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親から子どもへ銀行口座は名義変更できる?生前と死後での手続きと税金の違い

2023.3.15

この記事を監修した弁護士

弁護士 西村 雄大
梅田パートナーズ法律事務所

大阪弁護士会【登録番号 49195】

親から子どもへ遺産を相続・贈与させたい場合、銀行口座の名義変更ができるのかどうか疑問に思う方は多いのではないでしょうか。結論から言えば、相続時においては親から子どもへの銀行口座の名義変更はできません。今回は、親から子どもへの銀行口座の名義変更と、生前と死後での手続きと発生する税金の違いなどについて詳しく解説します。

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相続時に親から子どもへの銀行口座の名義変更はできない

便宜上、名義変更という言葉を使用しましたが、実は相続時において親の口座の名義を変更して子どもの口座にすることはできません。親の口座を解約し、払い戻した預金を子どもの口座へ預ける形となります。

ただし、親が亡くなった時点で預金は相続人の共有財産のため、原則的に相続人全員の同意がなければ預金の引き出しはできません。なお、親の口座を解約すると、口座振替を含む入出金ができなくなるため、亡くなる前に手続きしておくことが大切です。

また、銀行に親の死亡を知らせた時点で口座が凍結され、入出金ができなくなる点にも注意しましょう。

【関連コラム:死亡してからどれぐらいで口座が凍結される?解除の条件や注意点も解説

名義変更前に現金を引き出すことは横領にあたる

親が亡くなっても、銀行に知らせなければ現金の引き落としは可能です。ただし、自身の相続分以上の預金を引き出すと、他の相続人に対する横領にあたる恐れがあります。今後の関係が悪くなったり遺産分割協議でトラブルになったりすることが懸念されるため、適切な手順で手続きしましょう。

親から子どもへの銀行口座の名義変更で発生する税金

親から子どもへの銀行口座の名義変更を行うと、贈与税か相続税が発生します。発生する税金の種類について詳しくみていきましょう。

生前に行う場合は「贈与税」

預金口座の名義変更が生前贈与として認められた場合は、贈与税が発生します。贈与税が認められる可能性があるケースは次のとおりです。

  • 贈与契約書を作成後に預金口座の名義変更をした
  • 親から子どもへ名義変更した通帳を子どもが管理していた

【関連コラム:贈与契約書の書き方は?作成の流れから記載例まで詳しく解説

名義預金と判断された場合は「相続税」

預金口座の名義人と管理者が異なる場合において管理者が亡くなると、「名義預金」と判断されて相続税が発生します。名義預金とみなされる可能性があるケースは次のとおりです。

  • 親から子どもへ名義変更し、引き続き親が口座を管理していた
  • 親が子どもへ名義変更したことを子どもが知らなかった

このように、実質的に親のお金となっている場合は名義預金と判断される可能性があります。

親から子どもへ銀行口座の名義変更で贈与とみなされる方法

親から子どもへ銀行口座の名義変更で贈与とみなされるためには、次の2点を押さえる必要があります。

  • 譲渡契約書で譲渡の事実を客観的に証明する
  • 預金通帳や届出印は子どもが管理する

譲渡契約書に、銀行口座の名義変更によって贈与した事実を記載し、客観的に証明することが重要です。また、預金通帳や届出印は、子どもが管理する必要があります。これら2点を押さえることで、名義預金ではなく贈与とみなされる可能性が高まります。

銀行口座の名義変更を生前・死後のどちらで行うかの判断基準

銀行口座の名義変更を生前・死後のどちらに行うかは、贈与額が110万円以下かどうかで判断するとよいでしょう。贈与税は年間110万円までは非課税ですが、それ以上の額になると基礎控除が3,600万円ある相続税の方が税金が安くなります。相続税は、条件を満たせば控除額がさらに増えます。

生前に銀行口座の名義変更を行う場合の手続き

親の生前に銀行口座の名義変更をする場合、子どもの銀行口座を開設してお金を移し、親の口座を必要に応じて解約することで完了します。子どもの銀行口座の開設には以下の種類が必要です。

  • 子どもの本人確認書類(顔写真付き1種類、写真無しの場合は2種類)
  • 親権者の本人確認書類(顔写真付き1種類、写真無しの場合は2種類)
  • 親権者であることを証明する書類(母子手帳や子どもの健康保険証など)
  • 届出印(銀行員)

親の死後に銀行口座の名義変更を行う場合の手続き

親の死後に銀行口座の名義変更する場合は、次の流れで相続手続きを行います。

  • 1.親の口座がある銀行に連絡する
  • 2.残高証明書を準備する
  • 3.相続手続きの用紙を受け取る
  • 4.遺産分割協議を行う
  • 5.書類の準備および提出
  • 6.親の預金の払い受け

遺言書がある場合とない場合の必要書類については以下のとおりです。

遺言書がある遺言書がない
・親の預金通帳と証書
・親の戸籍謄本
・遺言書
・預金名義の書換依頼書
・遺言執行者の印鑑証明
・相続人の印鑑証明
・遺言執行者の実印と届出印
(選任されていない場合は遺言執行者選任審判書が必要)
・親の預金通帳と証書
・親の戸籍謄本
・相続人全員の戸籍謄本
・相続人全員の印鑑証明
・遺産分割協議書
・預金の払い戻しを受ける相続人の実印と届出印

【関連コラム:遺言書の効力とは?効力の例や無効になるケースについて解説

まとめ

親から子どもへ銀行口座の名義変更の手続きは、生前・死後で異なります。
また、どちらの方が税金面にメリットがあるかの判断も必要なため、まずは信頼できる弁護士に相談することをおすすめします。

梅田パートナーズ法律事務所では、銀行口座の名義変更のサポートはもちろん、相続税対策についてもアドバイスも行うことができます。まずはお気軽にご相談ください。

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STAFF
弁護士紹介

代表弁護士
西村 雄大Takahiro Nishimura

弁護士法人梅田パートナーズ法律事務所は、確かな実績を積む30代の若い弁護士2名と事務スタッフ数名が在籍しております。
相続・事業承継のご相談は長いおつきあいとなりますため、長く見届けることのできる私たちの「若さ」も強みとなっています。

個人・企業にかかわらず、遺言、遺産分割、登記、財産調査、相続税対策、事業承継などあらゆる相続問題について最善策をご提案します。
相続に欠かせない税理士や司法書士、弁理士との提携で、それぞれの専門家とチーム体制で取り組みます。

特に財産に会社株式のあるケースや経営権が絡む相続問題を得意としており、税金対策や経営についても多角的な視点を持って、何が一番いいのかを考え、相続計画と遺言書をつくる必要があります。

事業承継、企業法務、会社法の仕組みにも精通している当事務所だからこそ、安心しておまかせいただけます。

経 歴

2010京都大学 卒業
2012神戸大学法科大学院 卒業
2012司法研修所
2013弁護士 登録
2014中小企業診断士 登録
2014梅田法律事務所 設立
2015経営革新等支援機関 認定
2016梅田パートナーズ法律事務所 改称

事務所概要

所属弁護士会大阪弁護士会【登録番号 49195】
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所属団体大阪中小企業診断士協会
日本中小企業診断士協会
全国倒産処理弁護士ネットワーク
大阪青年会議所
著書および論文名・著書(共著):法人破産申立て実践マニュアル(野村剛司 編著/青林書院)
・法学セミナー平成26年10月号「倒産法の魅力と倒産法の学修」
・物流業界の未来を創る雑誌「物流新時代」にて「西村弁護士の法律相談室」を連載

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