法人税を滞納したら代表の財産は失う?滞納の問題点や差し押さえの流れ・対処法を解説

2024.9.29

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法人税は、企業が支払う税金の中でも大きな割合を占める税金です。会社の業績によっては法人税を支払うことができないケースもあります。もし、法人税を滞納したら代表取締役社長の財産はすぐに差し押さえられてしまうのか。。。

会社の経営は続けられるのかなど、さまざまな疑問や不安が思い浮かぶのではないでしょうか。

そこで今回は、法人税を滞納したらどうなるのか、滞納の問題点や差し押さえの流れ、対処法などについて詳しく解説します。

この記事をわかりやすく解説
  • 法人税を納税できない理由は金額ではなく納税時期が問題
  • 法人税を滞納すると延滞税が発生し財産が差し押さえられる
  • 滞納した法人税の差し押さえを防ぐ方法を解説

法人税を滞納するケース

法人税は所得に対して一定の税金を支払うもののため、通常は支払えない事態に陥ることはありません。それでは、法人税をなぜ滞納してしまうのかというと、売掛金や在庫の状態となっている利益を税金の支払いに充てることができないためです。

つまり、法人税を納税できない理由は金額ではなく納税時期にあります。

法人税を滞納する問題点

法人税はなるべく支払いたくないため、滞納しても見逃してもらえないか、長く滞納しても問題ないのではないかと考える方もいらっしゃいます。法人税を滞納する問題点について詳しく見ていきましょう。

法人税や消費税などの税金を納めない・払えないとどうなる?納税が難しい場合の対応方法も解説

延滞税が発生する

延滞税とは、期限通りに法人税を支払わなかった場合にかかる税金のことです。滞納している法人税額に対し、一定の割合をかけた金額が加算されます。納付期限の翌日から2ヶ月を経過する日までは、原則として年7.3%です。ただし、令和3年1月1日以降は、年7.3%と延滞税特例基準割合+1%のいずれか低い方の割合です。

また、2ヶ月を経過した日以降は原則として年14.6%となり、こちらも令和3年1月1日以降は年14.6%と延滞税特例基準割合+7.3%のいずれか低い割合となります。延滞税特例基準割合は財務大臣が各年の前年の11月30日までに告示します。

延滞税が発生すると、納めるべき住民税額が高くなるため、なるべく早く納税することが大切です。

財産が差し押さえられる

法人税を一度滞納しただけでは、財産は差し押さえられません。督促状が何通も届き、無視し続けると税務署が国税滞納処分の方法によって、財産を差し押さえます。会社経営に必要な財産が差し押さえられると事業継続が不可能となり、倒産する可能性も否定できません。

法人税の滞納から差し押さえまでの流れ

法人税を滞納してから会社の財産が差し押さえられるまでの流れについて詳しく見ていきましょう。

1.延滞税が発生して督促状が送られてくる

延滞税は1日単位で発生します。そして、税務署から督促状が送られてきて、財産の差し押さえに向けて1歩ずつ着実に進んでいきます。督促状の送付は、税務署が差し押さえを行うための前段階として必要な手続きであり、通常は滞納から数週間から1ヶ月程度で送られてきます。

2.催告が何度も行われる

督促状の送付だけではなく、電話や訪問などによる催告が再三行われます。ただし、回数や方法については明確なルールがありません。そのため、催告がほとんど行われないケースもあるでしょう。だからといって法人税の滞納が許されたわけではなく、放置すると差し押さえに向かって進んでしまいます。

3.財産調査

税務署は、独自の情報網を駆使して法人の財産を調べます。これは、差し押さえによって法人税の回収が可能かどうかを判断するためです。

4.差し押さえの実行

法人が滞納分の法人税を納付しない状態が長く続くと、実際に差し押さえが行われます。督促状を送った日から数えて10日を経過した日までに滞納分が完納されない場合は、差し押さえを行うことができます。

対象となる財産は法人が持つすべての財産です。例えば、預貯金が差し押さえられた場合は取引先に支払いができなくなり、関係悪化によって取引が終了し、事業継続が不可能となる恐れがあります。

5.財産をお金に換えて滞納分の支払いに充てる

差し押さえられた財産はお金に換えたうえで滞納分の支払いに充てられます。余った金額は法人に返還されますが、財産の再取得は法人自身が行う必要があります。

滞納した法人税の差し押さえを防ぐ方法

法人税の滞納によって財産が差し押さえられると、事業に多大な影響が出る恐れがあります。そのため、滞納状態を速やかに解消すべく、資金を支払いに充てることが大切です。しかし、資金繰りが悪化している場合は滞納分の支払いは難しくなるでしょう。

まずは、早い段階で税務署に相談し、「換価の猶予」と「納税の猶予」のいずれかの措置を受けることが重要です。いずれも最大1年間の猶予期間を与えられます。

また、法人税の支払いが困難になった場合は、特例もありますのでご確認ください。
出典元:納税に関する総合案内|国税庁

まとめ

法人税の滞納による差し押さえによって会社経営に影響が出ないように、まずは担当税理士に相談しましょう。しかし、法人税だけではなく借金の滞納もしている場合は、法人税の滞納の解消は困難です。その場合は、弁護士に債務整理のサポートを依頼することをおすすめします。

任意整理や民事再生など、会社経営を継続しながら債務を圧縮する方法を選べば、現状を打開できる可能性があります。
梅田パートナーズ法律事務所では、債務整理を全面的にサポートしておりますのでお気軽にご相談ください。

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この記事を監修した弁護士

弁護士 西村 雄大
梅田パートナーズ法律事務所

大阪弁護士会【登録番号 49195】

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代表弁護士

西村 雄大

弁護士の西村 雄大と申します。これまで「弁護士」という職業は、一般的にどこか取っ付き難い職業として認知されていたのではないかと思います。
今はインターネットなどを通じて、ある程度の知識は誰でも取得できるようになりました。法律に関しても同じです。
このような時代だからこそ、弁護士に頼んでよかったと思っていただけるよう、プラスアルファの情報・一つ上のサービスを心掛けて対応します。

法人破産申立て実践マニュアル〔第2版〕

弊所代表弁護士の西村雄大が「法人破産」に関する書籍に著書(共著)として参加し出版しております。

経 歴

2010
京都大学 卒業
2012
神戸大学法科大学院 卒業
2012
司法研修所
2013
弁護士 登録
2014
中小企業診断士 登録
2014
梅田法律事務所 設立
2015
経営革新等支援機関 認定
2017
梅田パートナーズ法律事務所 改称

資格・登録等

所属団体

テレビ出演

・2024年 MBS 毎日放送様の「よんチャンTV」にて、「船井電機 突然の破産」についてコメント出演しました。

・2022年 MBS 毎日放送様の「よんチャンTV」にて、「スーパーマーケット ツジトミの倒産」についてコメント出演しました。

著書および論文名

  • ・著書(共著):法人破産申立て実践マニュアル(野村剛司 編著/青林書院)
  • ・法学セミナー平成26年10月号「倒産法の魅力と倒産法の学修」
  • ・物流業界の未来を創る雑誌「物流新時代」にて「西村弁護士の法律相談室」を連載

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