クリーニング店が破産する場合の注意点は?破産手続きについても解説

2024.8.9

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クリーニング業は顧客から預かった品物の取り扱いや、特定の法律や規制に対応する必要があり、破産する際においてもこれらの点に注意が必要です。本記事では、クリーニング店が破産する際の具体的な注意点と破産手続きの流れについて詳しく解説します。

クリーニング店が破産する際の注意点

クリーニング店が破産する際は、次の注意点を押さえましょう。

預かっているものを返却する

顧客から預かった衣類や布製品は、破産時に返却する必要があります。破産手続き中に返還が滞ると、顧客からのクレームや損害賠償請求につながる可能性があることに注意しましょう。

破産申立て前から、預かり品の返却方法や手順を明確にし、ホームページや店頭で告知することが大切です。

有害物質使用特定施設の場合は対応する

クリーニング店が使用する溶剤の中には、有害物質として規定されるものも含まれています。たとえば、テトラクロロエチレン(パークレン)は、土壌や水質に悪影響を与える可能性があり、使用している施設は「有害物質使用特定施設」として扱われます。この場合、クリーニング所の廃止届だけでなく、水質汚濁防止法に基づく使用廃止届出書や土壌汚染状況の調査報告が求められます。

各自治体によっては、独自の規制や指針が設けられていることもあり、施設が所在する地域の条例や規定を確認しておく必要があります。廃業や破産の手続きを進める際には、これらの環境保護規制を遵守しなければならず、専門家の助言を受けながら進めることが重要です。

工場の場合は通電を停めない

クリーニング店の工場や店舗では、シャッターの開閉や機械設備の作動確認、セキュリティの維持のために電力が必要となります。破産や廃業を進める中でも、通電が止まるとこれらの作業に支障をきたす可能性があります。

特に設備の売却を検討している場合には、機械の動作確認ができなくなると売却が困難になることもあるため、電気の契約はそのままにしましょう。

産業廃棄物を適切に処理する

クリーニング業では、使用済みの溶剤やその他の化学物質、衣類の廃材など、産業廃棄物が発生します。これらの廃棄物は、法律に定められた方法で適切に処理しなければなりません。廃業や破産に際して、これらの廃棄物を適当に処分すると法的なトラブルに発展する可能性があるため、専門の処理業者に依頼し、適法に処理することが求められます。

従業員の理解を得て廃業後の対応に協力してもらう

クリーニング業者が破産する場合、従業員の協力は不可欠です。特に、有機溶剤の保管場所や土壌汚染の可能性についての知識を持つ従業員のサポートが求められます。また、預かり品の返還をスムーズに進めるためには、従業員の詳細な情報把握が必要です。

破産手続きを円滑に進めるためにも従業員との関係を良好に保ち、協力を得ることが重要です。

機械設備は債権者に配当する

クリーニング店の設備には、大型の機械や専門的な装置が含まれます。破産手続き開始時に残っている機械設備は、破産管財人が換価し、その資金が債権者に配当されます。

破産手続き前に自社で売却して現金化することも可能ですが、その際には適切な売却先を見つけ、設備の価値を最大限に引き出す工夫が必要です。

クリーニング店の破産手続きの流れ

クリーニング店が破産する際の手続きは、一般的な個人や法人の破産手続きと基本的には同様です。以下に、一般的な手順を解説します。

1.破産申立ての準備

経営状況が悪化し、破産が避けられないと判断した場合、まずは専門家(弁護士)に相談し、破産申立ての準備を進めます。この段階で、クリーニング店特有の資産(機械設備、顧客の預かり品など)の処理方法を検討します。

2.破産申立書の提出

弁護士の指導のもと、破産申立書を作成し、裁判所に提出します。申立書には、債権者一覧や資産の詳細、収支の状況を記載します。

3.破産手続きの開始決定

裁判所が破産手続きの開始を決定します。この段階で、破産管財人が選任され、クリーニング店の資産の処分が開始されます。

4.財産の整理と換価

破産管財人が選任されると、クリーニング店の資産(機械設備、不動産など)の換価が進められ、債権者への配当が行われます。

5.免責決定

すべての手続きが完了すると、裁判所は免責決定を行い、クリーニング店の残りの債務は免除されます。

クリーニング店は事業譲渡も視野に入れる

クリーニング店が破産を検討する際、事業譲渡という選択肢もあります。事業譲渡を行うことで、クリーニング店のノウハウや設備を引き継いでもらい、事業を継続することが可能です。赤字であっても売却できる可能性があるため、選択肢の1つとして検討することをおすすめします。

まとめ

クリーニング店が破産を検討する際には、預かり品の返還、有害物質使用施設の対応、通電の維持、産業廃棄物の適切な処理、従業員との関係維持、機械設備の配当など、さまざまな注意点があります。これらを怠ると、法的トラブルや顧客との問題が発生する可能性が高まります。

しかし、これらの手続きや対策を適切に進めるためには、専門的な知識と経験が必要です。

梅田パートナーズ法律事務所では、クリーニング店をはじめとする様々な業種の破産手続きに関するご相談を承っております。豊富な経験を持つ弁護士が、状況に応じた最適な解決策をご提案いたしますので、お気軽にご相談ください。

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この記事を監修した弁護士

弁護士 西村 雄大
梅田パートナーズ法律事務所

大阪弁護士会【登録番号 49195】

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弁護士ご紹介

代表弁護士

西村 雄大

弁護士の西村 雄大と申します。これまで「弁護士」という職業は、一般的にどこか取っ付き難い職業として認知されていたのではないかと思います。
今はインターネットなどを通じて、ある程度の知識は誰でも取得できるようになりました。法律に関しても同じです。
このような時代だからこそ、弁護士に頼んでよかったと思っていただけるよう、プラスアルファの情報・一つ上のサービスを心掛けて対応します。

法人破産申立て実践マニュアル〔第2版〕

弊所代表弁護士の西村雄大が「法人破産」に関する書籍に著書(共著)として参加し出版しております。

経 歴

2010
京都大学 卒業
2012
神戸大学法科大学院 卒業
2012
司法研修所
2013
弁護士 登録
2014
中小企業診断士 登録
2014
梅田法律事務所 設立
2015
経営革新等支援機関 認定
2017
梅田パートナーズ法律事務所 改称

資格・登録等

所属団体

テレビ出演

・2024年 MBS 毎日放送様の「よんチャンTV」にて、「船井電機 突然の破産」についてコメント出演しました。

・2022年 MBS 毎日放送様の「よんチャンTV」にて、「スーパーマーケット ツジトミの倒産」についてコメント出演しました。

著書および論文名

  • ・著書(共著):法人破産申立て実践マニュアル(野村剛司 編著/青林書院)
  • ・法学セミナー平成26年10月号「倒産法の魅力と倒産法の学修」
  • ・物流業界の未来を創る雑誌「物流新時代」にて「西村弁護士の法律相談室」を連載

事務所概要

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