第二会社方式とは?メリット・デメリット・スキームについて解説

2023.9.4

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企業が債務超過に陥ったものの、優良事業が存在する場合には、第二会社方式を選択する余地があります。スキームには会社分割と事業譲渡があり、状況に応じて選択することが重要です。

本記事では、第二会社方式の特徴やメリット・デメリット、スキームについて詳しく解説します。

この記事をわかりやすく解説
  • 第二会社方式とは会社分割や事業譲渡によって残った会社の法人格を消滅させる方法
  • 第二会社方式のメリットは事業再生できる可能性が高く税負担が少ないため協力を得やすい
  • 第二会社方式のデメリットは許認可を取得できない可能性がありコストがかかる
  • スキームによってメリット・デメリットがあり十分に見極めたうえで実行することが大切

第二会社方式とは

第二会社方式とは、債務超過の企業のうち、事業継続が可能な見込みのある事業を会社分割や事業譲渡によって別の法人格の会社へ切り離し、残った会社の法人格を消滅させる方法のことです。

第二会社方式のメリット

第二会社方式には、次のメリットがあります。

事業再生できる可能性が高い

事業継続が可能な見込みのある事業だけを切り離して法人格を作るため、事業再生できる可能性が高いと言えます。また、不採算部門の過剰な債務を引き継がずに済むため、債務を原因として経営資源が不足することもありません。

経営資源の適切な投入によって競争力を高めることで、事業再生を実現できるでしょう。第二会社方式は、経営最適化と事業再生を同時に達成するための戦略的な手法として、債務超過の企業にとって有益な選択肢です。

税負担が少ない

通常、債務免除を行った場合は免除益を計上し、これに伴って法人税が発生する可能性があります。同時に、債権者も放棄した債権が寄付金扱いとなり、損金に算入できません。

タックスプランニングを行ったうえで第二会社方式を選択する場合、既存の法人を特別清算することで、債務免除益をはじめとする税負担を減らすことが可能です。

協定型の清算手続を債権者と合意した場合は債権額を損金に算入できるため、債権者との交渉も円滑に進めやすくなります。

スポンサーからの協力を得やすい

第二会社方式では優良事業のみが引き継がれ、不採算部門による偶発債務や簿外債務は放棄できます。

さらに、税務上の優遇措置を受けられるため、スポンサーにとっても魅力的な選択肢となることで協力を得やすくなります。

第二会社方式のデメリット

第二会社方式は、リスクが小さい手法であるものの次のようなデメリットもあるため慎重な判断が求められます。

許認可を取得できない可能性がある

第二会社方式では、許認可が自動的に承継されません。許認可の承継が必要な場合でも、新たに取得することになります。

許認可を取得できる条件によっては、取得に時間がかかったり取得が認められなかったりすることも考えられます。

そのため、第二会社方式を検討する際には、許認可を取得できるかどうかやコストについて事前に確認しておくことが重要です。

会社設立や登記関連にコストがかかる

新会社に不動産などの資産を移転する場合、その資産の取得が新規のものとして扱われ、不動産取得税をはじめとする税金が発生します。

不動産取得税は、不動産の譲渡に際して課せられる税金であり、移転する不動産の評価額に応じて支払う必要があります。

この税金は取引の規模や不動産の評価額によって異なるため、計画段階でしっかりと把握しておくことが重要です。

また、新しい会社を設立する際には、登録免許税や収入印紙代など、登記に関連するさまざまなコストが発生します。登録免許税は会社設立や登記手続きに伴って支払う税金であり、会社の資本金や登録内容に応じて額が変動します。

収入印紙代は各種契約書や文書に貼る印紙代金であり、取引の性質や契約内容に応じて支払う必要があります。

信用情報はリセットされない

融資を新たに受けたい場合、旧会社の信用情報が引き継がれてしまいます。債務超過に陥った企業の扱いになるため、同じ金融機関から追加融資を受けることは難しいでしょう。このような事態を想定し、事前にスポンサーを見つけておく必要があります。

第二会社方式で用いるスキーム

第二会社方式で用いるスキームは、「会社分割」と「事業譲渡」です。それぞれの特徴について詳しく見ていきましょう。

会社分割

第二会社方式における会社分割は、旧会社から新会社に優良な事業を包括的に引き継ぐ方法です。包括的に引き継ぎが行われ、個別の契約や取引の移行手続きが不要です。

これにより、煩雑な交渉や契約書の調整が省略され、手続きが迅速に進みます。

また、新会社への資産引き継ぎが消費税の対象外、さらには会社分割に伴う登記手続きにおいて、登録免許税の軽減措置が適用されるため、税負担を軽減できます。

しかし、優良な事業だけではなく、不要な資産や負債、簿外債務も引き継がれる可能性がある点に注意が必要です。

事業譲渡

第二会社方式における事業譲渡は、旧会社から新会社に特定の資産や契約を引き継がせる方法です。債権や債務、資産、契約などを個別に新会社に移行させるため、不要な負債を新会社に持ち込んでしまうリスクが軽減します。

一方、事業譲渡は売買と見なされ、消費税が課されることがあります。さらに、登録免許税や不動産取得税の軽減措置も適用されません。

まとめ

第二会社方式の採用により、新会社に優良事業のみ引き継いで再スタートができます。スキームによってメリット・デメリットがあるため、十分に見極めたうえで実行することが大切です。

梅田パートナーズ法律事務所では、弁護士・中小企業診断士両方の資格に基づいて、あたなにとってベストな方法を提案します。
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この記事を監修した弁護士

弁護士 西村 雄大
梅田パートナーズ法律事務所

大阪弁護士会【登録番号 49195】

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弁護士ご紹介

代表弁護士

西村 雄大

弁護士の西村 雄大と申します。これまで「弁護士」という職業は、一般的にどこか取っ付き難い職業として認知されていたのではないかと思います。
今はインターネットなどを通じて、ある程度の知識は誰でも取得できるようになりました。法律に関しても同じです。
このような時代だからこそ、弁護士に頼んでよかったと思っていただけるよう、プラスアルファの情報・一つ上のサービスを心掛けて対応します。

法人破産申立て実践マニュアル〔第2版〕

弊所代表弁護士の西村雄大が「法人破産」に関する書籍に著書(共著)として参加し出版しております。

経 歴

2010
京都大学 卒業
2012
神戸大学法科大学院 卒業
2012
司法研修所
2013
弁護士 登録
2014
中小企業診断士 登録
2014
梅田法律事務所 設立
2015
経営革新等支援機関 認定
2017
梅田パートナーズ法律事務所 改称

資格・登録等

所属団体

テレビ出演

・2024年 MBS 毎日放送様の「よんチャンTV」にて、「船井電機 突然の破産」についてコメント出演しました。

・2022年 MBS 毎日放送様の「よんチャンTV」にて、「スーパーマーケット ツジトミの倒産」についてコメント出演しました。

著書および論文名

  • ・著書(共著):法人破産申立て実践マニュアル(野村剛司 編著/青林書院)
  • ・法学セミナー平成26年10月号「倒産法の魅力と倒産法の学修」
  • ・物流業界の未来を創る雑誌「物流新時代」にて「西村弁護士の法律相談室」を連載

事務所概要

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