会社が倒産しても退職金をもらえるケースとは?もらえないケースと一緒に解説
会社が倒産した場合、退職金をもらえないと思っている方は多いのではないでしょうか。確かに、退職金をもらえない場合もありますが、会社の状況次第では退職金をもらえる場合もあるのです。そこで今回は、会社が倒産しても退職金をもらえるケースと、もらえないケースについて詳しくご紹介します。
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会社が倒産しても退職金を受け取る権利は消滅しない
前提として、会社が倒産しても退職金を受け取れる権利は残ります。そのため、実際のところ会社から退職金を受け取れる状況かどうかを見ることが大切です。会社の破産手続きが始まると、破産管財人の弁護士が会社の債務や資産の整理をします。このとき、未払いの給与や退職金がある場合は、従業員に分配されるのです。
会社に退職金を支払う余力があるかどうかは、従業員が把握することは難しいでしょう。そのため、破産管財人からの連絡を待つ必要があります。
会社の財産が少ない場合は退職金をもらえない可能性が高い
会社が倒産しても退職金は受け取れますが、原資となる資産がなければ退職金は受け取れません。経済的な余力がないために倒産した場合は、退職金を支払いたくても支払えないのです。ただし、債権回収によって資産が増えた場合には、従業員に退職金を支払えるようになる可能性があります。
債権を持っておらず、資産も残っていない場合には、退職金はもらえないでしょう。
中小企業退職金共済制度を利用している場合は退職金が支払われる
会社に退職金を支払う余力がなくても、中小企業退職金共済制度を利用している場合は退職金を受け取れます。中小企業退職金共済制度とは、事業主が掛け金を納付することで、従業員が退職したときに勤労者退職金共済機構から従業員に退職金が直接支払われる制度です。
会社と勤労者退職共済機構は別の組織のため、倒産しても退職金に一切の影響がありません。そのため、会社が倒産したときは、中小企業退職金共済制度を利用しているかどうかを確認することが先決です。
倒産時に退職金をもらえないときに利用すべき「未払賃金立替払制度」
未払賃金立替払制度とは、会社の代わりに労働基準監督署及び独立行政法人労働者健康安全機構が退職金を立替払いする制度です。会社から退職金が支払われなかった場合は、未払賃金立替払制度を利用しましょう。ただし、全ての従業員が制度を利用できるわけではありません。未払賃金立替払制度の利用条件や立替金額、注意点について詳しくみていきましょう。
利用条件
未払賃金立替払制度は、次の全ての条件を満たした場合にのみ利用できます。
- 倒産した会社の事業活動期間が1年以上
- 倒産に関わる裁判所への申し立て(法律上の倒産日)や、労働基準監督署への認定申請が行われた日(事実上の倒産日)から6ヶ月~2年の間に退職した
法律上の倒産とは、民事再生など裁判所の手続きによる破産のことです。また、事実上の倒産とは、賃金の支払いができないために事業が停止しているなど、経営が立ち行かなくなったことで倒産することを指します。
立替金額
未払賃金立替払制度で立て替えられる退職金額は全額とは限りません。対象となるのは、退職日の6ヶ月前~立替払請求日の前日までの間に支払期日がある退職金です。また、未払いの退職金のうち80%が対象となります。ただし、退職時の年齢に応じて88万~296万円の上限が設けられています。また、総額2万円未満の給料や退職金は立替払いの対象外です。
注意点
未払賃金立替払制度には、次の注意点があります。
資料の提出が必要
未払賃金立替払制度の利用には、倒産した会社で働いていたことを証明するために、タイムカードや賃金台帳などの提出が必要です。これは、不正受給を防ぐための措置のため、必ず資料は提出しなければなりません。
立替金の支払いに時間がかかる
資料を速やかに提出しても、退職金の立替金が支払われるまでに1~3ヶ月ほどかかります。これは、手続きを行う破産管財人が極めて多忙であり、資産や債務の整理に追われているためです。予想以上に立替払いに時間がかかるケースもあるため、退職金が入るからといって貯金を無駄づかいすることは避けましょう。
会社の役員は基本的に対象外
未払賃金立替払制度の対象者は、役員を除く従業員です。役員は退職金を立て替えられないため注意しましょう。ただし、役員と兼任している従業員に関しては、業務内容や立場、待遇などによっては同制度の対象になります。
まとめ
会社が倒産しても、債務の回収によって資産が増えたり、中小企業退職金共済制度を利用していたりする場合は、退職金が支払われる可能性があります。梅田パートナーズ法律事務所では、退職金や給与の未払いに関するご相談に対応しております。お気持ちに寄り添い、親切丁寧な対応を心がけておりますので、どうぞお気軽にご相談ください。
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