破産債権 ・破産債権者とは?その種類と債権回収の優先順位

2023.2.6

この記事を監修した弁護士

弁護士 西村 雄大
梅田パートナーズ法律事務所

大阪弁護士会【登録番号 49195】

破産者に対してお金を貸していた場合は、自分は破産債権者に該当する可能性があります。そのほか、財団債権者という債権者もいるなど、複雑な仕組みになっているため、破産者にお金を貸していた方は確認しておくことが大切です。ここでは、破産債権・破産債権者とは何か、その種類や債権回収の優先順位について詳しくご紹介します。

破産債権とは

破産法では、債権者が持つ債権を「破産債権」と「財団債権」に分けています。分ける基準は、公益性や重要度などです。財団債権は、破産手続きとは関係なく破産した財団から随時弁済を受けることが可能な債権です。そして、財団債権を持つ債権者を「財団債権者」といいます。

一方で破産債権は、財団債権に該当せず、破産手続き開始前に起きた原因によって生じた財産上の請求権のことです。そして、破産債権を持つ債権者が「破産債権者」です。

企業間の売掛金や貸付金、未収金などは、基本的にいずれも破産債権に該当します。そのため、随時弁済を受けるのではなく、破産手続きによって定められた配当によって、一部または全額を返済されることになります。

破産債権の種類

破産債権には、4つの種類があります。それぞれの特徴を詳しくみていきましょう。

優先的破産債権

優先的破産債権は、他の破産債権よりも優先的に配当を受けられる破産債権です。

一般の破産債権

一般の破産債権は、他の破産債権に該当しない破産債権のことです。破産債権のうち、一般の破産債権が多くを占めます。例えば、金融機関からの借り入れや買掛金、売掛金などが該当します。

劣後的破産債権

劣後的破産債権とは、優先的破産兼と一般の破産債権を持つ破産債権者に対して配当された後、余剰があれば配当を受けられる破産債権です。

約定劣後的破産債権

約定劣後破産債権は、配当の優先順位が最も下位の破産債権です。多くの場合は、配当を受けられません。

破産債権として認められるための一般的要件

破産債権者と認められるには、次の一般的要件を満たす必要があります。

  • 金銭的評価が可能な請求権
  • 財産上の請求権(金銭の給付によって債権を回収したことになる請求権)
  • 破産者に対する請求権
  • 民事執行が可能な請求権
  • 破産手続きを始める前の原因による債権
  • 財団債権ではない債権

一般的要件を満たしているかどうか確認しましょう。

一般的要件を満たさない破産債権に含まれる請求権

一般的要件を満たしていなくても、破産債権に含まれる請求権があります。以下の破産債権が該当します。

一 破産手続開始後の利息の請求権
二 破産手続開始後の不履行による損害賠償又は違約金の請求権
三 破産手続開始後の延滞税、利子税若しくは延滞金の請求権又はこれらに類する共助対象外国租税の請求権
四 国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)又は国税徴収の例によって徴収することのできる請求権(以下「租税等の請求権」という。)であって、破産財団に関して破産手続開始後の原因に基づいて生ずるもの
五 加算税(国税通則法(昭和三十七年法律第六十六号)第二条第四号に規定する過少申告加算税、無申告加算税、不納付加算税及び重加算税をいう。)若しくは加算金(地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)第一条第一項第十四号に規定する過少申告加算金、不申告加算金及び重加算金をいう。)の請求権又はこれらに類する共助対象外国租税の請求権
六 罰金、科料、刑事訴訟費用、追徴金又は過料の請求権(以下「罰金等の請求権」という。)
七 破産手続参加の費用の請求権
八 第五十四条第一項(第五十八条第三項において準用する場合を含む。)に規定する相手方の損害賠償の請求権
九 第五十七条に規定する債権
十 第五十九条第一項の規定による請求権であって、相手方の有するもの
十一 第六十条第一項(同条第二項において準用する場合を含む。)に規定する債権
十二 第百六十八条第二項第二号又は第三号に定める権利

引用:e-Gov『破産法 第九十七条』

このように、一般的要件を満たしていなくて破産債権に含まれるかどうかは、法的な知識がなければ判断できません。そのため、弁護士に相談して、破産債権に含まれるかどうか確認が必要です 。

破産債権者間における債権回収の優先順位

破産債権者における債権回収の優先順位は次のとおりです。

  • 1.優先的破産債権
  • 2.般の破産債権
  • 3.劣後的破産債権
  • 4.約定劣後破産債権

また、次のように優先的破産債権の中でも優先順位があります。

  • 1.公租(国税・地方税)の請求権
  • 2.公課(国民年金や国民健康の保険料など)の請求権
  • 3.共益費用の請求権
  • 4.雇用関係の請求権
  • 5.葬式費用の請求権
  • 6.日用品の供給の請求権

複数の破産債権者における優先的破産債権が重複している場合は、債権額に応じて比例配分されます。これは、優先的破産債権以外の破産債権も同様です。

まとめ

破産債権と破産債権者は複雑なため、まずは弁護士に相談して破産債権の種類を確認することが大切です。破産債権の種類によっては弁済を受けられない可能性が高くなるため、正しく把握する必要があります。「梅田パートナーズ法律事務所」では、破産や会社の再生など、さまざまなサポートを行ってきた経験に基づき、破産債権に関する情報提供やアドバイスなどを行えます。1人ひとりに寄り添ったサポートを心がけておりますので、お気軽にご相談ください。

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