に加えて、譲渡期日や移転手続きの方法、競業避止義務などを記載します。事業譲渡契約の締結には、売り手は株主総会の特別決議が必要ですが、一定額を下回る場合は不要です。
6.移転手続きや許認可の再取得
契約内容に基づいて買い手は許認可の再取得や個別の契約のやり直しなどを行います。売り手は買い手の手続き・各所への届出などをサポートします。
まとめ
事業売却に成功すると、会社の総利益が改善したり事業リソースが増加したりします。赤字事業を抱えたままではコストがかさむことで会社全体の利益に悪影響が及びます。必要に応じて事業売却を行い、財務を健全化しましょう。梅田パートナーズ法律事務所では、事業売却を検討している方への相談や仲介業務、法律関連の対応を行っております。まずはお気軽にご相談ください。
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この記事を監修した弁護士
弁護士 西村 雄大
梅田パートナーズ法律事務所
大阪弁護士会【登録番号 49195】
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弁護士ご紹介
西村 雄大
弁護士の西村 雄大と申します。これまで「弁護士」という職業は、一般的にどこか取っ付き難い職業として認知されていたのではないかと思います。
今はインターネットなどを通じて、ある程度の知識は誰でも取得できるようになりました。法律に関しても同じです。
このような時代だからこそ、弁護士に頼んでよかったと思っていただけるよう、プラスアルファの情報・一つ上のサービスを心掛けて対応します。
弊所代表弁護士の西村雄大が「法人破産」に関する書籍に著書(共著)として参加し出版しております。
経 歴
- 2010
- 京都大学 卒業
- 2012
- 神戸大学法科大学院 卒業
- 2012
- 司法研修所
- 2013
- 弁護士 登録
- 2014
- 中小企業診断士 登録
- 2014
- 梅田法律事務所 設立
- 2015
- 経営革新等支援機関 認定
- 2017
- 梅田パートナーズ法律事務所 改称
テレビ出演
・2024年 MBS 毎日放送様の「よんチャンTV」にて、「船井電機 突然の破産」についてコメント出演しました。
・2022年 MBS 毎日放送様の「よんチャンTV」にて、「スーパーマーケット ツジトミの倒産」についてコメント出演しました。
著書および論文名
- ・著書(共著):法人破産申立て実践マニュアル(野村剛司 編著/青林書院)
- ・法学セミナー平成26年10月号「倒産法の魅力と倒産法の学修」
- ・物流業界の未来を創る雑誌「物流新時代」にて「西村弁護士の法律相談室」を連載
事務所概要
- 住所
- 〒530-0047 大阪府大阪市北区西天満4-6-4 R-Ⅱビル2階
- 最寄駅
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・京阪電鉄「北浜駅」「なにわ橋駅」より徒歩5分
・大阪メトロ「淀屋橋駅」より徒歩10分 - 電話番号
- 0120-074-013
(電話受付時間:土日祝日問わず 9:00~22:00) - 営業時間
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