役員が借金していると会社の解散ができない?処理方法やポイントを解説

2025.5.29

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社長が自ら会社にお金を貸し付けていた場合、それは「会社にとっての負債」として処理されるため、返済や精算が完了しない限り、会社を正式に解散・清算することができません。

「もう営業しないのに、なぜ終われないのか」「借金しているのは自分なのに問題になるのか」と疑問を抱く経営者も少なくありません。

本記事では、役員借入金があると会社の解散が難しくなる理由と、その適切な処理方法・注意点について、法律と税務の観点からわかりやすく解説します。

この記事の監修者

弁護士法人 梅田パートナーズ法律事務所
代表弁護士 西村 雄大

資格・登録機関
所属団体

そもそも「会社の解散」と「清算」はどう違う?

会社を辞める=すぐに消滅する、というわけではありません。「解散」とは、会社の営業活動を終えることを意味し、「清算」はその後に残った財産や債務を整理して、法人格を完全に終了させる手続きです。

解散をしても清算を終えなければ、会社は登記上はまだ存在している状態です。つまり、実質的な「終わり」にするには清算まで完了させる必要があります。

なぜ役員借入金があると会社を消せないのか?

役員借入金とは、経営者や役員が会社にお金を貸している状態のことです。帳簿上は「会社から見た負債」として計上されており、他の債務と同様に清算時の処理対象となります。

もし、役員借入金が解消されていないままでは、負債が残っている状態と見なされ、通常の清算では会社を正式に閉じることができません。たとえ債権者が社長本人でも、「借りている以上、返す必要がある」というのが法的な考え方です。

役員借入金を処理する代表的な3つの手段

会社を清算するには、すべての債務を処理する必要があります。役員借入金もそのひとつであり、放置しておくと清算の妨げになります。特に中小企業や家族経営の法人では、代表者が私財を会社に貸し付けているケースが少なくありません。

ここでは、会社を円滑に解散するために取れる役員借入金の処理方法を3つ紹介します。

1. 解散前に段階的に返済していく

会社にある程度の現預金や利益剰余金がある場合には、清算前の準備期間を使って役員借入金を分割して返済していく方法が現実的です。たとえば、月に10万円ずつ返済する、決算期ごとにまとまった額を返す、といった対応が可能です。

役員借入金は第三者からの借入とは異なり、金利や返済期限の縛りがないため、経営状況に応じて柔軟に返済計画を立てられる点がメリットです。ただし、返済により会社の資金繰りが悪化しないよう、事業活動の継続や他の債務とのバランスを見ながら慎重に進める必要があります。

2. 債務免除や債権放棄によって帳簿上の負債を消す

会社に返済する余力がない場合、役員が「このお金はもう返してくれなくていい」として債権を放棄することで、帳簿上の借入金をなくすことができます。 この処理は「債権放棄」(役員視点)または「債務免除」(会社視点)と呼ばれ、契約書を交わすことで法的にも有効な処理が可能になります。

ただし、この場合は会計上「債務免除益」という利益が発生するため、会社に課税される法人税が一時的に増加する可能性がある点には注意が必要です。赤字があれば相殺可能なので、タイミングを見て行うのが理想です。

3. 金銭以外の資産で返済する(代物弁済)

会社に現金がない場合でも、不動産、車両、機械設備、在庫商品など、資産が残っていれば、それを役員に引き渡すことで借入金の返済に充てる方法があります。

たとえば、「役員借入金500万円のうち、会社所有の100万円相当の車両を引き渡すことで一部返済とする」といった形です。

代物弁済を行う際は、資産の適正な評価や税務処理(譲渡益課税など)も関わってくるため、税理士や弁護士と相談のうえ進めることが重要です。また、登記や名義変更などの手続きが必要なケースもあるため、事前準備をしっかりと行いましょう。

役員借入金の処理で気をつけるべき税務リスク

役員借入金の処理は、法的な問題だけでなく、税務面でも大きな影響を及ぼします。特に債務免除や債権放棄を選択した場合、会社側・役員側のどちらにも課税リスクが発生する可能性があります。

事前に想定していないと、解散後に多額の法人税や贈与税を課される事態になりかねません。ここでは、注意すべき代表的な2つの税務ポイントについて解説します。

債務免除益で法人税が増加する可能性がある

債務免除によって負債が帳簿から消えると、その分だけ利益が発生したとみなされます。この「債務免除益」は法人税の課税対象となるため、思わぬ税負担が発生する場合があります。

みなし贈与による贈与税が課されることも

会社の株主が複数人いる場合、債務免除によって会社の資産が増えると、間接的に他の株主に利益が移転したとされ、「みなし贈与」として贈与税が課税されるリスクもあります。

まとめ:役員借入金は放置せず、専門家と連携して対処を

役員借入金がある状態では、会社の完全な解散・清算はできません。債務をどう処理するかによって、税務上の影響も大きく変わってきます。

清算に向けた手続きをスムーズに進めるには、法務・会計の両面に精通した専門家のサポートが不可欠です。

会社の解散や役員借入金の処理についてお悩みの方は、企業再生・法人清算の実績豊富な「梅田パートナーズ法律事務所」にぜひご相談ください。状況に合わせた解決策をご提案します。

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弁護士ご紹介

代表弁護士

西村 雄大

弁護士の西村 雄大と申します。これまで「弁護士」という職業は、一般的にどこか取っ付き難い職業として認知されていたのではないかと思います。
今はインターネットなどを通じて、ある程度の知識は誰でも取得できるようになりました。法律に関しても同じです。
このような時代だからこそ、弁護士に頼んでよかったと思っていただけるよう、プラスアルファの情報・一つ上のサービスを心掛けて対応します。

法人破産申立て実践マニュアル〔第2版〕

弊所代表弁護士の西村雄大が「法人破産」に関する書籍に著書(共著)として参加し出版しております。

経 歴

2010
京都大学 卒業
2012
神戸大学法科大学院 卒業
2012
司法研修所
2013
弁護士 登録
2014
中小企業診断士 登録
2014
梅田法律事務所 設立
2015
経営革新等支援機関 認定
2017
梅田パートナーズ法律事務所 改称

資格・登録等

所属団体

著書および論文名

  • ・著書(共著):法人破産申立て実践マニュアル(野村剛司 編著/青林書院)
  • ・法学セミナー平成26年10月号「倒産法の魅力と倒産法の学修」
  • ・物流業界の未来を創る雑誌「物流新時代」にて「西村弁護士の法律相談室」を連載

テレビ出演

・2025年 日本テレビ様のnews zeroにて脱毛サロン“ミュゼ”「解散を決定」」についてリモート出演しました。

・2025年 日本テレビ様のnews zeroにて脱毛サロン“ミュゼ”休業「給料未払い」」についてリモート出演しました。

提供元:日テレNEWS NNN

・2025年 関西テレビ様の「newsランナー」にて、ミュゼプラチナム従業員が破産申し立て」についてコメント出演しました。

・2024年 関西テレビ様の「ドっとコネクト」にて、「アリシアクリニックの破産」についてリモート出演しました。

・2024年 日本テレビ様の「news zero」にて、「アリシアクリニックの破産 利用者への返金」についてコメント出演しました。

・2024年 MBS 毎日放送様の「よんチャンTV」にて、「船井電機 突然の破産」についてコメント出演しました。

・2022年 MBS 毎日放送様の「よんチャンTV」にて、「スーパーマーケット ツジトミの倒産」についてコメント出演しました。

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〒530-0047 大阪府大阪市北区西天満4-6-4 R-Ⅱビル2階
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