会社が破産した場合でもテナントの賃料は支払う必要がある?対応方法を解説

2024.12.17

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会社が破産した場合、事務所や店舗などのテナント契約はどうなるのでしょうか。契約解除や解約を行わない限り、賃料の支払い義務が生じるため、この問題を適切に対処しなければなりません。本記事では、破産時の賃料の取り扱いや具体的な対応方法について詳しく解説します。

破産時のテナント契約の基本

破産時のテナント契約の基本から確認していきましょう。

賃貸借契約は自動的には終了しない

会社が破産を選択しても、テナント契約は自動的には終了しません。賃貸借契約が継続している限り、賃料の支払い義務は存続します。そのため、負債を増やさないためにも、破産申立て前に契約の解除または解約手続きを進めることが望ましいとされています。

解除と解約の違い

契約終了には「解除」と「解約」の2つの方法があります。解除は賃料不払いなどの契約違反があった場合に認められるもので、解約は賃貸人と賃借人の合意による契約終了を意味します。多くの場合、解約には3~6か月前の予告が必要であり、迅速な対応が求められます。

破産時の賃料支払いに関する原則と例外

破産時の賃料支払いに関する原則と例外について解説します。

賃料支払いの原則

破産手続き中にテナント賃料を支払う行為は、他の債権者に対して不公平な「偏頗弁済」と見なされる可能性があります。破産管財人は賃料だけを優先的に支払う行為を不適切と判断し、否認権を行使して支払済みの賃料を取り消す場合があります。

このような行為は、債権者間の平等性を欠くことから、破産手続きの公正さに影響を与えるため控えるべきです。

賃料支払いの例外

例外的に賃料を支払うことが認められるのは、破産手続き上必要不可欠と判断される場合に限られます。例えば、賃貸借契約が継続している状態で敷金の返還を受けるためには、賃料の未払いを避ける必要があります。

敷金は、契約終了時に賃料の清算が完了している場合に返還されるため、賃料を支払うことで破産手続きの費用を捻出することが可能になります。

また、事務所や倉庫に在庫を抱えている場合、その在庫を保管するためにはテナント契約を維持し、賃料を支払う必要があります。契約を解除してしまうと在庫を移動する場所がなくなり、処分費用や移転費用が発生するため、結果的に破産手続き全体の負担が増加します。このような場合は、テナントの賃料の支払いが認められることがあるのです。

破産時のテナント契約に関する対応方法

破産時のテナント契約に関する対応方法について詳しく見ていきましょう。

契約解除または解約を早急に進める

破産を検討する段階で、可能な限り早くテナント契約の解除または解約手続きを行うことが重要です。特に解約の場合は、契約書に定められた予告期間を確認し、手続きを進める必要があります。

敷金返還を活用する

敷金が返還される可能性がある場合、賃料を適切に支払って契約を終了することで、破産手続きの費用に充てることができます。例えば、敷金が数百万円規模の場合、賃料を数か月分支払ってでも返還を確保する方が、結果的に破産手続き全体にメリットをもたらすことがあります。

ただし、敷金の返還条件や賃料未払いの影響については、事前に契約内容を十分に確認することが重要です。

在庫保管のための契約維持

在庫が多数ある場合、テナント契約を維持することで、保管場所を確保できます。例えば、大型の在庫や特殊な設備が設置された倉庫の場合、他の場所への移転が困難であることがあります。このようなケースでは、在庫の処分または売却が完了するまで契約を維持し、最低限の賃料を支払う判断が適切です。テナントの維持が最終的にコスト削減につながる場合、この対応が破産手続きの効率化にも寄与します。

専門家に相談する

テナント契約に関する問題は複雑で、法的な判断が必要になることも多いため、弁護士や破産管財人への相談が不可欠です。例えば、契約解除のタイミングや賃料支払いの妥当性について専門家の意見を求めることで、リスクを最小限に抑えることができます。

また、破産手続き全体の戦略を立てる際にも、専門家の知識が大いに役立ちます。早期に相談することで、より適切な対応策を選択できるでしょう。

まとめ

会社が破産した場合でも、テナント契約が存続している限り賃料の支払い義務は発生します。負債を増やさないためには、契約解除や解約手続きを迅速に進める必要があります。また、敷金返還や在庫保管など、特定の状況では例外的に賃料を支払う判断が求められることもあります。

破産手続きやテナント契約に関してお困りの際は、梅田パートナーズ法律事務所までご相談ください。

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この記事を監修した弁護士

弁護士 西村 雄大
梅田パートナーズ法律事務所

大阪弁護士会【登録番号 49195】

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弁護士ご紹介

代表弁護士

西村 雄大

弁護士の西村 雄大と申します。これまで「弁護士」という職業は、一般的にどこか取っ付き難い職業として認知されていたのではないかと思います。
今はインターネットなどを通じて、ある程度の知識は誰でも取得できるようになりました。法律に関しても同じです。
このような時代だからこそ、弁護士に頼んでよかったと思っていただけるよう、プラスアルファの情報・一つ上のサービスを心掛けて対応します。

法人破産申立て実践マニュアル〔第2版〕

弊所代表弁護士の西村雄大が「法人破産」に関する書籍に著書(共著)として参加し出版しております。

経 歴

2010
京都大学 卒業
2012
神戸大学法科大学院 卒業
2012
司法研修所
2013
弁護士 登録
2014
中小企業診断士 登録
2014
梅田法律事務所 設立
2015
経営革新等支援機関 認定
2017
梅田パートナーズ法律事務所 改称

資格・登録等

所属団体

テレビ出演

・2024年 関西テレビ様の「ドっとコネクト」にて、「アリシアクリニックの破産」についてリモート出演しました。

・2024年 日本テレビ様の「news zero」にて、「アリシアクリニックの破産 利用者への返金」についてコメント出演しました。

・2024年 MBS 毎日放送様の「よんチャンTV」にて、「船井電機 突然の破産」についてコメント出演しました。

・2022年 MBS 毎日放送様の「よんチャンTV」にて、「スーパーマーケット ツジトミの倒産」についてコメント出演しました。

著書および論文名

  • ・著書(共著):法人破産申立て実践マニュアル(野村剛司 編著/青林書院)
  • ・法学セミナー平成26年10月号「倒産法の魅力と倒産法の学修」
  • ・物流業界の未来を創る雑誌「物流新時代」にて「西村弁護士の法律相談室」を連載

事務所概要

事務所

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住所
〒530-0047 大阪府大阪市北区西天満4-6-4 R-Ⅱビル2階
最寄駅
・京阪電鉄「北浜駅」「なにわ橋駅」より徒歩5分
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