個人を対象とする民事再生法とは?種類・手続きの流れを解説

2021.7.5

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民事再生法は中小企業の再生を主な目的としていますが、対象者に制限はありません。中小企業を対象とする場合と個人を対象となる場合の違いについて、気になる方は多いのではないでしょうか。ここでは、個人を対象とする民事再生法の特徴や個人再生の手続きの流れをご紹介します。

民事再生法とは

民事再生法とは、経済的な困窮で債務の返済が不可能になった際に、事業や生活の再生を目的に、返済期間の延長や借金の減額を行えるよう定められた法律です。

個人再生とは

民事再生法に基づく手続きのうち、個人を対象とするものは「個人再生」と呼ばれ、「小規模個人再生」と「給与所得者等再生」の2つに分類されます。

小規模個人再生

小規模個人再生は、条件を満たすことで自営業者や会社員、年金生活者が利用できます。

裁判所の判断で、3年~5年の分割払いで完済できるように借金を大幅に減額します。最低弁済額と清算価値総額のうち、多い方の債務を返済します。清算価値総額とは、全ての財産を処分した際に得られる金額のことです。現預金はもちろん有価証券や保険の解約返戻金、車なども含まれます。

また、最低弁済額は借金総額に応じて次のように定められています。

借金総額 最低弁済額
100万円未満 全額
100万円~500万円未満 100万円
500万円~1,500万円未満 借金総額の5分の1
1,500万円~3,000万円未満 300万円
3,000万円~5,000万円未満 借金総額の10分の1

例えば、借金総額が400万円で清算価値総額が200万円の場合は、200万円を返済することになります。

給与所得者等再生

給与所得者等再生は、将来の収入をほぼ確実かつ容易に把握できる会社員を対象とする手続きです。弁済額は、最低弁済額と清算価値総額、可処分所得(収入から生活費用や税金を差し引いて残った金額)×2年分のうち、最も大きい金額です。

個人再生の条件

個人再生を利用するための条件は次のとおりです。

・債務が5,000万円以下であること
・継続的な収入を得る見込みがあり再生計画に則った弁済ができる
・債権者の2分の1以上の賛成を得ている(小規模個人再生手続)
・過去7年以内に個人再生手続のハードシップ免責許可決定、破産手続免責決定、給与所得者再生の再生計画認可決定を受けていない(給与所得者再生手続)

個人再生のメリットとデメリット

個人再生のメリットは、自己破産のように財産の処分を必要とせず、手続き中の就業制限がないことです。また、住宅資金特別条項の利用により、住宅ローン残債のある自宅を手放さずに、住宅ローン以外の借金を整理できます。

ただし、個人再生は生活を立て直すことが目的のため、妥当性のある再生計画を立案し裁判所の認可を得なければなりません。また、自己破産と同様に5年~10年は借り入れができなくなる他、国が発行する機関誌の官報に掲載されます。

個人再生の手続きの流れ

個人再生の手続きには、申し立てから再生計画認可までに約5ヶ月かかります。ただし、弁護士の対応が遅い、何らかの事情で裁判所の判断が遅れるなどした場合は、それ以上の期間がかかります。個人再生の手続きの流れは次のとおりです。

1.事前準備と裁判所への申し立て

弁護士に個人再生手続きの依頼をすると、債権者に受任通知や弁護士介入通知が発送され、取り立てがストップします。弁護士は、債権者から開示された取引履歴から法定金利に基づいた引き直し計算を行い、借金総額を確認します。

引き直し計算とは、制限利率を超えて返済していた場合に、超過した返済額を元金の返済に充てることです。続いて、裁判所への申立に必要な申立書や借金の返済ができない状況にあることを証明する書類などを用意します。

申し立ての受理と再生計画の立案

裁判所が個人再生の申し立てを受理すると、個人再生委員が選任されます(地域や裁判所によっては選任しない)。個人再生委員と面接をして、借金をした理由や内容、返済の見込みなどを伝えます。

そして裁判所は、個人再生委員の意見を踏まえ、個人再生の手続きを開始するかどうかを決定します。続いて、生活を立て直すための具体的な方法や弁済方法などを決めた再生計画を裁判所に提出します。

再生計画の審査から返済開始まで

小規模個人再生では、再生計画案と議決書が債権者に郵送されます。債権者の2分の1以上が賛成し、反対した債権者の債権額が全体の債権額の2分の1未満であり、返済見込みがあると裁判所が判断すれば、再生計画が認可されます。

給与所得者等再生では、債権者の意見を踏まえ、裁判所が返済見込みがあると判断した場合に再生計画が認可されます。その後、約1ヶ月後に再生計画が確定し、翌月から返済が始まります。

まとめ

個人再生は、自己破産のように財産を失うことなく借金を整理できる手続きです。まずは、信頼できる弁護士に相談しましょう。梅田パートナーズ法律事務所は、ご依頼者様に親身に寄り添い、的確に対応しております。個人再生と他の債務整理の違いを知りたい、リスクについてもっと詳しく知りたいといった方もお気軽にご相談ください。

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この記事を監修した弁護士

弁護士 西村 雄大
梅田パートナーズ法律事務所

大阪弁護士会【登録番号 49195】

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代表弁護士

西村 雄大

弁護士の西村 雄大と申します。これまで「弁護士」という職業は、一般的にどこか取っ付き難い職業として認知されていたのではないかと思います。
今はインターネットなどを通じて、ある程度の知識は誰でも取得できるようになりました。法律に関しても同じです。
このような時代だからこそ、弁護士に頼んでよかったと思っていただけるよう、プラスアルファの情報・一つ上のサービスを心掛けて対応します。

法人破産申立て実践マニュアル〔第2版〕

弊所代表弁護士の西村雄大が「法人破産」に関する書籍に著書(共著)として参加し出版しております。

経 歴

2010
京都大学 卒業
2012
神戸大学法科大学院 卒業
2012
司法研修所
2013
弁護士 登録
2014
中小企業診断士 登録
2014
梅田法律事務所 設立
2015
経営革新等支援機関 認定
2017
梅田パートナーズ法律事務所 改称

資格・登録等

所属団体

テレビ出演

・2024年 MBS 毎日放送様の「よんチャンTV」にて、「船井電機 突然の破産」についてコメント出演しました。

・2022年 MBS 毎日放送様の「よんチャンTV」にて、「スーパーマーケット ツジトミの倒産」についてコメント出演しました。

著書および論文名

  • ・著書(共著):法人破産申立て実践マニュアル(野村剛司 編著/青林書院)
  • ・法学セミナー平成26年10月号「倒産法の魅力と倒産法の学修」
  • ・物流業界の未来を創る雑誌「物流新時代」にて「西村弁護士の法律相談室」を連載

事務所概要

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〒530-0047 大阪府大阪市北区西天満4-6-4 R-Ⅱビル2階
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