事業承継とは?メリットから流れ・発生する税金について解説
後継者不足やプレッシャーからの解放、健康上の問題など、事業承継を選択する理由はさまざまです。事業承継には、親族内承継とM&Aによる第三者への承継があります。ここでは、事業承継を検討している方に向けて、そのメリットや流れ、かかる費用などについて詳しくご紹介します。
事業承継とは
事業承継とは、事業のブランドや人材、財産などを引き継ぐことです。中小企業では、後継者の選定に加え、相続や個人保証の解除など、超えるべき課題がたくさんあります。また、自社の理念やノウハウを引き継ぎ、会社を盛り立てて行ける人物を身長に選定しなければ成りません。
事業承継のメリット
事業承継のメリットは、経営者が経営のプレッシャーから解放され、悠々自適の隠居生活や第二の人生へと移れることです。また、健康上の問題により、いつ経営ができなくなるかわからない状況においては、事業承継を行うことで安心して養生できるようになります。
第三者に事業承継する場合、譲渡価額に基づいた代金を受け取ることができます。一方、親族内承継の場合、今後のことを考慮して、多額のお金を受け取らないケースもあります。
事業承継の流れ
事業承継は、すぐに実行できるものではありません。次のように各ステップを着実に踏むことで、事業承継の成功率を高められます。
1. 経営状況の把握と後継者の選定
経営状況の把握は、事業承継において欠かせないポイントの1つです。商品力や人材のスキルなどを正確に把握することで、自社の強みと弱みがわかります。弱みを補い、強みを伸ばすことで事業価値が高まり、M&Aでより高い譲渡価額を算定できたり、後継者の負担を抑えたりできます。
具体的には、自社株の評価や収益性が高い商品・サービスの把握、競争優位性の把握などが必要です。また、後継者候補の有無も確認しましょう。能力や適性、年齢、モチベーションなどを総合的に考慮し、自社を末永く維持・成長させられる人物を複数人挙げます。
後継者は、ある日いきなり経営者になることはできません。数年から10年ほどかけて経営者として相応しい人物に育成する必要があります。つまり、事業承継は数年から10年ほど前から検討した方がよいのです。
2. 企業価値を向上させる
より多くの買い手候補を見つける、後継者への負担を抑えるためには、企業価値を向上させる必要があります。競争力の強化を目的に技術力の向上や新たなノウハウの習得、経営資源を用いた市場シェアの拡大などを行います。
また、不良在庫の処分、借入金の返済などで財務状況を改善しましょう。必要に応じて債務整理を行い、事業の立て直しを図ります。
3. 事業承継計画の策定
事業承継計画とは、事業承継の時期や対象者、承継するもの、承継の方法などの計画です。後継者と共同で作製し、お互いの認識に齟齬がないようにします。M&Aでは、事業承継計画の策定ではなく、買い手とのマッチングを目指します。
仲介会社のサポートを受けることで、自社に興味のある買い手候補とマッチングできます。お互いの情報を開示し、トップ面談を経てM&Aを実行するかどうかを判断する流れです。
事業承継にかかる費用
M&Aの場合は仲介手数料がかかりますが、親族内承継ではかかりません。主な支出は相続税や贈与税などです。事業承継にかかる費用について、親族内承継とM&Aにわけて解説します。
親族内承継の場合
親族内承継では、相続か贈与で自社株を引き継ぎます。相続税の計算方法は次のとおりです。
(1)正味課税遺産額(遺産総額−非課税財産等−債務等)を算出
(2)合計課税価格(正味課税遺産額+相続時精算課税の対象となる贈与財産+相続開始から3年以内の贈与財産)
(3)合計課税価格総額-基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)で課税遺産総額を算出
(4)課税遺産総額を法定相続分で按分する
(5)課税遺産額×相続税率で相続税を算出する
贈与税の課税方式には、「暦年課税」と「相続時精算課税」があります。暦年課税は、1月1日~12月31日までに受けた贈与総額から基礎控除110万円を差し引き、それに贈与税率を乗じて算出します。
相続時精算課税は、60歳以上の父母あるいは祖父母から、20歳以上の子供または孫に贈与する際に選択できます。累積2,500万円までの贈与が非課税となります。2,500万円を超えた分に対しては一律20%の贈与税がかかります。
M&Aの場合
M&Aの場合、個人と法人で発生する税金が異なります。個人の場合は、譲渡所得に対して15.315%の所得税と5%の住民税を足した合計20.315%の税金がかかります。譲渡所得は、株式の売却額から株式の取得にかかった費用と譲渡にかかった費用を差し引いたものです。法人の場合は、譲渡益に対して法人税が課税されます。
まとめ
事業承継の成功には、自社の状況を把握し、適性やスキルのある後継者を選定する必要があります。M&Aの際は、自社に興味を持つ買い手候補を紹介する仲介会社や専門家のサポートが必要です。梅田パートナーズ法律事務所では、事業承継や相続のサポートをしておりますので、どうぞお気軽にご相談ください。
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