受任通知を出すと取り立てが止まるって本当?デメリットはある?

2021.7.5

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債務整理の際に弁護士が債権者に対して受任通知を出すと、取り立てが止まると聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。本当に取り立ては止まるのか、何かデメリットはないのか気になる方もいるでしょう。そこで今回は、受任通知の法的効力やメリット・デメリットについて詳しくご紹介します。

受任通知とは

受任通知とは、債務整理における債務者の代理人として依頼を受けた弁護士や司法書士が債務整理を行う旨を債権者に伝えることです。債務整理には、任意整理と個人再生、自己破産がありますが、いずれの依頼を受けた際にも受任通知を出します。

受任通知の法的効力

受任通知では、債務者への取り立てだけではなく直接の連絡をストップするよう要求します。また、返済を停止する旨を伝えると共に、取引履歴を開示するよう要請します。受任通知は、貸金業法第21条第1項第9号において「債務者等が弁護士等に債務整理を委託し、弁護士等から書面でその旨の通知があった場合には債務者等に対して訪問や電話で債務の弁済を要求してはならない」と定められており、法的効力を持ちます。

債権者が違反した際の罰則は、2年以下の懲役または300万円以下の罰金です。もし、受任通知が債権者の元へ届く前に取り立てがあっても、返済の必要はありません。弁護士や司法書士に本当に依頼したのか疑われた際は、依頼先の屋号や代理人名、連絡先を伝えましょう。

口座引き落としで返済している場合は、口座からお金を引き出しておく必要があります。なお、受任通知では強制執行による給与や年金などの差し押さえを防ぐことはできません。また、受任通知の効力があるのは貸金業者や債権回収会社のみです。知人や取引先などの債権者には効力がないので、これまで通りに取り立てが行われる可能性があります。

しかしながら、受任通知が届くと、貸金業者や債権回収会社以外の債権者も取り立てを停止することがほとんどです。

受任通知への記載事項

受任通知には、次の内容を記載します。

・弁護士や司法書士が受任した旨
・代理人として債務者の債務整理手続きを行う旨
・債務者への取り立ては行わず必ず代理人と交渉する旨
・取引履歴の開示を請求する旨
・受任通知は債務を承認するものではないので時効中断事由に該当しない旨

受任通知はいつ出すのか

受任通知を出すタイミングは、代理人と十分に相談して決めることが大切です。銀行口座からお金を引き出しておく、口座引き落としの生活費などは支払い方法を変更する、保証人に債務整理を行う旨を伝える、携帯電話のような使用し続けるために分割払いの完済が必要なものは完済しておくなど、受任通知の前に行うべきことがあります。

受任通知を出すメリット

受任通知を出すメリットは、取り立てがストップすることで精神的な負担が軽くなる場合があることです。また、債務整理によって生活の立て直しを図れる実感を得られる方もいるでしょう。

受任通知を出すデメリット

受任通知はメリットが大きい一方で、次のようなデメリットもあります。

口座を凍結されるケースが多い

受任通知を受け取った金融機関は、口座を即座に凍結することがほとんどです。預金と借入金が相殺され、債務整理のメリットを十分に得られなくなるため、口座の残高は必ずゼロにしておきましょう。

借入先の金融機関で給与受取口座を開設している場合は、収入が絶たれてしまうので、事前に口座を変更しておくことが大切です。なお、任意整理では債権者を選ぶことができるので、凍結を避けたい口座の金融機関を債務整理の対象外にすれば、凍結を免れられます。

保証人が請求を受ける可能性が高い

債権者が受任通知を受け取った際は、保証人に返済を求める可能性が高いでしょう。任意整理であれば、保証人がいる債務を債務整理の対象外とすることで、保証人に請求が行く事態を防げます。保証人がいる債務を整理対象とする場合は、事前に保証人に伝えておきましょう。

金融事故の履歴が残る

金融機関が受任通知を受け取ると、信用情報機関に金融事故の情報が登録されます。いわゆるブラックリストに載った状態であり、約5~10年は新たに借り入れできません。

携帯電話を使えなくなる恐れがある

信用情報機関に金融事故の情報が登録されると、携帯電話の分割払いができなくなります。また、携帯電話の分割払いのみ一括返済するのも1つの手段ですが、個人再生や自己破産においては一部の債権者への優先的な返済は禁じられています。

まとめ

債権者が受任通知を受け取ると、取り立てが止まるケースがほとんどです。口座が凍結されたり保証人が請求を受けたりすることを認識した上で、債務整理を行いましょう。梅田パートナーズ法律事務所では、債務整理手続きの代理人としてご依頼者様に親身に寄り添うことをお約束します。まずは、お気軽にご相談ください。

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この記事を監修した弁護士

弁護士 西村 雄大
梅田パートナーズ法律事務所

大阪弁護士会【登録番号 49195】

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代表弁護士

西村 雄大

弁護士の西村 雄大と申します。これまで「弁護士」という職業は、一般的にどこか取っ付き難い職業として認知されていたのではないかと思います。
今はインターネットなどを通じて、ある程度の知識は誰でも取得できるようになりました。法律に関しても同じです。
このような時代だからこそ、弁護士に頼んでよかったと思っていただけるよう、プラスアルファの情報・一つ上のサービスを心掛けて対応します。

法人破産申立て実践マニュアル〔第2版〕

弊所代表弁護士の西村雄大が「法人破産」に関する書籍に著書(共著)として参加し出版しております。

経 歴

2010
京都大学 卒業
2012
神戸大学法科大学院 卒業
2012
司法研修所
2013
弁護士 登録
2014
中小企業診断士 登録
2014
梅田法律事務所 設立
2015
経営革新等支援機関 認定
2017
梅田パートナーズ法律事務所 改称

資格・登録等

所属団体

テレビ出演

・2024年 MBS 毎日放送様の「よんチャンTV」にて、「船井電機 突然の破産」についてコメント出演しました。

・2022年 MBS 毎日放送様の「よんチャンTV」にて、「スーパーマーケット ツジトミの倒産」についてコメント出演しました。

著書および論文名

  • ・著書(共著):法人破産申立て実践マニュアル(野村剛司 編著/青林書院)
  • ・法学セミナー平成26年10月号「倒産法の魅力と倒産法の学修」
  • ・物流業界の未来を創る雑誌「物流新時代」にて「西村弁護士の法律相談室」を連載

事務所概要

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