病院・クリニックの閉院・廃業手続きの流れと注意点

2021.12.17

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病院・クリニックの閉院・廃業を検討する際は、その流れをチェックしておくことが大切です。諸手続きを踏み、適切な形式で閉院・廃業する必要があります。また、閉院・廃業後にも義務が継続する内容に関しても確認が必要です。ここでは、病院・クリニックの閉院・廃業手続きの流れや注意点などについて詳しくご紹介します。

医療法人の閉院・廃業の流れ

医療法人は、医療法55条で定められている廃業の事由である「定款に定めた解散事由の発生」や「社員の欠乏」などに該当する場合に廃業します。場合によっては解散認可申請や解散届を提出する必要があります。それぞれ添付文書が異なり、手続きが若干複雑なため、専門家のサポートを受けた方がよいでしょう。

解散認可申請や解散届などを提出した後の手続きの流れは次のとおりです。

  • 1.解散の登記と清算人就任の登記
  • 2.清算手続き
  • 3.廃業した旨を官報で公告
  • 4.清算終了後の清算決了の登記

上記のほか、スタッフの解雇手続きや給与の支払い、患者の転院手続きなど、さまざまな対応を行います。医療法人の閉院・廃業は、個人病院・クリニックよりも複雑なため、専門家のサポートを受けた方がよいでしょう。手続きの方法を間違えたり期限までに申請できなくなったりすると、罰則を受ける可能性があります。

個人病院・クリニックの閉院手続きの流れ

個人病院・クリニックの閉院時は、必要書類の提出、スタッフや患者への対応などが必要です。それでは、個人病院・クリニックの閉院手続きの流れを詳しく見ていきましょう。

1.閉院準備

閉院のスケジュールを立案します。また、スタッフや患者への対応の内容や期日を決めましょう。

2.各種申請・必要書類の提出

個人病院を閉院する際は、管轄の保健所にその旨を伝えます。保健所に診療所廃止届や保健医療機関廃止届を提出するほか、病院業務に関連する各種届出も必要です。例えば、自治体には麻薬施用者業務廃止届を提出します。自治体によって申請内容が異なる場合もあるため、事前に確認が必要です。

これら必要書類をすべてそろえ、閉院・廃業手続きをしながらスタッフや患者への対応をするのは大変でしょう。また、申請が漏れてしまうリスクもあります。そのため、個人病院・クリニックの閉院・廃業時も専門家のサポートを受けることが大切です。

病院・クリニックの閉院・廃業時に必要な手続きの一例をご紹介します。

名称 申請先 期限
保険所 ・診療所廃止届
・エックス線廃止届 廃止から10日以内
地方厚生局 保健医療機関廃止届 遅滞なく
自治体 麻薬施用者業務廃止届 15日以内
福祉事務所 生活保護法指定医療機関廃止届 遅滞なく
医師会 退会届 遅滞なく
自治体の税事務所 個人事業廃止届 遅滞なく
年金事務所 ・適用事業所全喪届
・被保険者資格喪失届 5日以内
労働基準監督署 確定保険料申告書 50日以内

3.スタッフや患者への対応

クリニックや病院のスタッフや患者への対応も必要です。スタッフには閉院の旨を伝え、給与や退職金の支払い、社会保険の手続きなどを進めます。患者には転院や紹介の手続きなどを行います。これらの対応は、閉院・廃業の手続きと並行して行うか、優先的に行いましょう。これまで一緒に病院・クリニックを支えてきた従業員の負担を少しでも減らせるよう配慮することが大切です。

病院・クリニックの閉院後の注意点

病院・クリニックの閉院後も次の義務は残ります。法律違反を犯さないよう、確実に対応しましょう。

カルテを5年間保管する

カルテは5年間の保管が義務付けられています。これは、閉院・廃業後も同様です。また、レントゲン撮影やCT撮影の診療記録も5年間は保管しなければなりません。なお、病院・クリニックによっては10年間保管します。これは、患者が病院・クリニックに対する医療過誤による損害賠償請求ができる期間が10年間のためです。

レントゲン撮影のデータを3年間保管する

レントゲン撮影のデータは3年間の保管が必要です。カルテと同じく、患者から損害賠償請求をされたときのために、長期間保管するケースがあります。診療内容や訴訟リスクなどを踏まえ、保管期間を決めましょう。

また、保管期間を過ぎて処分することになったカルテやレントゲン撮影のデータは、信頼できる廃棄物処理業者に処分を依頼することが重要です。カルテ、レントゲン撮影のデータはいずれも患者の重大な個人情報のため、処理方法を誤ると大きな事故に繋がりかねません。

まとめ

病院・クリニックの閉院・廃業の手続きは複雑なため、専門家のサポートを受けることが大切です。また、カルテやレントゲン撮影のデータなどは、法律に従って適切に保管しましょう。病院やクリニックの閉院・廃業の手続きのサポートは、梅田パートナーズ法律事務所までご相談ください。現状の状況や病院・クリニックの診療内容などを踏まえ、必要な手続きの案内・代行をいたします。

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この記事を監修した弁護士

弁護士 西村 雄大
梅田パートナーズ法律事務所

大阪弁護士会【登録番号 49195】

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代表弁護士

西村 雄大

弁護士の西村 雄大と申します。これまで「弁護士」という職業は、一般的にどこか取っ付き難い職業として認知されていたのではないかと思います。
今はインターネットなどを通じて、ある程度の知識は誰でも取得できるようになりました。法律に関しても同じです。
このような時代だからこそ、弁護士に頼んでよかったと思っていただけるよう、プラスアルファの情報・一つ上のサービスを心掛けて対応します。

法人破産申立て実践マニュアル〔第2版〕

弊所代表弁護士の西村雄大が「法人破産」に関する書籍に著書(共著)として参加し出版しております。

経 歴

2010
京都大学 卒業
2012
神戸大学法科大学院 卒業
2012
司法研修所
2013
弁護士 登録
2014
中小企業診断士 登録
2014
梅田法律事務所 設立
2015
経営革新等支援機関 認定
2017
梅田パートナーズ法律事務所 改称

資格・登録等

所属団体

テレビ出演

・2024年 MBS 毎日放送様の「よんチャンTV」にて、「船井電機 突然の破産」についてコメント出演しました。

・2022年 MBS 毎日放送様の「よんチャンTV」にて、「スーパーマーケット ツジトミの倒産」についてコメント出演しました。

著書および論文名

  • ・著書(共著):法人破産申立て実践マニュアル(野村剛司 編著/青林書院)
  • ・法学セミナー平成26年10月号「倒産法の魅力と倒産法の学修」
  • ・物流業界の未来を創る雑誌「物流新時代」にて「西村弁護士の法律相談室」を連載

事務所概要

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