​理容店・美容院の破産の注意点は?失敗しないためのポイントや手続きの流れを解説

2024.8.15

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経営が厳しくなり、理容店や美容院が破産を検討する場合、業界特有の注意点があります。理容店や美容院は、店舗の設備や顧客との関係が深く関わるため、破産手続きには細心の注意が必要です。本記事では、理容店や美容院が破産する際の注意点、失敗を避けるためのポイント、破産手続きの流れについて詳しく解説します。

理容店・美容院の破産の注意点

理容店・美容院の破産の注意点について、詳しく見ていきましょう。

物件によっては原状回復が必要

理容店や美容院が入居している物件が賃借物件の場合、廃業後には物件をオーナーに返却する必要があります。この際、契約に基づき物件を借りたときの状態に戻す「原状回復義務」が生じます。原状回復には多額の費用がかかることが多く、事前に原状回復費用を見積もり、確保しておくことが重要です。

原状回復をスムーズに進めるためには、廃業の数ヶ月前からオーナーと協議を始め、返却までのスケジュールを確認しておきましょう。また、居抜き物件として次のテナントに引き継ぐことができる場合、原状回復費用を大幅に削減できる可能性があります。そのため、同業者などを中心に居抜きでの借受希望者を探してみることも有効です。

リース設備の引き揚げのタイミングを確認しておく

理容店や美容院では、シャンプー台やローラーボールなどの設備をリースしているケースが多くあります。廃業時には、これらのリース設備をリース会社に返却しなければなりません。廃業のタイミングに合わせてリース設備を返却する際には、リース契約の内容を確認し、引き揚げ時期を調整しておくことが重要です。

また、キャッシュレス決済端末やクレジットカード決済端末をレンタルしている場合も同様に、廃業後にこれらの端末をレンタル元に返却する必要があります。端末の所在を確認し、使用していないものも含めて、すべての端末を返却する準備を進めましょう。

保証金は債権者への配当や従業員の給料に充てられる

賃借物件を明け渡すと、契約時に預けた保証金が返還されることが多いものの、破産手続きにおいては「財産」として扱われ、破産管財人に引き渡されることになります。保証金は、債権者への配当や未払いの従業員の給料に充てられるため、破産手続きが始まる前に勝手に使わないように注意が必要です。

ただし、必要な支払いに充てるために一部を使用することは可能です。その場合も、自己判断で使用するのではなく、弁護士に相談した上で適切に処理することが大切です。

破産管財人によって設備は換価される

理容店や美容院が所有する設備や備品は、破産手続きの一環として破産管財人によって換価(売却)され、その売却益は債権者への配当に充てられます。破産手続きが開始される前に、所有する設備や備品のリストを作成し、破産管財人に引き渡す準備を進めておくことが重要です。

破産手続きの前に、自ら設備を売却することも可能ですが、その際には適正な売却先を見つけ、相当な対価で売却する必要があります。設備の売却先としては、同業他社が主な対象となるでしょう。

廃業時には届出が必要

理容店や美容院を廃業する際には、開設者が都道府県知事に廃業届を提出する必要があります。これは、理容師法および美容師法に基づく義務であり、届出を怠ると罰金が科される可能性があります。廃業の手続きが完了したら、速やかに届出を行い、法的な問題を回避するようにしましょう。

廃業届を提出する際には、廃業日や店舗の所在地など、必要な情報を正確に記載し、都道府県の保健所や担当部署に提出します。廃業の手続きが完了するまでには時間がかかることもあるため、余裕を持って準備を進めることが大切です。

理容店・美容院の破産手続きの流れ

理容店や美容院が破産手続きを進める際の流れは、一般的な個人や法人の破産手続きと基本的に同じです。以下に、手順を解説します。

1.破産申立ての準備

経営が厳しく、破産が避けられないと判断した場合、まずは専門家(弁護士)に相談し、破産申立ての準備を進めます。店舗の資産や債務の状況を詳細に確認し、破産申立書を作成します。

2.破産申立書の提出

弁護士の指導のもと、破産申立書を作成し、裁判所に提出します。申立書に記載する内容は、債権者一覧や資産の詳細、収支の状況などです。

3.破産手続きの開始決定

裁判所が破産手続きの開始を決定します。破産管財人が選任され、資産の整理と換価が進められます。

4.財産の整理と換価

破産管財人が選任されると、店舗の資産(設備、不動産など)の換価が進行します。この際、リース設備の返却や廃業届の提出なども並行して行います。

5.免責決定

すべての手続きが完了すると、裁判所は免責決定を行い、理容店や美容院の残りの債務は免除されます。これにより、店舗は法的に清算され、債務が消滅します。

まとめ

理容店や美容院が破産を検討する際には、物件の原状回復、リース設備の引き揚げ、保証金の取り扱い、設備の換価、廃業届の提出など、注意すべきポイントが多くあります。

破産手続きは複雑であり、法律や契約に精通した専門家のサポートが不可欠です。理容店や美容院の破産に関して不安がある場合や、具体的なアドバイスを求める場合には、ぜひ一度弁護士に相談してみてください。梅田パートナーズ法律事務所は、幅広い業界の破産手続きに対応しているため、理容室・美容室においても的確なサポートが可能ですので、まずはお気軽にご相談ください。

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この記事を監修した弁護士

弁護士 西村 雄大
梅田パートナーズ法律事務所

大阪弁護士会【登録番号 49195】

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弁護士ご紹介

代表弁護士

西村 雄大

弁護士の西村 雄大と申します。これまで「弁護士」という職業は、一般的にどこか取っ付き難い職業として認知されていたのではないかと思います。
今はインターネットなどを通じて、ある程度の知識は誰でも取得できるようになりました。法律に関しても同じです。
このような時代だからこそ、弁護士に頼んでよかったと思っていただけるよう、プラスアルファの情報・一つ上のサービスを心掛けて対応します。

法人破産申立て実践マニュアル〔第2版〕

弊所代表弁護士の西村雄大が「法人破産」に関する書籍に著書(共著)として参加し出版しております。

経 歴

2010
京都大学 卒業
2012
神戸大学法科大学院 卒業
2012
司法研修所
2013
弁護士 登録
2014
中小企業診断士 登録
2014
梅田法律事務所 設立
2015
経営革新等支援機関 認定
2017
梅田パートナーズ法律事務所 改称

資格・登録等

所属団体

テレビ出演

・2024年 MBS 毎日放送様の「よんチャンTV」にて、「船井電機 突然の破産」についてコメント出演しました。

・2022年 MBS 毎日放送様の「よんチャンTV」にて、「スーパーマーケット ツジトミの倒産」についてコメント出演しました。

著書および論文名

  • ・著書(共著):法人破産申立て実践マニュアル(野村剛司 編著/青林書院)
  • ・法学セミナー平成26年10月号「倒産法の魅力と倒産法の学修」
  • ・物流業界の未来を創る雑誌「物流新時代」にて「西村弁護士の法律相談室」を連載

事務所概要

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