自営業者の自己破産手続きにおける注意点は?知っておきたいポイントを解説
自己破産手続きと言えば、会社員が行うイメージがある方は多いのではないでしょうか。実は、自営業者でも自己破産は可能です。ただし、会社員と比べて自己破産による影響が大きくなりやすい点に注意が必要でしょう。ここでは、自営業者の自己破産手続きにおける注意点について詳しくご紹介します。
自営業者が自己破産する理由とは
自営業者が自己破産する理由は、会社員と同じく多額の借金を抱えたことです。任意整理のような他の債務整理では立て直しが難しい場合に、自己破産を選択します。自営業者は、事業の先行きを見通しつつ、時代やトレンドに合った事業展開をしなければなりません。このような状況を何十年も続け、生涯にわたり自営業者で生計を立てられる人は、それほど多くはいないのです。
事業に失敗して多額の借金を抱えた場合、会社員になることを検討する方は多いのではないでしょうか。しかし、多額の借金を抱えたままでは、人生の立て直しの難易度が大きく上昇します。そのため、自己破産で債務を免責してもらうことを検討することが大切です。
自営業者が自己破産する際の注意点
自営業者が自己破産する際は、次の注意点を押さえましょう。
売掛金の扱いと例外
自己破産すると、不動産や車、預貯金、売掛金、賃金などは換価と配当の対象になります。ただし、一定の財産は残すことが可能です。これを自由財産といい、自己破産手続きをする裁判所によって残せる価額が異なります。例えば、東京地方裁判所では価値が20万円未満の財産(現金は33万円未満)が自由財産です。
ここで注意したいのが複数の取引先に対して売掛金を持っているパターンです。売掛金は、20万円を超えた分が自由財産になりません。売掛金を頼りに自己破産手続きをしたところ、手元に予想以上に財産が残らず、後悔することになる可能性があります。
ただし、売掛金が実質的に賃金の場合は例外です。例えば、企業と業務委託契約を締結して仕事をしており、なおかつ会社員のような勤務形態で働いている場合は、会社に対する債権は売掛金であるものの、実質的な賃金として扱われます。
この場合、売掛金は4分の3が自由財産、残り4分の1が換価と配当の対象です。
また、「自由財産の拡張」という制度を利用した場合も、売掛金が自由財産として扱われます。ただし、自由財産として認めてもらうには、一定の基準を満たす必要があるため、必ずしも手元に残せるとは限りません。
職業制限がかかる
自己破産の手続き中は、下記に職業に就くことができなくなります。
- 弁護士、弁理士、司法書士、税理士、行政書士などの士業
- 質屋
- 建設売業を営む者
- 貸金業者
- 警備員
- 卸売業者
- 旅行業者
- 生命保険募集人
自営業で上記の仕事をしている方は、手続き中は仕事ができなくなります。他の仕事を探すか、別の方法を選ぶしかありません。自己破産手続きが終了するまでの間の収入源の確保は必須でしょう。また、仕事をしていない期間が空くことで、重要な取引先との関係が切れてしまう場合は、自己破産以外の方法を模索した方がよいかもしれません。
自営業の継続が難しくなる
職業制限を受けない自営業であっても、破産後は自由財産を除く財産が換価の対象となります。そのため、自営業の継続に必要な物品を手元に残すことができなくなり、結果的に自営業の継続を断念せざるを得なくなる可能性があります。例えば、高額な大型トラックを使用する運送業の場合、そのトラックが換価の対象となれば、事業継続はできなくなるでしょう。
新たにトラックを購入するにしても、収入が安定するまでは購入が難しいです。このように、自営業の継続が難しくなる可能性があることを踏まえ、自己破産をするかどうか検討しましょう。
ブラックリストに載る
債務整理をすると、自己破産をした履歴が信用情報機関に登録されます。これを「ブラックリストに載る」といい、5~10年は記録が残ります。クレジットカードやローンの審査では、業者が信用情報機関に問い合わせるため、過去に自己破産をしていたことが知られてしまいます。その結果、貸し倒れのリスクが高いと判断され、審査に落ちてしまうのです。
つまり、自己破産後しばらくはクレジットカードを作ったり住宅ローンを組んだりできなくなります。
まとめ
自営業者が自己破産手続きをする際は、20万円以上の売掛金が換価の対象になる点や、自己破産手続き中は特定の職業に就くことができなくなる点など、さまざまな注意点があります。自営業を営んでおり、自己破産を検討している方は梅田パートナーズ法律事務所までお気軽にご相談ください。
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