社会保険料の未納・未加入・滞納のペナルティは?状況を改善するための対処法も解説

2026.2.8

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新型コロナウイルスの感染拡大や消費税の増税といった外部要因から、業績の悪化や人手不足といった内部要因まで、社会保険に加入しない理由はさまざまです。社会保険への未加入、保険料の未納や滞納にペナルティはあるのか気になる方は多いのではないでしょうか。そこで今回は、社会保険に加入していない、保険料を未納・滞納している事業者が知っておきたいペナルティについて詳しくご紹介します。

この記事の監修者

弁護士法人 梅田パートナーズ法律事務所
代表弁護士 西村 雄大

資格・登録機関
所属団体

社会保険の未加入によるペナルティ

社会保険に加入すべき条件を満たしているのに加入していない場合は、次のペナルティを課されます。

追徴金の支払い義務がある

未加入の社会保険料には、追徴金がかかります。追徴金は、未加入期間の社会保険料の10%です。ただし、追徴金が1,000円未満の場合は、未納分の納付だけで済みます。

刑事罰を受ける恐れがある

社会保険に未加入の場合は、刑事罰を受ける恐れがあります。健康保険と厚生年金保険は6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金、雇用保険は6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金です。

非常に悪質なケースに限られるため、実際に刑事罰を受ける人はほとんどいません。しかし、社会保険の未加入期間や未納の保険料の額に関係なく、行政から注意を受けた際は速やかに対応した方がよいでしょう。

2年前までさかのぼって請求される

社会保険に未加入の場合、最大2年までさかのぼって保険料を請求されます。事業者は、本来従業員が負担する保険料も負担することになります。例えば、年間100万円の保険料を負担するはずだった場合、200万円も支払うことになるなど、金銭的負担が非常に大きくなるのです。

社会保険の滞納を続けた場合の問題点

社会保険の滞納を続けた場合、次のような問題が起こる恐れがあります。

督促を受ける

社会保険料を滞納すると、納付期限の約1ヶ月後に督促状が届きます。督促状に記載されている納付期限までに滞納金を納付すれば問題ありません。しかし、滞納を続けると再び督促状が送られてくる他、電話や訪問で催促されます。

延滞金がかかる

督促状に記載されている期限までに滞納金を支払わない場合、「滞納額×延滞金利率÷365日×延滞金の発生日数」で算出された延滞金がかかります。延滞利率は、次のとおりです。

・延滞開始から3ヶ月まで:年利7.3%または特例基準割合+1%のいずれか低い方
・延滞開始から3ヵ月経過後:年利14.6%または特例基準割合+7.3%のいずれか低い方

財産調査で他の問題が発覚する恐れがある

督促を受けても保険料を支払わない場合は、財産調査を受ける恐れがあります。自宅や職場を訪れた担当者から財産や財務状況について聞き取り調査を受けます。調査対象は現金や預貯金、不動産、売掛金などです。

差し押さえ可能な財産が見つからなかった場合は、強制捜査が行われる恐れがあります。強制捜査の結果、他の問題が発覚して、さらなるペナルティを受ける可能性も否定できません。

財産が差し押さえられる

財産調査の結果、差し押さえ可能な財産が差し押さえられます。差し押さえの対象は、調査対象と同じく現金や預貯金、不動産、売掛金などです。強制的に換価され、滞納金に支払いに充当されます。差し押さえの結果、事業の継続に必要な財産が失われ、廃業に追い込まれる可能性もあります。

社会保険料を支払えないときの対処法

社会保険料を支払えないときは、次のように対処しましょう。

納付の猶予を申請する

社会保険料を納付できない理由が以下に該当する場合、納付の猶予を申請できます。

・災害による財産の減少
・盗難による財産の減少
・事業主または事業主と生計を一にする親族が病気になった、あるいは負傷した
・事業を休業、廃止した
・前年の利益の2分の1以上の損失が生じた
・その他、上記に類する事実が生じた

猶予されるのは、納付期限から原則1年以内(最長2年)です。納付猶予の期間中は、延滞金の一部あるいは全てが免除されます。また、滞納金は納付猶予の期間中に分割で支払います。

破産を検討する

納付猶予を受けられない場合や、猶予されても根本的な解決にならない場合は、破産を検討することになります。ただし、個人の未納の社会保険料は、破産しても免責されません。法人の破産の場合は、法人そのものが消滅するため、社会保険料の納付義務も消滅します。

破産は最終手段ではありますが、売掛金を差し押さえられるなどして取引先や従業員に迷惑をかける前に、破産するのも1つの選択肢です。

まとめ

金銭的な理由で社会保険料の未納や滞納をしており、破産を検討する際には、信頼できる弁護士に相談しましょう。梅田パートナーズ法律事務所では、破産すべきかどうかを踏まえ、的確かつ親身なアドバイスを心がけております。社会保険料の未納や滞納への対処に悩んでいる方はお気軽にご相談ください。

社会保険料の未納・未加入・滞納に関するFAQ

Q社会保険に加入していません。バレなければ加入しなくて良いですか?
いいえ、加入は法的な義務であり、バレるバレないの問題ではありません。 法人であれば、社長一人だけの会社であっても社会保険への加入は「強制適用」です(個人事業主は従業員5人以上等の要件あり)。 日本年金機構は、国税庁(法人登記や納税情報)やハローワークとデータを共有しており、未加入の法人はシステム的に把握されています。調査が入れば逃れることはできず、遡って加入させられます。
Q調査が入ると、過去の分まで請求されますか?
はい、最大で過去2年分まで遡って請求されます。 未加入が発覚し、年金事務所の職権で加入させられた場合、時効にかかっていない「過去2年間」の保険料を一括で請求されます。 会社負担分だけでなく、本来なら従業員の給料から天引きすべきだった「本人負担分」も合わせて会社が立て替えて払わなければならず、数百万円〜数千万円規模の支払い義務が突然発生し、倒産の直接原因になります。
Q社会保険料を滞納すると、どのようなペナルティ(延滞金)がかかりますか?
年利9%〜14.6%程度の非常に重い延滞金が加算されます。 納期限の翌日から発生し、最初の3ヶ月は低率ですが、それを過ぎると年14.6%(特例基準割合により変動しますが、消費者金融並みの高金利)が課されます。 この延滞金は、本税(保険料)を完済するまで雪だるま式に増え続け、経営を圧迫します。
Q督促状を無視していると、いきなり差押えをされますか?
はい、裁判なしで差押えが実行されます。 一般的な商取引の借金とは異なり、社会保険料は「国税徴収法」の例により、裁判所の判決を得ることなく、年金事務所の権限だけで自力執行(差押え)が可能です。 督促状の指定期限を過ぎれば、法律上は「いつでも」差押えが可能になります。電話や訪問の予告なく、ある日突然実行されることも珍しくありません。
Q何を差し押さえられますか? 銀行口座だけですか?
銀行口座だけでなく、「売掛金(取引先からの入金)」が狙われるのが最大のリスクです。 年金事務所は、調査権限を使ってあなたの会社の取引先(主要顧客)を特定します。 そして、取引先に対して「差押通知書」を送り、売掛金を会社ではなく年金事務所に直接支払うよう命令します。これにより、取引先に「社会保険料を滞納している」という事実が露見し、信用失墜による取引停止、そして資金ショートによる倒産(年金倒産)に至るケースが多発しています。
Q資金繰りが厳しく払えません。分割払いは認められますか?
「換価の猶予(かんかのゆうよ)」という制度を申請すれば可能です。 単に口頭で「待ってください」と頼むだけでは認められませんが、法律(国税徴収法等)に基づき、以下の要件を満たす申請書を提出することで、原則1年以内の分割納付が認められます。

1.財産目録や収支明細書を提出すること

2.誠実な納付計画があること

3.原則として担保を提供すること(金額による) これが認められれば、その期間中は差押えが猶予され、延滞金も一部免除されます。

Q従業員の給料から天引きした保険料を運転資金に使ってしまいました。犯罪になりますか?
業務上横領罪に問われる可能性はゼロではありませんが、実務上は稀です。 ただし、従業員からの「預り金」を流用する行為は極めて悪質とみなされます。 刑事事件にならなくても、年金事務所との交渉において心証は最悪となり、分割払いの相談に応じてもらえなくなるなど、事実上のペナルティを受けることになります。経営者として絶対にやってはいけない行為です。
Q会社が破産すれば、滞納した社会保険料も消えますか?
はい、法人が消滅すれば納税義務も消滅します。 個人の自己破産における税金(非免責債権)とは異なり、法人の社会保険料は、法人格の消滅とともに消えます。 代表者個人が連帯保証人になっているわけではないため、原則として社長個人に請求がいくこともありません。支払いの目処が立たない巨額の滞納がある場合は、傷口が広がる前に法人破産を決断することも一つの「対処法」です。
Q社会保険に未加入のまま事故が起きた場合、従業員から訴えられますか?
損害賠償請求をされる可能性が高いです。 会社が社会保険(健康保険・厚生年金)に加入していなかったせいで、従業員が本来受け取れるはずだった「傷病手当金」や「障害年金」「遺族年金」が受け取れなかった場合、従業員やその遺族は会社に対して、その損害額(逸失利益)を請求することができます。 この金額は数千万円になることもあり、未加入のリスクは保険料の節約効果を遥かに上回ります。
Q弁護士に依頼するメリットは何ですか?
「適正な猶予申請のサポート」と「事業再生または破産の判断」ができる点です。 弁護士が介入しても保険料自体を減額することはできません。しかし、年金事務所に対して法的に不備のない「換価の猶予申請」を行い、無理のない分割計画を通す交渉力があります。 また、もはや自力再建が不可能な場合は、売掛金を差し押さえられて混乱する前に、速やかに法的整理(破産など)へ移行し、経営者の再出発を支援することができます。

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弁護士ご紹介

代表弁護士

西村 雄大

弁護士の西村 雄大と申します。これまで「弁護士」という職業は、一般的にどこか取っ付き難い職業として認知されていたのではないかと思います。
今はインターネットなどを通じて、ある程度の知識は誰でも取得できるようになりました。法律に関しても同じです。
このような時代だからこそ、弁護士に頼んでよかったと思っていただけるよう、プラスアルファの情報・一つ上のサービスを心掛けて対応します。

法人破産申立て実践マニュアル〔第2版〕

弊所代表弁護士の西村雄大が「法人破産」に関する書籍に著書(共著)として参加し出版しております。

経 歴

2010
京都大学 卒業
2012
神戸大学法科大学院 卒業
2012
司法研修所
2013
弁護士 登録
2014
中小企業診断士 登録
2014
梅田法律事務所 設立
2015
経営革新等支援機関 認定
2017
梅田パートナーズ法律事務所 改称

資格・登録等

所属団体

著書および論文名

  • ・著書(共著):法人破産申立て実践マニュアル(野村剛司 編著/青林書院)
  • ・法学セミナー平成26年10月号「倒産法の魅力と倒産法の学修」
  • ・物流業界の未来を創る雑誌「物流新時代」にて「西村弁護士の法律相談室」を連載

テレビ出演

・2025年 日本テレビ様のnews zeroにて脱毛サロン“ミュゼ”「解散を決定」」についてリモート出演しました。

・2025年 日本テレビ様のnews zeroにて脱毛サロン“ミュゼ”休業「給料未払い」」についてリモート出演しました。

提供元:日テレNEWS NNN

・2025年 関西テレビ様の「newsランナー」にて、ミュゼプラチナム従業員が破産申し立て」についてコメント出演しました。

・2024年 関西テレビ様の「ドっとコネクト」にて、「アリシアクリニックの破産」についてリモート出演しました。

・2024年 日本テレビ様の「news zero」にて、「アリシアクリニックの破産 利用者への返金」についてコメント出演しました。

・2024年 MBS 毎日放送様の「よんチャンTV」にて、「船井電機 突然の破産」についてコメント出演しました。

・2022年 MBS 毎日放送様の「よんチャンTV」にて、「スーパーマーケット ツジトミの倒産」についてコメント出演しました。

事務所概要

事務所

事務所

住所
〒530-0047 大阪府大阪市北区西天満4-6-4 R-Ⅱビル2階
最寄駅
・京阪電鉄「北浜駅」「なにわ橋駅」より徒歩5分
・大阪メトロ「淀屋橋駅」より徒歩10分
電話番号
0120-074-013
(電話受付時間:土日祝日問わず 9:00~22:00)
営業時間
平日:9:30~18:30
※土日祝日は事前にお電話いただくことで対応可能
備考
・全国どこでも対応可能
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