倒産 した会社の従業員や取引先を対象としたセーフティネット3つ

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倒産 した会社の従業員や取引先を対象としたセーフティネット3つ

2020.10.6

この記事を監修した弁護士

弁護士 西村 雄大
梅田パートナーズ法律事務所

大阪弁護士会【登録番号 49195】

企業が倒産した場合、従業員の生活が困窮したり取引先が連鎖倒産したりするケースがあります。これは、従業員への給与支払いや取引先への支払いなどができないことが原因です。このような事態を防ぐためのセーフティネットとして、日本には3つの制度が設けられています。ここでは、倒産した会社の従業員や取引先を対象としたセーフティネットについて、詳しくご紹介します。

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労働者健康安全機構による未払賃金の立替払制度

労働者健康安全機構は厚生労働省が所轄する法人で、未払い賃金の立替払制度を実施しています。概要や対象者について、詳しくみていきましょう。

概要

企業が破産や民事再生などの開始決定を受けた場合、労働者健康安全機構が従業員への未払賃金を立て替える制度です。中小企業の場合は、法的倒産手続きを開始していてなくても、実際に事業を停止しており再開できないと客観的に判断される事態にある場合は、一定の要件を満たすことで同制度を利用できます。

対象者

対象者は、下記のすべての条件を満たす従業員です。

  • ・事業継続期間が1年以上
  • ・倒産した
  • ・倒産の申し立てか労基署への認定申請を行った日の6ヵ月前から2年の間に退職した従業員
  • ・未払賃金の額が2万円以上
  • ・役員ではない

1つでも満たさない場合は、同制度を利用できません。

対象となる未払賃金

対象となる未払賃金は、「定期賃金」と「退職手当」です。退職日の6ヵ月前から立替請求日の前日までに支払日がある未払賃金が対象になります。賞与や所得税の還付金、解雇予告手当などは対象外です。

立替の金額

同制度で立替できる金額は、未払賃金総額の100分の80が原則です。ただし、従業員の年齢に応じて88万~299万円の範囲で上限額が定められています。詳しい上限額については、手続きの際に確認しましょう。

手続き

同制度は、次の手順で手続きをしましょう。

(1)「破産等の区分」に応じた証明者が証明書の交付を受けます。事実上の倒産のケースでは、証明書ではなく、労働基準監督署長から確認通知書が交付されます。

(2)証明書、あるいは確認通知書の左側にある未払賃金の立替払請求書等に必要事項を記入し、労働者健康安全機構に提出します。

適切に手続きができていれば、提出から1ヶ月程度で未払賃金の立替金が振り込まれます。(1)の「破産等の区分」は次のとおりです。

破産等の区分 証明者
破産・会社更生 管財人
特別清算 清算人
民事再生 再生債務者等

日本政策金融公庫のセーフティネット貸付制度

日本政策金融公庫は、政府が全株式を保有する金融機関です。セーフティネット貸付制度の概要や対象者について詳しくみていきましょう。

概要

「倒産した企業の債務を持つ債権者」や「倒産した企業の債務の保証人」であることが原因で、経営が困難な状況に陥っている企業と個人が融資を受けられる制度です。他の融資とは別枠で、1億5,000万円まで融資を受けられます。

対象者

一時的に売り上げが減少しているものの、中長期的に見ると業績の回復が見込め、下記のいずれかに該当する企業と個人が対象です。

  • ・最近の決算期の売上高が前期か前々期よりも5%以上減少している
  • ・最近3ヶ月の売上高が前年同期か前々年同期よりも5%以上減少している
  • ・最近の決算期の純利益額か売り上げ高経常利益率が前期か前々期よりも低い
  • ・回収期限の延期や支払い条件の短縮などによって最近の取引条件が0.1ヶ月以上悪化している
  • ・社会的要因によって業績が一時的に悪化して資金繰りが非常に厳しい状態になっている、あるいは厳しくなる恐れがある
  • ・最近の決算期で赤字幅が減少したが税引前損益か経常損益では損失が出ている
  • ・前期の決算期で税引前損益か経常損益で損失が出ている、加えて最近の決算期で利益が増えたが利益準備金と任意積立金などの合計額よりも繰越欠損金が多い
  • ・前期の決算期で税引前損益か経常損益に損失が出ている、加えて最近の決算期で利益が増えたが債務償還年数が15年を超えている

融資限度額は4,800万円で、使い道によって返済期間が異なります。設備資金として利用する場合は15年以内(据置期間3年以内)、運転資金として利用する場合は8年以内(据置期間3年以内)です。

セーフティネット 保証制度(連鎖倒産防止)

セーフティネット保証制度(連鎖倒産防止)は、破産や民事再生、特別清算などの申立を行った影響で会社の経営に支障をきたしている中小企業者に対し、信用保証協会が借入の保障を行う制度です。

すでに、借入の保障を受けていても、別枠で保証を受けられます。対象企業や保証の限度額について詳しくみていきましょう。

対象企業

前提条件として、大型倒産をした売掛先の企業が経済産業大臣による指定事業者であることが必要です。指定事業者かどうかは、中小企業庁のホームページで確認できます。そして、次のいずれかの条件を満たしている必要があります。

(1)50万円以上の商品や原材料の購入における前渡金の返還請求権か売掛金債権を持っている中小企業

(2)大型倒産した企業における(1)の債権が50万円未満であるが、全取引先のうち取引規模が20%を超えている中小企業

保証の限度額

保証の限度額は2億8,000万円で、それとは別枠で保証を受けることが可能です。上限は、普通保証が2億円、無担保保証が8,000万円です。

まとめ

倒産した会社の従業員や取引先への支払いが滞ると、従業員が路頭に迷ったり連鎖倒産したりする恐れがあります。セーフティネットの制度を活用すれば、大型倒産による関係者への影響を抑えることが可能です。セーフティネットの手続きの方法や条件を満たしているかどうかの判断については、弁護士に相談することをおすすめします。「梅田パートナーズ法律事務所」では、ご依頼主さまのお気持ちに寄り添った対応を心がけておりますので、お気軽にご相談ください。

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