法人破産ができないケースはある?その場合の影響や対処法を解説

2024.9.26

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法人破産は、経営に行き詰まった会社が最終的な清算手続きとして選択するものですが、必ずしもすべての会社が法人破産を行えるわけではありません。この記事では、法人破産ができないケースや、その際にどのような影響があるのか、さらに法人破産以外の対処法について詳しく解説します。

法人破産ができないケース

法人破産ができないケースは次のとおりです。

支払不能や債務超過が認められない場合

法人破産を申請するには、会社が「支払不能」もしくは「債務超過」の状態である必要があります。支払不能とは、債権者に対して返済ができない状況が続いていることを指します。これには、以下のような具体例があります。

  • 債権者に弁護士の受任通知が送付された
  • 手形の不渡りが続き、銀行取引停止処分を受けた場合
  • 事業所を閉鎖し、営業を継続できない場合

一方、債務超過とは、会社の負債が資産を上回る状態です。貸借対照表によって明らかに負債の方が多い場合、債務超過と認められます。

不当な目的での破産申請

法人破産の手続きを悪用する場合、たとえば資産を別会社に移した上で偽装破産を行うなど、不当な目的で申請が行われた場合は、破産詐欺罪に問われる可能性があります。こうした不正行為が発覚した場合、法人破産が拒否されるだけでなく、刑事罰を受けるリスクもあります。

破産手続きに必要な費用が不足している

法人破産には、裁判所に支払う予納金や弁護士費用など、相当な費用が必要です。予納金は負債総額に応じて異なり、5000万円未満であれば約70万円、1億円未満では約100万円がかかります。このほか、弁護士に依頼する場合は弁護士費用も必要です。

資金繰りが悪化している会社では、これらの費用を捻出できないがために法人破産ができないケースもあります。特に予納金が不足している場合、裁判所が破産手続きの開始を拒否する可能性があります。

他の手続きが行われている場合

法人破産は最終的な清算手続きですが、同時に他の倒産手続きと並行して行えません。

たとえば、民事再生や会社更生など、再建型の手続きが進行中であれば、法人破産手続きは中止されます。

法人破産ができない場合の対処法

法人破産ができない場合の対処法は次のとおりです。

法人破産以外の倒産手続きの検討

法人破産が難しい場合、ほかの倒産手続きを検討することが重要です。主な選択肢として以下の手続きがあります。

  • 特別清算:法人破産と似た清算手続きですが、株主や債権者の同意を得る必要があり、法人破産よりも費用が抑えられる点が特徴です。
  • 民事再生:会社を残して債務を減額し、経営を立て直すための手続きです。再建の余地がある場合は、法人破産よりも有利な選択肢となります。
  • 会社更生:民事再生と同様の再建型倒産手続きですが、債権者が多い大規模企業向けです。

法人破産が難しい場合でも、これらの手続きを利用することで、会社を清算したり、再建を図ることが可能です。

経営者個人の自己破産

会社の経営者が法人の債務の保証人となっている場合、法人破産ができなくても、個人として自己破産を申請できます。自己破産により経営者個人の債務を免除することで、生活の再建を図ることが可能です。

債権回収や資産処分で費用を捻出する

破産手続きに必要な予納金や弁護士費用を捻出できない場合、会社が所有している売掛金や資産を回収、または処分して資金を確保する方法もあります。売掛金の回収や不動産、什器備品の売却などで資金を得られれば、破産手続きを進めることができます。

ただし、倒産直前に不当な価格で資産を処分すると、破産管財人から否認権が行使されるリスクがあるため、処分する際は弁護士に相談のうえ適切な方法で行うことが重要です。

債権者との交渉

法人破産を避けたい場合や、破産に至る前に手を打つためには、債権者との交渉も有効です。特に、長期間にわたって取引がある債権者との信頼関係を活かして、債務の猶予や返済計画の見直しを提案することが考えられます。これにより、経営を改善しつつ、法人破産を回避できる場合があります。

まとめ

法人破産ができない場合でも、経営を立て直す手段はまだ残されています。特別清算や民事再生といった他の倒産手続き、もしくは経営者個人の自己破産、さらに資産の回収・処分といった対処法も含め、最善の選択をするために専門家に相談することが重要です。破産を避けたい、事業の再建を図りたいという場合は、早めの対策がカギとなります。

梅田パートナーズ法律事務所では、破産・再建のいずれもサポートできますので、お気軽にご相談ください。

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この記事を監修した弁護士

弁護士 西村 雄大
梅田パートナーズ法律事務所

大阪弁護士会【登録番号 49195】

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代表弁護士

西村 雄大

弁護士の西村 雄大と申します。これまで「弁護士」という職業は、一般的にどこか取っ付き難い職業として認知されていたのではないかと思います。
今はインターネットなどを通じて、ある程度の知識は誰でも取得できるようになりました。法律に関しても同じです。
このような時代だからこそ、弁護士に頼んでよかったと思っていただけるよう、プラスアルファの情報・一つ上のサービスを心掛けて対応します。

法人破産申立て実践マニュアル〔第2版〕

弊所代表弁護士の西村雄大が「法人破産」に関する書籍に著書(共著)として参加し出版しております。

経 歴

2010
京都大学 卒業
2012
神戸大学法科大学院 卒業
2012
司法研修所
2013
弁護士 登録
2014
中小企業診断士 登録
2014
梅田法律事務所 設立
2015
経営革新等支援機関 認定
2017
梅田パートナーズ法律事務所 改称

資格・登録等

所属団体

テレビ出演

・2024年 MBS 毎日放送様の「よんチャンTV」にて、「船井電機 突然の破産」についてコメント出演しました。

・2022年 MBS 毎日放送様の「よんチャンTV」にて、「スーパーマーケット ツジトミの倒産」についてコメント出演しました。

著書および論文名

  • ・著書(共著):法人破産申立て実践マニュアル(野村剛司 編著/青林書院)
  • ・法学セミナー平成26年10月号「倒産法の魅力と倒産法の学修」
  • ・物流業界の未来を創る雑誌「物流新時代」にて「西村弁護士の法律相談室」を連載

事務所概要

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