特別清算のメリット・デメリットは?破産と特別清算のどちらを選ぶべき?

2020.8.8

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債務超過になったとき、破産を検討する会社が多いのではないでしょうか。実は、他にも「特別清算」という方法を選べるケースがあります。特別清算と破産のどちらを選ぶかは、会社や債務の状況によって異なります。まずは、特別清算のメリットとデメリットを把握しましょう。ここでは、特別清算の概要からメリット・デメリット、破産と特別清算の選び方について詳しくご紹介します。

特別清算とは

特別清算は、「法的整理」のうち「清算型」に属する手続きです。会社が債務超過になった場合は、「私的整理」と「法的整理」のいずれかで問題を解決できる可能性があります。私的整理は、裁判所を介さずに債権者と直接交渉をして債務の減額や返済期間の延長などをお願いするものです。

対して法的整理は、裁判所を介して手続きを行う方法です。法的整理は、「清算型」と再建型」に分類されます。

清算型(手続きによって会社が消滅する)・・・特別清算、破産
再建型(会社を存続させつつ借金の問題を解決)・・・民事再生、会社更生

つまり、特別清算の手続きによって借金問題が解決されるとともに会社が消滅します。

特別清算のメリット

それでは、特別清算のメリットについて、破産と比較しつつ解説します。

印象がそれほど悪くない

特別清算と破産は、どちらも会社が消滅する清算型の手続きですが、破産よりも特別清算の方がネガティブな印象を与えずに済みます。親会社が子会社や関連会社を清算する場合に特別清算を選ぶことで、親会社に対するネガティブな印象を抑えられるでしょう。

手続き完了が早い

特別清算の手続きは、6ヵ月以内に終わるケースがほとんどです。平成 30年度の司法統計によると、約7割が6ヵ月以内に特別清算の手続きを完了しています。全体の約3割は1年以上かかっていますが、2年を超えることは非常に稀です。

対して破産手続きは、6ヵ月以上かかるケースが多くみられます。原因は、破産手続きが特別清算の手続きと比べて複雑なためです。

参考:裁判所『第89表 商事非訟未済事件(特別清算)数―審理期間別―全地方裁判所』

自社で選定した弁護士に手続きの依頼が可能

特別清算では、自社が選定した弁護士に手続きを依頼できます。破産手続きでは、裁判所が選出する弁護士が破産管財人として本件に関わります。破産管財人の役割は、会社の資産調査や売却、資産を債権者への配当などです。つまり、会社の内部事情を部外者に知られることになります。

特別清算であれば、信頼できる弁護士を選定できるため、外部に情報が漏えいする心配が少ないでしょう。

特別 清算のデメリット

特別清算を行うには、いくつかの条件をクリアする必要があります。条件をクリアする必要があることは、一種のデメリットとも言えるでしょう。特別清算のデメリットについて詳しくご紹介します。

一定数以上の債権者の同意が必要

特別清算の完了には、次の条件を両方とも満たす必要があります。

・債権者の過半数の同意
・総債権額の3分の2以上の同意

例えば、債権者が20社、債権額が6,000万円の場合は、「同意した会社が10社以上かつ同意した会社の債権額が合計4,000万円以上」でなければ特別清算手続きは行えません。

同意を得られない場合は必然的に破産手続きを選ぶことになります。結果的に二度手間になるリスクがあることが特別清算のデメリットと言えるでしょう。

債権の一部を弁済できる必要がある

会社の資産から社会保険料や税金、労働債権などを支払っても、未払いの債権の一部を弁済できる余力が必要です。余力が全くなくなる場合は、特別清算手続きはできません。

債権額で意見が対立していると利用できない

会社と債権者の間で、債権額における意見の対立がある場合は、特別清算の手続きができません。破産手続きであれば、債権額の意見が対立していても行えます。

株式会社以外は利用できない

特別清算手続きを行えるのは、株式会社のみです。合同会社や学校法人など、その他の法人は、清算型の法的整理を行うのであれば破産手続きを選ぶことになります。

連帯保証をしている社長の債務整理が必要

社長が連帯保証人になっている場合は、特別清算手続きによって社長が会社の借金を返済することになります。そのため、特別清算のときは、社長本人の債務整理手続きが必要です。

破産手続きの場合も同様に社長の債務整理が必要ですが、特別清算の場合と比べて費用面や手間の面でメリットがあります。破産手続きの場合は、「社長の債務整理」と「会社の破産手続き」を同時に進めることが可能です。

まとめ

特別清算と破産のどちらを選ぶべきかは、会社の状況やどれだけの債権者の同意を得られるかで異なります。「梅田パートナーズ法律事務所」では、会社が最良の選択ができるように、具体的なアドバイスをしております。気持ちに寄り添った丁寧な対応を心がけておりますので、お気軽にご相談ください。

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この記事を監修した弁護士

弁護士 西村 雄大
梅田パートナーズ法律事務所

大阪弁護士会【登録番号 49195】

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代表弁護士

西村 雄大

弁護士の西村 雄大と申します。これまで「弁護士」という職業は、一般的にどこか取っ付き難い職業として認知されていたのではないかと思います。
今はインターネットなどを通じて、ある程度の知識は誰でも取得できるようになりました。法律に関しても同じです。
このような時代だからこそ、弁護士に頼んでよかったと思っていただけるよう、プラスアルファの情報・一つ上のサービスを心掛けて対応します。

法人破産申立て実践マニュアル〔第2版〕

弊所代表弁護士の西村雄大が「法人破産」に関する書籍に著書(共著)として参加し出版しております。

経 歴

2010
京都大学 卒業
2012
神戸大学法科大学院 卒業
2012
司法研修所
2013
弁護士 登録
2014
中小企業診断士 登録
2014
梅田法律事務所 設立
2015
経営革新等支援機関 認定
2017
梅田パートナーズ法律事務所 改称

資格・登録等

所属団体

テレビ出演

・2024年 MBS 毎日放送様の「よんチャンTV」にて、「船井電機 突然の破産」についてコメント出演しました。

・2022年 MBS 毎日放送様の「よんチャンTV」にて、「スーパーマーケット ツジトミの倒産」についてコメント出演しました。

著書および論文名

  • ・著書(共著):法人破産申立て実践マニュアル(野村剛司 編著/青林書院)
  • ・法学セミナー平成26年10月号「倒産法の魅力と倒産法の学修」
  • ・物流業界の未来を創る雑誌「物流新時代」にて「西村弁護士の法律相談室」を連載

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