自己破産すると生命保険の解約が必要!不要なケースも解説
この記事を監修した弁護士
弁護士 西村 雄大
梅田パートナーズ法律事務所
大阪弁護士会【登録番号 49195】
自己破産の際は生命保険の解約が必要と聞き、取り扱いについて気になってる方は多いのではないでしょうか。生命保険が解約となれば生活におけるリスクが高まります。詳細をチェックし、適切に対応することが大切です。本記事では、自己破産したときの保険解約について必要なケースと不要なケースを解説します。
自己破産の際は生命保険を解約する
自己破産手続きにおいて、生命保険は原則として解約されることが一般的です。自己破産手続きでは、財産に換価処分が行われ、その資金が債権者に分配されます。貯蓄型や積立型の生命保険契約が解約時に返戻金が支払われる場合、破産手続き開始時に20万円を超える解約返戻金があれば通常は解約となります。
この際、複数の契約がある場合でも、解約返戻金を合算して20万円を超えれば解約が必要です。
自己破産における生命保険の取り扱い
自己破産手続きでは、財産目録に債務者本人の生命保険契約に関する情報が含まれます。破産申立書の書式は裁判所により異なり、解約返戻金額が通常記載されます。正確な金額を知るためには、保険会社に「解約返戻金の証明書」を取得することが必要です。
自己破産手続き開始決定時点の解約返戻金が20万円以上となる場合、債権者への配当の可能性があるため「管財事件」となり、裁判所が破産管財人を選任します。破産管財人の就任後は、生命保険契約の管理処分権が管財人に移り、迅速に解約が行われます。
ただし、破産管財人が選任されない場合もあります。これは同時廃止と呼ばれる破産手続きの終了形態で、債権者に配当すべき財産がなく手続きが進まない場合に破産手続きが「廃止」となり、破産管財人が選任されません。生命保険契約の取り決めは、破産手続きの進行や管財人の選任の有無によって異なるため、まずは弁護士に相談することをおすすめします。
自己破産における生命保険の解約返戻金の取り扱い
生命保険解約による返戻金は、破産管財人が受領し、これが破産者の債権者への配当の元となります。この債権者への支払いや配当の原資として集められる財産の総称を「破産財団」と呼びます。破産財団は、裁判所の管理下で債権者に均等に分配されることが求められます。
自己破産の際に解約となる保険
自己破産の際は、生命保険のほかにもさまざまな保険が解約となります。貯蓄型や積立型、かけ捨て型の保険、学資保険、養老保険など、解約返戻金が存在するものは全て解約されます。
自己破産しても保険が解約とならないケース
自己破産しても、保険がすべて解約となるわけではありません。次のケースでは解約が不要です。
解約返戻金が20万円以下
各生命保険の解約返戻金合計が20万円以下であれば、解約は不要です。
医療給付を受けている
現在、医療給付を受けているか、将来的に医療給付を受ける可能性が高い場合、また高齢で再加入が難しい場合は保険の解約が不要となる可能性があります。
契約者貸付制度を利用している
契約者貸付制度を利用すると、解約返戻金の約70%を貸付として受け取り、生活費や破産手続き費用に利用できます。ただし、使用目的によっては問題が生じる可能性があるため注意が必要です。
保険法の介入権制度を活用する
自己破産者は介入権制度を活用することで、解約を免れられる可能性があります。
一定の手続きを経て、解約返戻金相当額を負担することで保険契約を維持できます。
自由財産の拡張が認められる
破産者は一定の自由財産を残すことができます。現金99万円や差押禁止財産は自由財産となり、それに加えて必要に応じて裁判所により拡張が認められる場合があります。これを利用して生命保険契約を残せる可能性があるのです。ただし、裁判所の決定に基づくため、必ず残せるとは限りません。
解約返戻金相当額を裁判所に積立する
保険の再加入が難しい事由がある場合、解約返戻金相当額を積み立てることを条件に保険契約を維持できる可能性があります。ただし、自由財産拡張の申立を行い、裁判所の認可を受けることが必要です。
任意整理も検討しよう
保険を解約したくない場合は、任意整理も検討することが大切です。債権者単位で交渉し、将来利息をカットしたうえで3~5年かけて完済を目指します。交渉は通常、弁護士によって行います。
まとめ
自己破産した際は、生命保険だけではなく解約返戻金がある保険は一定の要件のもとで解約となります。解約になるかどうかには裁判所の判断も関係するため、自己判断は禁物です。まずは、信頼できる弁護士に自己破産のサポートを受けましょう。梅田パートナーズ法律事務所では、保険解約を含め、自己破産に関する全面的なサポートおよび手続の代行が可能です。まずはお気軽にご相談ください。
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弁護士 西村 雄大
梅田パートナーズ法律事務所
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