中小企業再生支援協議会とは?スキームや活用シーンを解説

2024.9.26

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中小企業の経営が悪化し、資金繰りに困った際には、金融機関や取引先との対応が難しくなることがよくあります。そのような状況で、事業の再生や改善を図るために活用できる公的機関が「中小企業再生支援協議会」です。本記事では、中小企業再生支援協議会の役割や利用方法、どのような支援が受けられるのかについて詳しく解説します。

中小企業再生支援協議会とは

中小企業再生支援協議会は、産業競争力強化法に基づき設置された公的機関で、全国47都道府県に存在します。経済産業省の委託事業として運営されており、地域ごとに地元の商工会議所などが受託していることが多いです。例えば、福岡県では福岡商工会議所がこの役割を担っています。

中小企業再生支援協議会は、経営悪化に直面している中小企業に対して、事業再生や経営改善を支援するために設置されています。企業の財務状況の改善や、金融機関との再建計画の調整などをサポートし、事業の再建に向けた支援を行います。

中小企業再生支援協議会の目的

中小企業再生支援協議会の主な目的は、経営困難に陥った中小企業が破綻することなく、持続的に事業を継続できるようにすることです。具体的には、以下のようなサポートを提供しています。

  • 事業再生に向けた経営改善計画の策定
  • 債権者との交渉支援
  • 財務状況のモニタリングと改善アドバイス

上記のサポートを通じて、中小企業が金融機関からの支援を受けやすくなり、事業再建の可能性を広げることができます。

中小企業再生支援協議会の支援スキーム

中小企業再生支援協議会による支援には、主に2つの基本的なスキームがあります。それぞれの企業の状況に応じて選択されます。

1. 従来型スキーム

従来型スキームは、中小企業再生支援協議会が主導して再建計画を策定し、事業再生のサポートを行う方法です。企業が再生支援を要請した後、協議会が外部専門家(会計士、弁護士、税理士など)を選定し、詳細な財務状況や事業の実態を調査します。その後、経営改善計画書を作成し、金融機関に支援を要請します。

主力債権者(メインバンク)からの協力が得られれば、計画に基づいて事業再生が実行されます。協議会は、計画書の遂行をモニタリングし、企業が計画通りに進行しているかどうかを確認し、必要に応じて改善策を提案します。

2. 持込型スキーム

持込型スキームは、企業と金融機関が自ら作成した再建計画を協議会に持ち込み、その計画が合理的かどうかをチェックしてもらう方法です。このスキームでは、協議会のサポートを最小限にとどめ、計画策定や実行は企業と金融機関が主体となって行います。

持込型スキームは、従来型に比べて費用を抑えることができ、時間も短縮できるのが特徴です。しかし、再建計画の原案を作成するには、企業側に一定の経営改善のスキルが求められます。

中小企業再生支援協議会の支援を受けるための流れ

中小企業再生支援協議会の支援を受けるためには、まず再生支援の申し込みを行います。その後、協議会が企業の財務状況や事業実態を調査し、適切な支援プランを策定します。以下は、一般的な支援の流れです。

1. 再生支援の申し込み

企業が協議会に対して支援を要請します。

2. ヒアリング・簡易調査

協議会が企業の財務状況や事業状況についてヒアリングを行い、簡易的な調査を実施します。

3. 経営改善計画書の作成

協議会のサポートを受けながら、経営改善計画書を作成します。

4. 金融機関への支援要請

作成した計画書をもとに、金融機関に対して支援を要請します。

5. 計画実行とモニタリング

金融機関の同意が得られた場合、経営改善計画に基づいて事業再生が実行されます。協議会は、計画の実行をモニタリングし、必要に応じてサポートを提供します。

中小企業再生支援協議会を利用するメリット

中小企業再生支援協議会を利用することで、事業再生を成功させるための多くのメリットがあります。

1. 金融機関との交渉がスムーズになる

協議会のサポートを受けることで、金融機関との交渉が円滑に進むケースが多くなります。中小企業再生支援協議会が関与することで、金融機関に対して信頼性の高い再建計画を提示できるため、融資条件の見直しや返済猶予などの支援を受けやすくなります。

2. 専門家のサポートを受けられる

協議会には、財務や法律、税務の専門家が参加しているため、企業は専門家のアドバイスを受けながら再建計画を策定できます。これにより、再建の成功率が高まり、長期的な経営改善が見込めます。

3. 費用を抑えた再生が可能

持込型スキームを利用することで、従来型に比べて費用を抑えた再生が可能です。特に、資金繰りが厳しい企業にとっては、費用面での負担を軽減できる点は大きなメリットです。

中小企業再生支援協議会の利用が難しいケース

中小企業再生支援協議会を利用した再生支援には、いくつかの制約もあります。

1. 主力債権者の協力が得られない場合

中小企業再生支援協議会の支援を受けるためには、主力債権者である金融機関の協力が必要です。しかし、金融機関が再生計画に対して消極的な場合、協議会の支援を受けることが難しくなります。

2. 計画策定が難しい場合

持込型スキームでは、企業と金融機関が再建計画を自ら策定する必要があります。そのため、経営改善のスキルやノウハウが不足している場合、持込型の利用は困難です。計画の策定に困難を感じる場合は、従来型スキームを検討するのが良いでしょう。

3. 十分なキャッシュフローがない場合

従来型スキームを利用する場合には、一定のキャッシュフローが必要です。事業再生に取り組むためには資金が必要となりますので、十分なキャッシュフローを確保できない場合は、従来型スキームの利用が難しくなることがあります。

まとめ

中小企業再生支援協議会は、経営悪化に悩む中小企業にとって強力なサポートを提供してくれる公的機関です。協議会のサポートを受けることで、事業再生の可能性を広げることができ、金融機関との交渉や計画の策定、モニタリングまで一貫した支援を受けられます。再建計画の策定に自信がない企業や、金融機関との交渉が難航している場合には、早めに協議会に相談することをおすすめします。

梅田パートナーズ法律事務所では、経営改善計画書の作成を含め、再建に向けた対策の提案も可能ですので、お気軽にご相談ください。

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この記事を監修した弁護士

弁護士 西村 雄大
梅田パートナーズ法律事務所

大阪弁護士会【登録番号 49195】

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弁護士ご紹介

代表弁護士

西村 雄大

弁護士の西村 雄大と申します。これまで「弁護士」という職業は、一般的にどこか取っ付き難い職業として認知されていたのではないかと思います。
今はインターネットなどを通じて、ある程度の知識は誰でも取得できるようになりました。法律に関しても同じです。
このような時代だからこそ、弁護士に頼んでよかったと思っていただけるよう、プラスアルファの情報・一つ上のサービスを心掛けて対応します。

法人破産申立て実践マニュアル〔第2版〕

弊所代表弁護士の西村雄大が「法人破産」に関する書籍に著書(共著)として参加し出版しております。

経 歴

2010
京都大学 卒業
2012
神戸大学法科大学院 卒業
2012
司法研修所
2013
弁護士 登録
2014
中小企業診断士 登録
2014
梅田法律事務所 設立
2015
経営革新等支援機関 認定
2017
梅田パートナーズ法律事務所 改称

資格・登録等

所属団体

テレビ出演

・2024年 MBS 毎日放送様の「よんチャンTV」にて、「船井電機 突然の破産」についてコメント出演しました。

・2022年 MBS 毎日放送様の「よんチャンTV」にて、「スーパーマーケット ツジトミの倒産」についてコメント出演しました。

著書および論文名

  • ・著書(共著):法人破産申立て実践マニュアル(野村剛司 編著/青林書院)
  • ・法学セミナー平成26年10月号「倒産法の魅力と倒産法の学修」
  • ・物流業界の未来を創る雑誌「物流新時代」にて「西村弁護士の法律相談室」を連載

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