売掛金を回収できない場合の対処法は?支払われない理由や対策も解説
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売掛金の未回収は、企業経営に深刻な影響を及ぼすリスクがあります。特に中小企業にとっては、キャッシュフローの悪化や事業運営への支障など、多大な問題を引き起こしかねません。本記事では、売掛金が未回収となる要因や具体的な対策、さらに回収不能時の経理処理方法について詳しく解説します。
今回の記事で書かれている要点 (目次)
売掛金が未回収となる要因
売掛金が回収できない主な原因を把握し、適切な対策を講じることで、未回収リスクを最小化できます。特に中小企業では、資金繰りへの影響が大きいため、要因を正確に理解し、迅速に対応することが求められます。
売掛金が未回収となる要因について詳しく見ていきましょう。
請求業務のミス
請求書の記載ミスや送付漏れが原因で、取引先が支払い手続きを進められない場合があります。事前のダブルチェックを徹底し、請求書内容を正確に確認することが重要です。
取引先の手続きミス
取引先側での支払い手続きや確認漏れも支払い遅延の一般的な理由です。この場合、迅速に状況を確認し、適切な修正を依頼する必要があります。
取引先の資金不足
取引先が資金繰りに問題を抱えている場合、売掛金の支払いが滞ることがあります。与信管理を強化し、取引開始時にリスクを見極めることが不可欠です。
意図的な支払い遅延
取引先が意図的に支払いを遅らせる場合、早急な交渉や条件の見直しが求められます。状況が改善しない場合は、取引継続の可否を再検討する必要があります。
未回収の売掛金が引き起こすリスク
未回収金は、単なる損失だけでなく、企業運営全般に深刻な影響を及ぼします。具体的なリスクについて詳しく見ていきましょう。
キャッシュフローへの影響
未回収の売掛金は、企業の資金繰りを圧迫します。特に中小企業では、資金不足が事業運営に深刻な影響を与える可能性があります。
従業員への悪影響
資金不足は従業員の給与や福利厚生に影響を及ぼし、モチベーションの低下や離職のリスクを高める可能性があります。
債権の消滅時効
債権には消滅時効があり、一般的に商事債権は5年、民事債権は10年で時効が成立します(法改正により、2020年4月1日以降に成立した債権については5年で統一)。未回収金の存在を放置していると、法的に回収請求できなくなります。そのため、定期的に支払い状況を確認し、催促や法的手続きをタイミングよく行うことが重要です。
未回収金への対処法
未回収金に対しては、次のように対処しましょう。
柔軟な催促
未回収金が発生した場合、電話やメールで状況確認を行うことが最初の一歩です。ただし、支払いが遅れている理由を具体的に把握することが重要です。たとえば、資金繰りが一時的に厳しい場合には、分割払いなど柔軟な対応を提案することで、関係性を維持しつつ回収を進められる可能性があります。
取引の一時停止
支払い遅延が繰り返される取引先に対しては、納品やサービス提供を一時停止する措置を検討します。たとえば、未払いの状態が続いている間は、追加の注文を受け付けないようにすることで、未回収金が増えるリスクを回避できます。
損金処理
回収が不可能と判断された場合は、売掛金を損金処理として経理対応することで、税負担の軽減を図ります。
資金調達の利用
未回収金が発生した場合、一時的な運転資金の補填として、金融機関からの融資を検討します。ただし、高金利の短期融資を選択すると、返済が困難になるリスクがあります。そのため、信用保証付きの融資や、ファクタリングサービス(売掛金の買取り)を活用するのも有効な手段です。
法的手続きの活用
取引先が支払いを拒否したり交渉に応じない場合、弁護士を通じて内容証明郵便を送付したり、訴訟を提起することが必要になります。たとえば、小額訴訟手続きを利用すれば、比較的短期間で解決を図ることができます。ただし、法的手続きはコストや時間がかかるため、事前の費用対効果の検討が必要です。
未回収リスクを低減する対策
未回収リスクを低減するために、次のように対策しましょう。
厳格な取引条件
新規取引先とは、最初に与信調査を実施し、適切な取引限度額を設定することが重要です。また、契約書で明確な支払い条件を定めることで、トラブルを未然に防ぐことができます。たとえば、「納品後30日以内の支払い」など、具体的な期日を記載します。
継続的な与信管理
取引開始後も、取引先の財務状況や支払い履歴を定期的に評価する必要があります。たとえば、信用情報機関のデータを活用し、財務状況が悪化している兆候を早期に察知することで、迅速な対応が可能になります。
効率的な業務フロー
請求書の発行から未回収金の確認まで、一連の業務をシステム化することで人的ミスを防止します。たとえば、クラウド型会計ソフトを導入すれば、請求状況をリアルタイムで確認でき、迅速な催促が可能になります。
取引先との良好な関係構築
取引先との定期的なコミュニケーションを通じて、経営状況や支払い能力を把握します。たとえば、定例の商談で支払い計画を確認することや、迅速な対応に感謝を伝えることで信頼関係を強化することができます。
倒産防止共済の活用
中小企業倒産防止共済制度(経営セーフティ共済)を活用することで、取引先が倒産した場合に備えた資金調達が可能です。具体的には、掛金を積み立てることで、「回収困難となった売掛金債権等の額」と「掛金総額の 10倍に相当する額 (最高 8,000万円)」のいずれか少ない額の貸付けを受けられます。
まとめ
売掛金が未回収になるリスクは、企業経営に多大な影響を及ぼす可能性があります。しかし、事前の与信管理や請求業務の見直し、適切な回収手続きによってリスクを大幅に軽減することができます。また、万が一回収が不可能になった場合でも、貸倒損失処理や法的手続きの活用によって影響を最小限に抑えることが可能です。
梅田パートナーズ法律事務所では、売掛金を回収できないときの法的な対応を行っておりますので、まずはお気軽にご相談ください。
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この記事を監修した弁護士
弁護士 西村 雄大
梅田パートナーズ法律事務所
大阪弁護士会【登録番号 49195】
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弁護士ご紹介


西村 雄大
弁護士の西村 雄大と申します。これまで「弁護士」という職業は、一般的にどこか取っ付き難い職業として認知されていたのではないかと思います。
今はインターネットなどを通じて、ある程度の知識は誰でも取得できるようになりました。法律に関しても同じです。
このような時代だからこそ、弁護士に頼んでよかったと思っていただけるよう、プラスアルファの情報・一つ上のサービスを心掛けて対応します。

弊所代表弁護士の西村雄大が「法人破産」に関する書籍に著書(共著)として参加し出版しております。
経 歴
- 2010
- 京都大学 卒業
- 2012
- 神戸大学法科大学院 卒業
- 2012
- 司法研修所
- 2013
- 弁護士 登録
- 2014
- 中小企業診断士 登録
- 2014
- 梅田法律事務所 設立
- 2015
- 経営革新等支援機関 認定
- 2017
- 梅田パートナーズ法律事務所 改称
テレビ出演
・2024年 関西テレビ様の「ドっとコネクト」にて、「アリシアクリニックの破産」についてリモート出演しました。
・2024年 日本テレビ様の「news zero」にて、「アリシアクリニックの破産 利用者への返金」についてコメント出演しました。
・2024年 MBS 毎日放送様の「よんチャンTV」にて、「船井電機 突然の破産」についてコメント出演しました。
・2022年 MBS 毎日放送様の「よんチャンTV」にて、「スーパーマーケット ツジトミの倒産」についてコメント出演しました。
著書および論文名
- ・著書(共著):法人破産申立て実践マニュアル(野村剛司 編著/青林書院)
- ・法学セミナー平成26年10月号「倒産法の魅力と倒産法の学修」
- ・物流業界の未来を創る雑誌「物流新時代」にて「西村弁護士の法律相談室」を連載
事務所概要
- 住所
- 〒530-0047 大阪府大阪市北区西天満4-6-4 R-Ⅱビル2階
- 最寄駅
-
・京阪電鉄「北浜駅」「なにわ橋駅」より徒歩5分
・大阪メトロ「淀屋橋駅」より徒歩10分 - 電話番号
- 0120-074-013
(電話受付時間:土日祝日問わず 9:00~22:00) - 営業時間
- 平日:9:30~18:30
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