営業権譲渡(営業譲渡)による資金調達とは?メリット・デメリットも解説
営業権譲渡によって資金調達できることをご存じでしょうか。営業権譲渡とは、企業の無形財産の1つで、製造技術や取引関係、社会的信用といった営業権を第三者に譲渡することです。譲渡する際は譲渡益を受け取れるため、資金調達方法として使用できます。ここでは、営業権譲渡による資金調達について、特徴やメリット・デメリットなどを解説します。
営業権譲渡とは
営業権譲渡とは、会社の全ての事業、または一部の事業を譲渡することです。営業権譲渡と事業譲渡は同じものであり、一般的には事業譲渡と呼ばれています。
営業権譲渡で得られる利益の計算方法
営業権譲渡で得られる利益は、正常利益の2~5年分で計算することが一般的です。事業の安定性が高い場合は長く、安定性が低い場合は短く設定されます。正常利益とは、経常利益から役員報酬や地代家賃、生命保険の掛け金などを調整し、算出する利益のことです。
営業権譲渡(営業譲渡)で資金調達するメリット
営業権譲渡で資金調達することには、どのようなメリットがあるのか詳しく見ていきましょう。
一部の事業のみ売却できる
複数の事業を行っている場合、そのうち1つの事業のみ譲渡して利益を得ることができます。メイン事業はそのままで、サブ事業を売却することで、利益を得られるだけではな経費も削減できるでしょう。
ただし、利益が出ていない事業よりも出ている事業の方が買い手がつきやすいです。しかしながら、不採算事業であっても買い手がつく可能性があります。例えば、自社にとっては不採算事業でも、買い手にとってはシナジー効果によって黒字化が期待できるケースがあるのです。特定の地域に強いコネクションを持つ場合、その地域に進出したい企業にとっては譲受するメリットがあります。
債権者への通知や同意が不要
事業譲渡が事業の全て、または一部を譲渡する手法であるのに対し、株式譲渡は会社の経営権を譲渡する手法です。株式譲渡をした場合、会社の経営者や経営方針が変わるため、会社の成長性や安定性、収益性なども変動します。そうなれば、債権者が損失を受ける可能性があるのです。
このような自体を防ぐために、債権者保護手続きが用意されており、一定期間ないであれば異議を唱えることができます。一方、事業譲渡では債権者保護手続きが設けられていません。債権者への通知や同意が不要なため、スムーズに譲渡できます。
営業権譲渡(営業譲渡)で資金調達するデメリット
営業権譲渡(営業譲渡)で資金調達することには、次のようなデメリットがあります。
譲渡事業と同じ事業を行えなくなる
事業譲渡すると、同一の市町村の区域内、また隣接する市町村の区域内において、今後20年間は同一の事業を行えません。また、事業譲渡契約の際は、エリアを問わず同一事業を行えない競業避止義務条項を締結することが一般的です。
従業員が退職するリスクがある
事業譲渡の際は、その事業を現場で行っている従業員も譲渡することがあります。従業員を譲渡しない場合、事業を適切に運用できず、予定していた利益を得られなくなるでしょう。この場合、従業員に事業譲渡の理由や買い手の情報などを伝える必要があります。
しかし、どれだけ丁寧に説明しても納得してもらえず、退職されるケースも少なくありません。
取引先への説明が必要
事業譲渡すると、その事業における取引先に対する説明が必要になります。事業譲渡を機に契約解除される可能性も否定できません。そのような自体を防ぐためにも、取引先には十分な説明が必要です。
契約や登記・許認可などの取得し直しが必要
株式譲渡の場合、会社の契約や登記、許認可などはそのまま譲渡できます。一方、事業譲渡の場合は、それぞれを買い手に移行しなければなりません。移行手続きのサポートが必要なうえに、そもそも移行できない可能性もあります。
移行といっても、買い手企業がその許認可や契約などができることが前提です。条件を満たしていない場合は移行できません。
資金調達に時間がかかる
事業譲渡は、数ヶ月~1年程度はかかります。それだけ資金調達に時間がかかるため、その間に会社の状況が悪化する可能性もあるでしょう。なるべく早く資金調達したい場合は、他の方法と組み合わせることをおすすめします。
まとめ
営業権を譲渡することで、譲渡益を得られます。営業権譲渡で資金調達する場合、譲渡益を得られるまでに時間がかかるため、保険契約の解約やリースバックなど、さまざまな方法を組み合わせて資金調達しましょう。また、債務整理で少しでも借り入れの負担を減らすことも大切です。債務整理を検討している方、資金調達にお悩みの方は梅田パートナーズ法律事務所までご相談ください。
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